27話 ゼルはなんとか窮地から脱した
「ハルト!?」
私は一人で人間態となって倒れたハルトを見る・・・息が浅いけどまだ生きていることがわかる、しかし、今私の近くには、背後から刺したハクがいる・・・。
「あなた・・・何を・・」
改めてハクのほうを向くと、今まで無かった邪気、更には神の気が感じられる、先ほどまで少しも感じられなかったのに。
「・・・あなた、何者ですか?、ニャルラウトならわぬしが気づかないはずがない、それにその神の気はなんなのですか」
「・・・私はアザート、アルス・パウロナの大司教にして、ルルイエの最高傑作、一番神に近しい偽神・・・」
「偽神・・・」
「はい、ハクという人格は私の存在を完璧に隠すための、朝でも行動――するための――」
アザートはそのまま寝息をたて始めた・・・なんなの?。
「メアリー、早いとこそいつを撃ち抜いて」
「そうしたいんだけどね・・・まわりを見なさい」
その言葉を聞き、やっとわたしは気づいた・・・囲まれている、それも五体、その中の一体は初めて感じ取れるものだ。
「やっと目覚められたか、すぐに眠ってしまったが、まぁ良いでしょう」
「あらあら、ワタシ好みのイケメンねぇ、何者・・かは、聞くことでもないかしら」
「冥土のなんたらとして言っておこう、大司教補佐、ヨグス、アザート様の警護から他の司教の命令を行う者なり」
「へぇ、アナタがそうなのね」
・・・絶体絶命ね、前に見た時より司教の力が上がっているし、よくて二体道連れかな、ただまた生き返るとかありそうだから却下だけど。
「メアリー、5秒・・・いや3秒は持ちこたえるかしら」
「なんとかするわ、もうあなたの力に頼るしか無さそうだしね」
「それじゃあ・・・!」
わたしは力を行使する、その瞬間、司教四体とヨグスが攻撃してくる、なんとか破壊の眼の力で攻撃を防いでいるが、何発か当たっている、それでも持ちこたえてくれて、わたしとハルト、そして残していくと寝覚めが悪いからメアリーも連れて光の粒子となってこの場から消える。
「・・・ふん、まぁ良いさ、絶体なんとかには変わりないのだから」
そのような声をヨグスから聞こえた。
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―――わたし、もとい神剣には所有者と繋がり、その聖力、聖法を使う力を借りて、転移を可能としている、まぁそれは一端であるが、今のわぬしの聖力が少ないことと、衰弱していっていることがあり、転移できたのはルルイエの前、ルルイエに入る入り口の魔方陣の近くが今のわたしの限界だった。
「はぁはぁ、さすがにキツイものがあるね」
「うふふ・・・一応言っておくとこのままさようならはしないわ、ワタシも協力させてもらうわよ、断ってもね」
二人とも数秒だが攻撃にさらされてボロボロ・・・もし今アルス・パウロナがきたら完全に詰みね、その心配はいらなかったみたいだけど。
「――来た感じね」
「おい!、これはどういう状況だ!、説明はたの・・人間!?」
たどり着いてくれたのはアリアンナ、さすがに速くきてくれたね。
「・・・話す時間がおしい、速くわぬしの――ハルト様を治療を―――」
そのまま人間態のまま、わたしは意識を失った。
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―――わたしが意識を取り戻すと、まず目を開いて入ってきたのはマーメイド確か、ボーダンスのところのやつでしたか、首を右に向けると、二体のホムンクルス、ヴァンピローゼのところのがハルトに回復魔法をかけている、が、一向にハルトの顔色が良くならない様子だ。
「・・・状況は」
わたしは身体を起こして、マーメイドに話しかける。
「はい、今アルス・パウロナらしき黒い羊頭の巨人とボーダンス様と他学院が戦闘中、状況は芳しくないです、今ミリア様とハルト様が治療中のため、ボーダンス様とブラドナルド様、アリアンナ様が司教を相手しています、しかし前夜の疲れはまだありますため状況は厳しいでしょう」
「・・・メアリー、一緒にきた人間は」
「はい、その方は一時共闘ということで共に戦ってくれています、けがはそこまでのものではなかったので大丈夫かと」
「・・・わたしの身体はそこまで頑丈ではないからね、まぁそっちのほうが元気なのは当然か」
わたしは考える・・・今ハルトはわたしの知る限りニャルラウトにもあるであろう神の気が混じった攻撃を受けた、普通の回復魔法の効き目が薄い、いや本来は回復すらできないはずだが、偽神だからだろう・・・今わぬしを失ったらわたしは神界に戻ることになるだろう―――絶対に嫌だ、アイツのところに戻るくらいなら・・・
「――致し方ない・・・か」
わたしはハルトのもとまで近寄ると、その手を掴んだ。
「・・・わぬし、あなたを失うわけにはいかない、それにもうそろそろ、少し返しても良いでしょうしね」
わたしは自信の持つ・・・聖力をわぬしに流し込んだ。




