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2-5 クソガキ対オレ

 弟がどういう理屈でコドモトカゲニンゲンを拘束しているかはさっぱりだがわずかばかり握りしめていたてのひらを緩めた。

 それがどうやら拘束を緩める事らしい。

 もし、拘束が緩んだ途端にまた暴れ出しでもしたら本当にめんどせぇと危惧したが、どうやらそんなことはなく、比較的おとなしいままだった。正直助かる。

 これでようやく話が、コミュニケーションがとれそうである。


「おい、トカゲ」


 一応笑顔を浮かべ再度問いかける。


「・・・・・フン」


 ぷいっ、とそっぽを向かれた。

 やっべぇ、すっごいぶっ叩きたい。


「暴力はダメだよ、兄ちゃん」


 ココロでも読めんのか弟よ?


「へいへい、わかってますよ。いくらなんでもそこまで大人気なくはないさ」


 はァァァ、と深呼吸を一つ。


「おい、クソガキ」」


「・・・・・・」


 また無視ですか。


「次、無視したら、弟がてめえを殺す」


 

弟は決してそんなことはしない。それは火を見るより明らかだが、このままでは話が進まないし、どうせ弟には異世界語がわかりゃしないので脅しに使わせてもらう。

 コドモトカゲニンゲンが明らかに脅えた。

 子供相応に脅えた表情。その瞳に去来しているのはいつの光景か。

 殺す。

 脅しの言葉としてはわりと常套句であると思う。

 ただ実際に殺せるヤツなんてどれだけいるというのだろうか?

 もともと力量的に殺められない俺はもちろんのこと、その実力が伴うのならば出来るかと言えばたぶんできないだろう。

 そして、他者とは絶対に共感できない。実際に惨たらしく殺されたコドモトカゲニンゲンに去来する想いなど俺には精々が上っ面をなぞる程度しか想えない。

 そうすると、このコドモトカゲニンゲンにも同情の余地がないでも‥‥‥ない。

 そんなカタチだけの同情を伝えたかったのか?

 俺はいつの間にかコドモトカゲニンゲンの頭に手を伸ばしていた。

 撫でようと思ったのだ。


「ひっ!」


 しかし、コドモトカゲニンゲンから帰ってきたアクションといえば、上から降りてくるてのひらに対する明らかな恐怖。

 得体の知れない暴力が振るわれるカウントダウン。

 なるほど、この小さな生き物はこうやって嬲られ殺されたのだ。


「もっかい、聞くぞ。トカゲ?」


 脅えた顔のコドモトカゲニンゲンに問う。

 今度は無視する気はないようだった。

 脅えながらも俺の目を一直線に見上げてくる。

 その心は当に折れてるくせにそれを認めたくないような一生懸命の強がり。


「なんで、そんなに、死にたがる?」


 やっと聞けた。

 こんなバカバカしいことを。

 聞いてどうできるでもないようなことを。

 ようやく聞けたのだった。


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