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4 奴隷制度とか魔法に対する考察のはなし

「なあ弟よ。お兄ちゃんすっごく気になってることがあるんだ」


 なんかすっごい大きな街だか国への入国を諦めて、俺達はその街だか国から遠ざかる形でずっと延びる街道に沿って歩いていた。

 これほどの街道だ、大手ぶって野生動物だとかよからぬ輩が闊歩することは少ないだろうとの判断だ。

 いきなりコドモトカゲニンゲンが奇声をあげたり、ブリッジしながらカサカサしたりして同じく街道を行く人々から怪訝な眼を向けられることも何度かあったが、それでも安全は何物と比べても優先されるべきものという弟と俺の共通認識のもと街道を外れるのは論外だったりする。


「なに、兄ちゃん?」


 こんなにも安全だから、いつもは小動物ばりに警戒し続ける俺にもちょっと余裕ができる。

 だからこんなにくだらない疑問も浮かんでくるのだが。


「とりあえず怒らないで聞いてほしいんだが、怒らない?」


「なにその前置き? いや、そりゃあ内容聞いてみないとなんとも言いようがないなぁ」


 俺達がいた世界の道徳から外れない限り、よっぽど弟の琴線に触発することはないとは思うが、それでも一回キレるとこのへん一帯が焦土と化してしまう可能性がある以上慎重にならざるを得ない。

 いや、だったらくだらねぇ質問するなよ。って結論になるが、それは仕方ない。

 思いついてしまったのだ。考えてしまったのだ。


「じゃあいいや。聞かなかったことにしてくれ」


「いやいや、そう言われると気になるから言ってよ兄ちゃん!」


 そう言って若干の圧をたった一人の兄に向けてくる弟ってどう思う?

 一応、かけがえのない家族だぜ?


「はぁ、わかったよ」


 若干言わなきゃよかったとおもいつつ。結局、俺は折れた。


「いやな、この前この世界にも奴隷制度があるってわかったじゃん? んで奴隷商人はどっかから奴隷を仕入れてくるだろ? そんで、その奴隷って逃げねえのかなって思ったわけだ」


「‥‥‥思った以上にくだらない事考えてたね兄ちゃん、しょーもない」


 ジト目で俺を睨んでくる弟。


「ショーモナイ」


 あとそれに倣い、一緒になって俺を睨んで意味もわからない言葉をイントネーションだけマネするコドモトカゲニンゲン。

 なんだか最近こんなふうに弟の言葉をマネする回数が増えた気がする。

 なんだか最近保護者である弟に似てきた気がするな。

 つまり俺は色んな場面において3人という奇数である限りこのパーティでは少数派となってしまうということで疎外感がパねえ。


「いや、例えばどっかの貧村から買ってくるとするじゃん? 

 でもそれって奴隷市場的な所にいくまでに逃亡される可能性だってあるわけじゃん。

 手とか足に枷をはめるってのもちょっと考えたけど、仕入をする以上成果が一人とか二人とかじゃあ割に合わないんじゃない?

 だったら一度の仕入で十人単位で仕入れると考えるとそれら全員に枷をはめるのだって容易じゃない気がする、と考えたわけだ」


 ちょっと考えれば疑問はいっぱい湧いてくる。

 人生に必要のないことほど、くっだらない事ほど疑問に思ってしまう。

 もう完全に俺の悪癖だ。


「‥‥‥まほう、とかじゃない?」


 でもそんな俺の疑問に対して弟のアンサーはこんなにテキトーで。

 あ、理解を諦めたな、コイツ。


「あ、ハイ‥‥‥」


 この世界の奴隷制度に対する考察はこれで終わりと、議論の体をなさず、ただ時間を無為に消費しただけと、そんな感じだった。


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