↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/26

陽ちゃん、来襲

あきちゃんを泣かせた、半年後。


横浜、伊勢佐木の外れに用意された物件は、思っていたよりも大きかった。

一階は荷捌きにも使えるよう、石敷きの土間が広い。

それに続く帳場も広いので、このあたりを私塾に使えばいいだろう。帳場の奥にある鍵のかかる扉をくぐると奥の間があり、その奥が勝手場だ。

奥の間の階段で2階に上がると、一階とは違い小部屋が並んでいた。それぞれ鍵付きの戸があるので、蔵のような使い方をするのだろう。空いているところは、私室に使ってもよいと言われている。


これだけの大きさの建物だと、手入れだけでも手間がかかる。2人を連れてきて正解だった。

そういえば、2階の小部屋のうち一番奥の良い部屋は、手入れだけして空けておけと言われていた。

何に使うのだろうという疑問の答えは、さらに半年後に届いた。


「大変だ」

珍しく、仕事絡みでない兄貴からの手紙を開けて驚いた。

「何がです?資金繰りですか?」

数矢、ウチが傾いてないのはオマエが一番知ってるだろうが。

「あきちゃんが、来る。」

「あの、垣根を削った薙刀の?」

腕立て伏せしながら答えたのはリチャード。

覚えてるのそこかよ。

「次の春から横浜の女学校に通うから、下宿させるようにって」

「ああ、それで2階を使うんですね。」

「数矢はなんでそんなに飲み込み早いんだ。」

「本家筋の娘さんでしょう?お預かりするなら、手入れしていたあの部屋しかないなと。」

「この男所帯に入れてもいいもんなのか?!」

「オレたち信頼厚いってことで。」

「何かあったら俺の命が危ない。」

「何もないようにすれば良いのでは?気心知れた用心棒というところでしょう。ソレも込みだったんじゃないですかね、この仕事。」

「あーーー!もう!やっと私塾を始めたとこなのに!」

「次の春まで半年あります。落ち着いてください。」

「落ち着いてられるか!ちょっと話したら泣くんだぞ!どう扱ったらいいのか」

「泣かせたのって、ここの仕事の話の時か?普通の話ならそんなことないだろ。考えすぎだ。」

1年前の泣き顔を思い出して慌てる俺を尻目に、2人は平常運転だった。


なお、家業は順調である。大変ではない。


そして半年。私塾の方にも生徒ができた頃、

「お久しぶりです!お兄様方!」


記憶の中よりちょっと大人びたあきちゃんが、店の扉を開けたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。