↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

08 制裁の時間

主人公(吸血鬼)が訪れた村に、盗賊の襲撃が! 敵のボスと対峙します。


「門を開けろだって!? 何言ってんだ、あんた!」


 門を守っている村の男が怒声を上げる。


「外に出なければ敵を倒せないだろう。早く開けてくれ」

 

「なっ……!? 敵が見えないのか!? あの人数に1人で行って何が出来る!」


 俺が頼んでも、男は激高して会話にならなかった。


 まあ無理もないか。村の男よりも多い人数の盗賊に攻め込まれていれば恐怖でパニックにもなる。


 らちがあかないのを見てヤミ―が男のもとへ行こうとしたが、それは身振りで止めさせた。



「開けてやんな。この人なら大丈夫だよ」


「アマンダ姐さん……!?」


 門番の男に声をかけたのはアマンダだった。


「し、しかし……」


「大丈夫だって言ってるだろう。それとも、あたしの目が信じられないかい?」


「は、はい。分かりました……」


 アマンダに促されて、男はやっと門を開けた。


 しかし男の態度を見るに、アマンダは村の男達と比べてもやはり強いのだろう。


 あるいはゲームだった時に比べてこの世界の冒険者の数が少なく、普通の村人が多いのかもしれないな。



 門から出ると、柵に沿って堀が村を囲んでいるのが見えた。


 結構ちゃんと守りを作ってるんだな。


 俺は出入り用の細い道をつたって堀の向こう側、敵の中へと歩いていった。




「なんだあテメエは!?」


 先頭にいた三下がにらんでくる。


 ふと、その三下の装備が気になった。

 


 盗賊にしては装備がいい。


 上下セットの鎧を着ているし、その鎧も綺麗だ。


 他の盗賊たちも横目で見るが、全員揃いの鎧を着ているようだった。



 妙だな……。少しカマをかけてみるか。


「どうして盗賊がこの村を襲う? この村には金目の物はろくにないぞ」


 連中は一瞬きょとんとして、大笑いした。


「ギャハハハ! 何を言ってやがる。……見ない顔だな。よそ者か?」


「たまたま通りかかった冒険者だ」


「そうかそうか」


 敵陣の中央にいた頭領らしき男が近づいてきた。


「田舎もんのようだから教えてやるが、俺たちゃむしろ村を盗賊から守ってやる方だぜ。つまり――騎士様だ」


「騎士? どういうことだ。なぜ騎士が村を襲う?」


「襲うだなんて人聞きが悪いな。俺たちは正当な対価をもらいにきただけだ。それをごねるもんだから、村のドアをちょいと叩いてる所なのさ」


「対価だと?」


「いいか。騎士には領地の村を守り治める義務がある。そして村には、戦ってくれてる騎士様に税を納める義務があるってことさ」


「ガキでも分かる簡単な話だぜ!」

 取り巻きの男たちが下品に笑う。


「ほう、それはおかしな話だな。村人たちはそんなもの必要ないと言っているぞ。頼んだ覚えもないと」


「そいつは無理筋の話だな。実際守ってもらった後で、やっぱりいりませんでしたってのは通らねえよ。後で金だけ払わねえのは食い逃げと同じさ」


「むしろお前達の方が村を襲う盗賊に見えるんだがな」


 俺の言葉に、周りの三下たちが反応した。


「あぁ!? てめえ騎士様を侮辱するのか? 殺されてえのか?」

 

 まあまあ、となだめる敵の頭領。


「ま、どんな理屈をつけようが騎士には領地から税を取る正当な権利がある。この村はどこの貴族にも属してない以上、俺たちの徴収を断れる理由はないのさ」


「なら話は簡単だ。今からこの村は私のものにする。従って税を取れるのは領主の私だけだ。お前達は今すぐ去れ」


 それを聞いて、敵の頭領は長いため息をついた。


「はぁー……、さっきから大人しく聞いてやってれば、ムカつく奴だな……。これ以上話しても無駄だ。これから死ぬ奴とはな」


 それを合図に、奴らは一斉に剣を抜いた。


「死ね!」


 頭領の剣が俺の頭に振り下ろされる。


 ガキン!


 鈍い金属音が響き渡った。


 反響音が去った後に残された物は、真っ二つになった頭領の剣と、俺の手に高々と握られた赤黒の剣。


「こいつ、いつの間に剣を!? いや、どこから出した⁉︎」


「答える必要はない。これから死ぬ奴には、な」


 俺は会話の最中にこっそり爪で指に傷をつけて血を出して、剣を作る準備をしていたのだ。


「く、くそ! お前らやっちまえ!」


 一斉に襲いかかってくる敵軍。


 俺は盾も血で生成し、帽子を落とされないように気をつけながら近づいてきた相手を1人ずついなしていった。


 あっという間に5、6人が地面に転がる。 


「ひ、ひいい!」


 その様子を見た後続の三下たちは恐れのあまり足を止めた。


「お前ら! 何を怖じ気づいてんだ! 戦え!」


 吠える頭領の前に歩み寄ると、俺は奴の鼻先に剣を突きつけた。


「まだやるかい?」


「くっ……くそ! ずらかるぞ! てめえ……覚えてろよ! 必ずまた来るからな!!」

 

 自称騎士のならず者達は、捨て台詞を残すと負傷した仲間をかついで逃げていった。



 連中の姿が見えなくなったのを確認すると、俺はゆっくり村へと戻ったが、村の中は大騒ぎだった。


「あ、あんたすげえよ! 何者なんだ!?」


「こんな強い奴初めて見たぜ!」


 興奮している村の若者たち。


 村長もやってきたが、その表情は不思議と少し暗かった。


「村を助けてくれて礼を言う。この礼は必ずや……」


「どうした。勝ったというのに歯切れが悪いじゃないか」


 俺が村長に訊くと、アマンダが割って入ってきた。


「奴らを追い払ってくれたことは感謝してるよ。本当にありがとう。けどね、その後が……」


「報復か」


 その言葉に、2人は黙ってうなずいた。


「ああ、その通りさ。もちろんあんたのせいじゃないが、これで奴らはもっと多くの仲間を集めてまた攻めてくるだろう。結局平民は騎士や貴族には逆らえないんだ」


「それなら心配ない。さっき解決策を思いついた」


「え?」

 アマンダが驚いて聞き返してくる。


「ど、どうやって?」


「この村を貴族の支配下に入れる。そうすればゴロツキ騎士どもは手を出せなくなる」


「だからその貴族はどこにいるってんだよ! この辺りの貴族や騎士はみんなグルだよ」


「村長、依頼をする時に何でも差し出すと言ったな」


「は、はい」


「では、この村をもらう」


「へ?」


「この村を、貴族レオナイドの最初の領地とする!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。