3-4 コドモトカゲニンゲン、呻き声をあげる。
まだ件の建造物までは結構距離はあるが、それでもある程度の近さではある。
ケモノだとか夜盗だとかその手のトラブルは圧倒的に減ってきていた。
なんだったら今見張りをしている俺も寝ていいんじゃないかと思うくらいにはだ。
ただ、とはいえ「寝たから殺されてしまいました」がイヤだからこうして起きている。
眠気をごまかすために噛むと若干甘い蜜がでる枝をガジガジとかじっていた。
この世界のどこかの村のコドモに教えてもらった野生のおやつだそうだ。
にしても問題の一つとして食糧問題がある。
もともと野草とかの知識がないに加えてこんな異世界だ。果たしてどの植物が食べれるのかが一切わからない。
狩猟とかして肉を食べようととしたこともあったが、例えばこの前襲われてた巨大な狗にしても可食部がわからないし、どうにも犬の死骸に刃物を突き立てて内臓を取り出すという行為にもどうにも嫌悪感を感じてしまって無理だった。
普段日本でパック売りされている肉に慣れ親しんでしまっているから食肉加工の仕方がわからないのだ。
ほとほとサバイバルに向かない俺達なのだった。
いずれそれらの知識も得なければならないのも今後の課題ではある。
「ううう‥‥‥」
いっかい長考に陥ると意外と眠気は引いてくる。
「ううううううう‥‥‥」
そんな思考がふいに途切れた。
「うあっ‥‥‥! ああ!!」
足元から唸り声が聞こえてきたのだ。
なにかとそちらを見ると、コドモトカゲニンゲンが目を見開いて過呼吸していた。
発作だ。
また自殺でもされてたまらない。
仕方なく弟を起こそうと手を伸ばすと―――。
「だい‥‥‥じょぶ」
コドモトカゲニンゲンにその手を掴まれた。
「うぐ‥‥‥ぐぐぐ。っツハぁ‥‥‥ぐううう」
どう見ても大丈夫ではない。見開かれた瞳の瞳孔がぐるぐる動いている。
それでも必死に嗚咽を抑えて、己に響く他人の怨嗟の声とやらと戦っているのは明白だった。
なにが大丈夫なのだろうか?
そう言って掴まれている俺の腕はめっちゃ痛いんですけど‥‥‥。大丈夫ではないんですけど‥‥‥。




