37話 ハルトは中立国で少女と出会う 前編
8月、その時期は学院は人間と同じように夏休みがある、ウルロアは一度家に戻り、シエルとカナ、そしてハクは自分と同行、ハクもまた編入試験に余裕で合格し、生徒となっている。他の生徒も各々の事情で別れた。
そして自分達は私服で中立国ヘレルにやってきた、まぁ自分は鎧を着こんできただ、さすがに全身ではなく、プレートアーマーなんだが。
「ふぅ・・・今は、12時くらいか、あと1時間でライブが始まるわけだが・・・」
自分は広場の真ん中に設置された時計を見ながら、少女・・・なのか怪しいところだが一応少女と言っておこう。
自分以外の連れてきた少女3名はハクの服と自分の服のために、服屋に行っている、ノリノリなのはシエルだけでハクとカナは乗り気ではない感じだったが、そうこうしてると、服屋の扉が開いて、中からきらびやかな服装の3人がでてきた、まぁ自分が見てるのはハクのみだが。
「あの・・・どうでしょー」
ハクという名前だけあって白地のワンピース、右腕に赤いブレスレット、靴は緑のサンダルに、頭には黒いリボンと、ハクの中に住む偽神がモチーフだろうコーディネートできた感じか。
「あぁ、よく似合ってるよ―――ところで隣のやつは・・」
気配を薄くしているが、執事服のヨグスが立っているのを確認できる、笑顔だが目が笑っていない、何か悪いことでも・・いや、付き合ってるんだから長年付き添ってきたヨグスの気持ちは、うむ、見ると不安と警戒心だ、これは好感度低そうだな。
「ヨグスか、お前、実体化できたのか」
「えぇ、ほとんどをアザート様が神力を持っているとはいえ、わたくし程度なら実体化は可能でしょう、他はさすがに不可能に近いですが」
「ヨグスが選んでくれたのー、わたしがずっとルルイエや他のアルス・パウロナのアジトにいた時、外でいろいろと情報をてにしていたからこういうのも得意なわけだよー」
「お褒めくださりありがとうございます、ハク様」
「・・・さて、会場にいこうか、てかヨグスはどうするんだ、まさか不法侵入できるほどあそこの警備が甘いと思っているのか?」
「わたくしなら、ハク様の中で何時でもどこでも現れますので、それに他の偽神達も何時でも迎撃できるように準備できていますよ、あなたとかにもね」
最後だけ自分だけに聴こえる声でいったな、まぁいいか。
・
「ところで、シエルはよくヘレルという国のことわかりません、どういう国なんですか?」
会場に向かう途中、シエルが口を開く、まぁここまできて何も知らないのは少しかわいそうか、説明してやろう。
「それなら―――」
「それならわたくしが教えましょう」
ははは、こやつめ、邪魔しよってからに・・まぁそれくらいならいいか、それくらいでは揺るがんぞ。
「人魔中立国ヘレル、その首都が今いる場所、ヴィーナス、人間界と魔族界のちょうど真ん中に建てられた国であり、王は魔族と人間の中立の存在とされていて、かなりの強者という噂だ」
「不確定情報だな、お前も知らないのか、長年生きておいて」
「貴方は知ってるとでも?」
「・・・ヘレル・ベン・サハル、名前は一度謁見してことあるからお前よりは知ってるな」
ヘレル・ベン・サハル、それが人間側での名前らしい、そしてそれはある者の別名だと知ってるが、元の世界の情報だし違う可能性だってあるからそれは言わない。
「むむ・・・まぁいいでしょう、続けます、この国が建国されたのは―――」
「あ、会場前についたからまた今度な」
ふふ、揺らいでないが、仕返しだ。
「―――ではわたくしはこれで」
消える時、明らかに頭に青筋がたっていたな、ふふ、ざまぁ。
「へー、ここが会場・・」
さすがに自分も驚く、なにせどう見ても幕張●ッセなんだからな、こんな建築技術がこの世界にあるとは思わんかった、いや何人もこっちにきてるんだからそりゃあ一人くらいは建築家がいてもおかしくないか。
「さて、入るぞ」
自分は一度カナとシエルと別れ、チケットを渡そうと受付に行く、そこにはウルロア、アリアンナさんがいた、その隣にはアリアンナさんにはミリアさん、ウルロアには車椅子の少女がいた、顔はウルロアと同じような顔立ち、それも人間顔のときのな。
「お、きたみたいだね、ハルト君、それにハク君も」
「夏休みが7月の25日でしたから、6日ぶりですね、ミリアさんも一緒なんですね」
「えぇ、快く受けてくれて本当に良かったです、バアルお――様とは・・・行けませんでしたが」
「・・・なんです、私とは行きたくなかったとでも?」
あ、頬を膨らませて、ほんのり赤くなってそっぽ向いて、見るからに不機嫌だ、ミリアさん。
「いえ、私はまたこのようにあなたとすごせて嬉しいですよ、ミリアンナ」
「も、もうその名前ではない!」
元はミリアンナだったのか、当主になると改名するところなのかドラグレッターは。
「・・・ケホ、あの、あなたがハルトさんで合っていますか?」
「ウルロア、この娘は誰だ?」
「あぁ、言ってませんでしたね、薄々気づいていた様子でしたけど、リュカ、自己紹介だ」
「はい、僕はリュカ、リュカ・ヴェアローです、ウルロアお兄さんの妹です」
やはりずっと注意を向けていたのは家族だったか、それにしてもこの娘もハーフか。
「お前みたいに狼顔ではないんだな」
「はい、リュカは人間寄りの血なので・・」
・・・いまだに隠していることを言わない様子かウルロア、まぁ深くは関わらない、それが自分のスタンスだからな・・・例外はいるが。
「それじゃあ、入るか、3組集まったことだしな」
「はい・・・ところでハルトさん、従者はいないんですね」
―――えぇ、マジか、そういえばゼルが従者だって言ったままだったな、どっかで気づくだろ・・・。
この後、腰の鞘に納めていたゼルを人間に変えてみせた、まぁあのときは手を抜かれていることを知られたくなかっただけで言ったことだし、今言っても問題ないだろう。




