07 ならず者の襲撃
最寄りの村にやってきた吸血鬼貴族(主人公)。村の子供達と話していたら、敵襲が!
襲撃を告げる声が村に響き渡ると、子供達は怯えまどった。
恐怖のあまり泣き出す子もいる。
「みんなはやくかくれて! いえのなかに!」
そんな中、エイミーは他の子供達にてきぱきと指示を出している。
本人もまだ小さいというのに、しっかりした子だ。
アマンダ、ポール、デイヴの3人も子供達を誘導して近くの家の中に隠し、あっという間に通りから人がいなくなった。
彼らにとっては、こういう事態は日常茶飯事なのだろうか。
「あんた達もとりあえず隠れてておくれ!」
アマンダに促されて、俺とヤミーも村の中心にある大きな家に入った。
家の中にはアマンダとエイミー、ほか3人の子供がいる。
「……子供達を見ててもらえないか? あたしらは戦いに行く」
アマンダが、真剣なまなざしで言う。
「ああ。分かっ……」
バン!
その時、ドアが勢いよく開かれ誰かが入ってきた。
とっさに剣を抜き、構えるアマンダ。
「おっと、ワシだ!」
「村長か」
剣を下げ、ほっとするアマンダ。
入ってきたのは白髪の初老の男だった。
「状況はどうだい?」
アマンダが村長にたずねる。
「十数人ほどで攻めてきとる。男衆で川側の入り口で迎え撃っておるが、押されとる」
「少し多いね。仲間を集めてきたか」
「今月に入って2度目じゃ! もう食糧もろくにないというのに……。税だとぬかして巻き上げていきおる」
「まったく、ふざけた奴らだよ」
「子供らを隠したらワシもすぐに戻る。アマンダも来てくれ」
「ああ」
2人が外に出ようとした時、村長がこちらに視線をやる。
「ところでアマンダ。……そこの男は何者じゃ?」
「あ、ああ。冒険者さ。帰り道に会ったんだ」
城からここへ来る途中、俺の正体については誤魔化すようアマンダ達には言ってある。
俺は道で偶然会った冒険者で、ヤミ―はその相棒という設定だ。
「どうも。私はレオと言います」
「レオさんか。せっかく来てくれたのにこんな状況ですまんな。ところで……あんたは腕は立つ方かね?」
「まあそこそこは」
「いきなりですまんが依頼を受けてはもらえんか?」
「内容は、村の護衛ということか?」
「ああ」
「村長!」
アマンダが横から会話をさえぎる。
「アマンダ。今回の連中はちと人数が多い。お前さんが帰ってきてくれたのは心強いが、それでも戦力的に厳しい」
「しかしこの男は……いえ、それに、払うような報酬だってないでしょう」
「あ、ああ。確かに金は無い……。じゃが、差し出せるものならば何でも……!」
村長はアマンダに言われ、言葉をにごした。
さてどうするか。
盗賊たちがどれくらい強いのかは分からないが、村長の口ぶりからするとちょっと人数が多いだけで大したことはないさろう。
無報酬で受けてもいいが、俺も金を持ってないし少しは欲しい所だ。
あとはまあ、外で激しい動きをすると日光に気をつけなければいけないので、タダでは戦いたくない気持ちも少しあるが。
そういえば、と思い出して首筋をなでた。
さっき日光に当たってやけどした所にアエロ草という草の軟膏を塗ったら治ったな。
あのエイミーという女の子、俺がやけどだと言ったら迷わず持ってきてくれた。
「……その依頼、受けましょう」
「え?」
問答をしていたアマンダと村長が、俺の言葉を聞いて振り返る。
「そ、それはありがたいですが、金は……」
「報酬はもうもらいました。村長さんはここで子供達を守っていて下さい。行くぞ、ヤミ―」
「はっ」
村長が何か言おうとしていたが、俺とヤミ―はドアを開けて外へ出た。
アマンダが後を追いかけてくる。
「どういうつもりだ!?」
「どういう、とは?」
「何が狙いなんだ」
「言葉通りだ。この村はいずれ私の領地にする。領民を守ってやるのは領主の務めだ。それよりさっさと案内しろ」
「くっ、こっちだよ!」
アマンダは文句を言いたそうだったが、それより先に走り出した。
村の中心を抜けて反対側に行くと、村を囲う柵と門が見えてきた。
物見台の上に何人も男が立って、弓を射ている。その中にポールとデイヴの姿もあった。
「姐さん!」
ポールが弓を射ながらこちらを見て叫んだ。
「ポール! 戦況は!?」
「押されてます! こいつら仲間集めてきやがった!」
戦況を見ると、確かにこちらの方が不利そうだ。
柵の間から敵を見ると15、6人の敵が見える。
こちらの方が戦えている人数はやや少ない。
そんな状況を観察していると、不意に敵からの弓が止んだ。
「おい! もう力の差は分かっただろうが! 無駄な抵抗はやめてさっさと降伏して金を払いな!」
敵陣の真ん中にいる、馬に乗った男が呼びかけてくる。
おそらく敵の頭目だろう。
「弱ぇえくせにいっちょ前に逆らってんじゃねえよ」
「ギャハハ!」
周りの男たちも下品に笑った。
村の男たちは、それを歯を食いしばりながら聞いていた。
「おい、門を開けてくれ」
俺は、柵の出入り口の横にいた男に話しかけた。
「奴らに分からせて来てやる。自分たちが何をしているのかをな」




