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5-7 コドモトカゲニンゲン。価値を示す。

 そして弟はチゴの実を口に含んだ。

 舌で転がしてちょっと味わってからチゴの実を飲み込む。

 緊張でなんだか俺の喉もゴクリと鳴った。


「ん~、なんだか野イチゴみたいな味だなぁ。確かにちょっと甘い。意外とおいしい!」


「いや、この際味の感想はどうでもいい。腹は? くだしてないか?」


 俺達の経験上、腹をくだす系食物には2パターンある。

 食道を通ったとたんにキックバックされて逆流してくるパターン。

 しばらくしてから腹の中で暴れるパターン。

 食道を通ったとたんパターンはまだマシなほうだ。その場でゲロってちょっと気持ち悪いくらいで済む。

 しばらくしてからパターンは厄介だ。そこから地獄が始まる。


「ん~、今の所問題ないかなぁ‥‥‥」


 ふむ、とりあえず即腹をくだす系ではないようだ。


「確証とかまったくないけれどさ、この腹具合からなんだか大丈夫な気がするよ。まぁ根拠はまったくないけれど。うん、おいし!」


 今後も腹が無事である確証がない、だというのに、自身の直感という不確定要素に全幅の信頼を盾に、ふたつみっつとコドモトカゲニンゲンに差し出されるままにチゴの実を口に運ぶ。

 コイツいつかコドモトカゲニンゲンに騙されて殺されでもしないだろうか? お兄ちゃんは不安にもなります。


「兄ちゃん。不安がるのはわかるよ。でもこの子が大丈夫って言ってるんだからもう信じようよ」


 コイツはいつか無自覚の悪に潰されやしないだろうか? お兄ちゃんは憂鬱にもなります。

 弟は基本的に人というものを信じている。そしてそうである以上、自分というものを信じている。だから基本的に揺るがなく強いのだ。

 根本的に自分を含めて人を信じていない俺との徹底的な違いである。

 俺は言えば、目の前でチゴの実を食べる弟とコドモトカゲニンゲンを前にしてもまだ信じることができない。

 だって腹くだしたくねーもん。

 なので、俺はお肉を頬張る。付け合せなど一切必要ない。

 そうして、俺達一向はこの異世界に来て初めて満足な食事という日本で当たり前に享受してきたものを一時とはいえ得ることができたのだった。


 因みに一週間ほどたったが弟は腹をくださなかった。どうやらチゴの実というのは俺達にとっても食べれるものだったらしい。

 今後は積極的に見つけたら採取していこうと思う。

 あと、今回の件でわかったことはクソガキであるコドモトカゲニンゲンの野草知識や食肉加工技術など意外とサバイバル能力という面において役にたつということだ。

 これにより今までよりもまともな食生活が送れるになると思われる。

 それは俺達にとって何よりも嬉しいことなのだった。


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