19話 ハルトはクトゥフルとニグラと戦った
「―――いた!」
しばらく飛んでいると、大きな湖の中心にクトゥフルを視認した、アリアンナさんは今度は一気に近寄って物理でいくつもりなのだろう、それに対してクトゥフルは湖を操り、何百の水の弾丸を放ってくる、アリアンナさんはそれを雷を纏って蒸発させていく。
「おっほほほ、さすがに簡単には殺せないですな、では・・・今回は無理をしましょう」
クトゥフルは湖全てを浮上させ、巨大な球体を作り出す、それに伴い、クトゥフルの身体に亀裂が走り、明らかに不相応な力を行使している。
「おっほほほ!、死になさいなぁ!」
クトゥフルの両腕が砕け散るのと同時に水の球体がかなりの速度で落ちてくる、さすがにここまでの大きさと速度では水とはいえ無事ではすまないだろう、しかし今の自分では防ぐのは不可能だろう、避けるといっても今から全速力でも・・つまりは。
「アリアンナさん、できますか」
「やるしかないでしょうね、これは・・・はぁ!」
アリアンナさんは雷を今までの何倍もの量を斧に纏わせて、それをおもいっきり振るい、あの巨大な水の球体を切り裂いた、そのまま水は地面に落ちていき、木々を粉々していき、辺りが水浸しになる。
「おっほほほ・・・今のを防げますか、しかしそこの娘は無事ではないご様子」
アリアンナさんを見ると、かなりの量の魔力を使った影響か少し疲弊している、しかしこの程度なら大丈夫だろう。
「アリアンナさん、手を、魔力を譲渡します」
「すまんな・・・さすがに今のは私も疲れたよ」
アリアンナさんに近づき、手を握ると魔力を送り込む、魔力譲渡、一部の人間、魔族が使用できる行為、相手の魔力と同調しないといけないためかなり難度が高く、失敗すると無駄に魔力を消費しただけでなく相手も傷つける、それは数秒でそれは完了し、アリアンナの顔から疲弊が消えた。
「おっほほほ、そのような芸当ができましたか、さすがは上級の魔族・・・いえ、元人間ですなぁ」
「・・・知っていたか、自分は意外と人気らしいな」
「おっほほほ―――そろそろ限界ですな、それでは―――あぁ、こちらは失敗しましたなぁ」
そう言ってクトゥフルは砕け、消えていった。
「・・・こちらは失敗、それと今回は・・・か、とりあえず里に戻るぞハルト君、皆が心配だ」
「そうですね」
自分達は里に向かって飛んでいった。
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「「「ぬぉぉぉ!!」」」
自分達が里につくと、大量の黒い羊の巨人が暴れまわっていた、被害はでていないのは里の鬼と残った学院の者達のおかげだろう、どうやら他の方角にいったやつらはまだ来ていない様子。
「なかなかの量だな、本体は・・・あの一番大きい巨人の頭か、アリアンナさんは休んでいてくれ、魔力は回復したが精神的にもきているはずだ」
「ありがとう、と言いたいけど、巨人を見過ごせないよ、私も巨人狩りに参加するわ」
「そうか・・・無理はするなよ」
「わかっているわ」
自分は一番大きな巨人に向かっていく、そこではファイリーとアイシャーが長の家を護るように戦っている、二人は自分の存在に気づくと、最後に大きな火と氷の大きな弾丸を巨人の腹に放って後退させ、二人はそのまま倒れた。
「さすがに限界だったか、さて・・・ゼル」
「はーーい」
自分はデュランダルをしまい、そう言うと元気なゼルの声と共にハクの家から飛んできて自分の手に神剣ゼルセーマが握られる。
「あ、あらあら、これはヤバいかもね」
ニグラはそう言ってはいるがどういうわけか余裕が見られる、心からのもののようだが・・・わからんな、とりあえず倒すか。
自分は振り下ろされる巨人の拳を避けてその腕を切り落とす、腕は落下中に粉々になっていく、どうやら神剣なら確実に倒せるようだな、神も殺せるという話だが、まぁその話は今は関係ないか、別に神剣無しでも他のやつらも倒せているしさ。
「へ、へー、凄いねその剣、ワタクシも聞いたことしかないですが神剣というものですわね」
「そうかい、まぁお前が何を知ってようとも殺すことにはかわりないが!」
自分は一気にニグラに接近し、その首を切り落とした。
「・・・さ、さすがですねわね・・・ですがこの巨人をどうしますかい」
最後の悪あがきか、ニグラは自身の全魔力を巨人に込める、巨人の身体が更にムキムキになり、切られた腕も生えてきた、ニグラはそれを見届けると身体が粉々になり、クトゥフルと同じく消滅した。
「なんなんだ・・・人間ではないとは思ったがまさか首を切られても生きてるとは・・・そして面倒なことをしていきやがって」
巨人は咆哮する、先程までより荒々しく動き、長の家まで近づいてくるが、自分は巨人の顔を殴って無理やり後退させる、そのままこいつの首も落とそうと剣を振るうが、少ししか入らず、振るわれる腕が近づいてくるものだから剣を抜き離れてしまう。
「これは硬いな・・やれやれ、今の腕の再生力なら長期戦かなこれは・・」
―――それから何時間か経ち、やっと首を切り落とす、それと同時に陽が昇ってきた、そして他の巨人も一瞬で消滅していく。
「・・・はぁ、なんなんだいったい」
かなり長い時間久しぶりに戦ったことと常に飛び続けていたことで自分は地面に降りると膝をおり、肩で息をするほど疲れた、魔力は使わないでいたが、これは肉体的に疲労が凄いな・・はぁ。
「・・・とりあえず、寝よ」
そのまま前のめりに自分は倒れ、すぐに眠りについた




