3-6 俺。常識が分からない。
「そろそろだな‥‥‥」
巨大な街の方を見上げながら歩いていたらいつのまにか整備された石畳の道だった。
街へ向かうヒト、逆に町から出て行くヒト。それらの往来は俺たちのいた世界でいうところの渋谷とか原宿とかのスクランブル交差点を思わせる。
まぁどっちも行った事ねーけど。
街道の横っちょではキャラバン?旅の一向?行商人?なんだかわからねーけど、それらがたむろして露店をひらいたり情報交換なんかしたりしてちょっとしたお祭りみたいだ。
ただこの世界に来てこれだけの人を見たのは初めてで―――。
「うぇえええ」
イキれるコミュ症である俺は眩暈と軽い吐き気を覚えた。
「うわぁ‥‥‥!!」
紐で繋がれて一蓮托生の弟とコドモトカゲニンゲンはと言えば素直に感嘆しているようだった。
「すごいね‥‥‥」
弟が傍らのコドモトカゲニンゲンに語りかける。言葉も通じないのに。
「ん‥‥‥」
弟の傍らのコドモトカゲニンゲンが頷く。言葉も通じていないくせに。
疎外感的なものを感じなくもないけれど、まぁボッチには慣れてる俺としてはいつもの通り素直な心に蓋をしてしらんぷりし前へと歩く。
「ほら、行くぞ。あそこすっげぇ並んでるのが入口っぽいな」
城壁で囲まれた街である以上、ヒトの出入りは管理されているのか関所的なものがあるようだった。
この異世界に来て初めてのことである。
以前訪れた村々にはさきの尖った簡易的な木組みの防壁みたいのはあったが、意味あんの? フリー侵入じゃんそんなん、とか思ってしまうような代物だった。
どうやらこの街だか国が都市といって差し支えない規模なのはおおよそまちがいない。
それにしても関所である。
よくわからんまま列に並んでから考える。
並ぶとこはここでいいんだろか?とか。
入国に何を求められるのか?とか。
まず持ち物は検められるだろうなぁ。だが俺達は危険物なんてもっていないのでそこらへんは問題なく通れるはずだ。まぁ、スマホとかオイルライターとか異世界人にしてみればよくわからんアイテムも持っているには持っているがそんなんでさすがにひっかからないと思う。たぶん。
あと求められるとしたら、やっぱ金だろう。
金かぁ‥‥‥。いくつか村人から報酬というカタチでもらい受けたものがあるのだが、このべっこべこに歪んだ硬貨は使えるのだろうか?
結構色々川沿いとか山とか峠を越えた覚えもある。
あるかもわからないが下手すると国境とかも超えている可能性もある。そうなるとこの硬貨はただのちっちゃな錆びたメンコくらいにしか使えなそうだ。
仮に使えるとしてもこれらの具体的な価値もわからないし、そもそも一般的な金銭感覚もわかっていない。
絶望的じゃねーか。




