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026:隠れ里の巫女

 よし、現実世界でも再構築は上手くいった。

 ……念のため、ストラギアを填めて魂の固定を行ったし……

ルルー「あの……ストラ様。 えっと、ですね」

 姫様が何か困って……ああ。 そりゃそうか。

 王国の人間ならともかく。

 年頃の……それもやんごとなき人が、外で全裸は恥ずかしいだろう。

ストラ「えーっと。 どんな服装が良いか……」

 姫様の姿をみる。 年は……中学年ほどか。

 肩より少し長めに切りそろえた……ローズゴールドの髪。

 ……正に、絵に描いたような姫様だな。


 少し考えた後、姫様のストラギアを操作……よし。

ルルー「<ヴン!>……一瞬で衣装が……!」

 無難に、彼女が以前着ていたドレスにした。

 地球の衣装でも良かったが、着慣れている方が良いだろう。

ストラ「如何ですか? 姫様」

ルルー「……大丈夫です。 ……不思議ですね、眠らされていたからでしょうか。

 ついこの間、こうして着ていたような気がするのに……あはは」


 彼女の場合運が良いことに、捕らえられて直ぐ眠らされたようだ。

 あのマヌガンも言っていたが、体を傷付ける事で能力が失われないかという懸念が功を奏したようだ。

 

 ……あたしのように、拷問そのものの実験や、生きたままの解剖とか。

 そんなものを受けていたら、この笑顔は無かったろうな……良かった。


マヌガン「何だ……何が起きて……へ? 魂は……魂?」

 あいつは間違いなく、そういう事をする人間だったからな。

 何やら茫然自失になっているが……好都合だ。


ティール「姫様! ストラ!」

 魂のままのティール……こっちはどう……ん?

 周囲の状況が……急いだ方が良いな。 

ストラ「今すぐそこから降りろ! 怪物達のいた台座に飛び移れ!!」

 怪物の入っていたシリンダーは、マヌガンが転移させている。

 残ったのは、細い柱に乗った台だけだ。

 見た目は不安になるが、怪物も乗っていたのだから問題ないだろう。

ティール「しかし……体が……」

 未だに怪物に囚われている肉体を、ティールはちらりと見る。

 当然の反応だろう。 体が側にあるのに離れろと言うのだから。

ストラ「(に、しても……)」

 ここに至るまで、彼女の体を拘束する怪物達は身動き1つ取らない。

 よく出来ている……これが量産されればどうなるか……だが、今は好都合。


ストラ「何とかする!」

ルルー「ティール!」

ティール「! 解りました!!」

 姫様の言葉が良かったようだ。

 一瞬自分の……ジーンの体を見た後直ぐに側の台座に飛び乗る。

 そのまま幾つか台座を乗り継ぎ、マヌガンから彼女が離れたところで。


?「<パンッ!!>捕縛結界!!」


 凛とした声と、柏手の音が響き。

 マヌガンのいる場所を、電気を伴った半透明の長方形が取り囲む!

ルルー「! あれは隠れ里の……!」

 姫様は見た事があるはず。 

 それを使うところを、彼女もみているはずだ。


?「外道マヌガン! 貴様の企みここで尽きた!!

 大人しく縛に就くがよい!!」


 周囲の台に次々現れる、白い着物に赤い袴……巫女が身に付ける装束を纏った少女達。

 その数20人。

 皆一様にデザインが異なる、狐の面で顔を覆っている。

 頭には大きな……狐の耳。

 腰からは……大きな狐のしっぽ。

 

ルルー「! 皆さん?!」

 地球人とは少々異なる彼女達を、ルルーは知っている。


 彼女達は、ティールが言っていた最近攫われたという日本から誘拐された人達。

 ルルー姫が修行をしていた、隠れ里…………


 妖狐の里の住人なのだから。




 攫われた彼女達の存在を知ったのは、ティールと共に秘密の区画を閲覧中。

 丁度、マヌガンが罪人から魂を抜いている時だ。


 この時奴は、こちらに気が付いていた……あちらからも、映像が見えていたのだ。

 ここのトップなのだし、当然かも知れない。

 ……後ろに気配が。 転移で来たか……ティールは気が付いてない。

 さて……どうする?



ストラ「と、思ったら。 真逆いきなり殺しにかかるとは……」

 つい先ほどの事を思い出して唸る。

 真逆何も聞く事無く……いや、魂の状態で聞けば良いのか。

 

 そういえばあたしは迷い人……本来は散々弄ばれた後連れてこられる人間。

 ……奴の目的からすれば、殺すのは当然か。


 ……にしても、いきなり殺されるとは思わなかった。

 思った以上に……まともではない。

 ストラ「急いだ方が良さそうだな」


 15回のバッドエンドを超えた、ストラ・ツァラトゥストラ。

 どのゲームにおいても、悲惨極まる経過と結末を迎えたその結果として、何らかの変化が起きている。

 

 最初のバッドエンドで、人間ではなくなった。

 他にも尊厳やら色々失ったが……逆に得るものもあった。


 ゲーム世界でのキャラクターの頃のものや、そうでないもの。

 その中で、この現実世界で使い続けている能力中の1つが……


 生体制御と呼んでいる能力だ。


 簡単に言えば、生物の組織……細胞を制御出来るという感じだろうか。

 怪物やあの犯罪者達を液状化したのもその1つだ。


 この能力のおかげで、先ほどのように体を分解されても死なないし。

ストラ「<シュルン……>よし」

 今みたいに、液状化から元の姿に戻ることも出来る。


 液状化は、その状態でも自由に動かせるので汎用性は高い。

 例えばこの研究所に入る少し前から、プリチャピの街から地下へ一部を浸透していたのだ。

 そのおかげで、基地全体に根を張り中の様子を確認できた。

 最初の怪物との遭遇を察知できたのも、張り巡らせた根のおかげだ。


 ……虎龍やアラユル曰く。

 植物……キノコに近いのではと言われたりする。

 ……胞子も出来なくは無いからなぁ…………


ストラ「……ここか」

 本体を作った場所は、区画の入り口……

 最近攫われたという、日本から誘拐した人達のいる場所だ。

ストラ「………………さて、どうする?」

 この分厚い扉の向こうに、攫われた人達がいる。

 根を使って、中の状態は解っている。

 現状を纏めると……


・内部の20人全員無事

・個室になっていて、一人ずつ収監されている。

・鍵などはこちらで制御可能


ストラ「しかし……いや、時間も無いし、急ごう」

 ティールの状況は、ストラギアから確認できる。

 本格的に危険な状況になったら、助ける……それまでに、終わらせなければ。 


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