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2-4 コドモトカゲニンゲン。発狂する。

「う‥‥‥ん?」


コドモトカゲニンゲンが意識を取り戻しゆっくりと瞳を開く。

 己の置かれた現状を把握すべく、辺りを見渡す。

そこで何かを思い出したようで瞳を見開いて、自分のてのひらを見つめた。

 グー、パー、を繰り返し違和感を確かめる。


「ゆび‥‥‥よんほん?」


 確か、トカゲニンゲンという種の指は三本ではなかったか?

 あのマヌケ顔はそんなことを思っているに違いない。

 そこで違和感は焦燥感へと転化されたようだ。

 次に己の肌を確かめる。


「あれ‥‥‥うろこ?」


 本来であればトカゲニンゲンという種には強靭なウロコがあったはずなのに?

 焦燥感が危機感へと進化していく。

 なんだか心情の変化が手に取るようにわかる。絵に描いたような狼狽ぶりである。


「あれ‥‥‥わたし‥‥‥わたし‥‥‥わたし? だれ?」


 カタカタと震えだした。


「ああ‥‥‥ああああ」


 そして呻きだした。


「ああああああああああああああああああああああ!!」


 最後にすべてを思い出したらしく、発狂。


「はい、ストップ~」


 俺はそこで弟にコドモトカゲニンゲンを静止させるべく合図を送った。


「了解!」


 ガシッと抱きしめる形でコドモトカゲニンゲンをホールドして動きを封じる。


「ああ!! あああああ!!! ああああああああああ!!!!」


 いくら暴れてもびくともしないが、そんなの関係ないとばかりにひたすらに暴れる。

 でたらめに声を出して、でために息継ぎするもんだからヒトにしてはちょっと長い舌が鋭い牙で傷ついてしまう。

 なるほど、さっきはこうやって舌を噛んで死んでしまったのか。

 弟もそれを察したらしく。


「ストップ!!」


 と、一喝するとこれなんかようわからん能力みたいなアレでコドモトカゲニンゲンの挙動がピタリと止まった。

 身体は押さえつけられているから動かないのはわかる、ただなぜ一喝されただけで口まで動かせないのか?

 察するにコドモトカゲニンゲンが抱いている感情は絶望である。

 なんか助けるべく押さえつけているのは間違いないのだが絵面がやべえ。拷問一歩手前みたいな感じだわコレ。


「モガ‥‥‥モガガ‥‥‥」


 そうしてしばらくなんとか動けないかと試していたコドモトカゲニンゲンだったが次第に暴れることさえも完全に出来なくされたと悟ったのかおとなしくなった。

 ようやく、話ができるようになったのだ。


「なぁ、おい、トカゲ小僧よ」


 普段、使い慣れない笑顔なんぞがんばって浮かべながら語りかける。

 きっと歪な笑顔だ。もしうまく笑顔が出来ていたなら俺は就職できたはずだ。


「モガ‥‥‥ガガ!!」


 うん、なに言ってるかさっぱりわかんねぇ。


「ちょっと緩めてやれ、なにいってるかさっぱりわかんねえ」


「りょーかい」



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