2-3 年上だからなんでも知っていると思ったら大間違いだぞってはなし
「つまりだ、このコドモトカゲニンゲンは死んでも復活するみたいなんだよ」
先ほどの自殺から奇跡の復活を遂げ眠りにつくコドモトカゲニンゲンを寝かせたまま、俺は弟にコドモトカゲニンゲンの復活に対する持論を話し始めた。
「なんでさ?」
そんな俺を弟は純粋な瞳で見上げたまま尋ねてくる。
「ふむ‥‥‥知らん!」
ホントはお前が他人から奪った命を押し付けられたからだよ!
それを消費するまでたぶん死ねないんだよ!
とか、なんとなく持論を展開したい気分ではあるが。
この俺の持論で殺人という罪を己の心に抱えてしまうのはほかでもない弟である。
贖罪から今後一切他人を傷つけれないとかになったらこんなクソファンタジーにおいて詰みだし。
弟の心が耐え切れなくなってまたバーサーカーモードにでもなったら、あの時のように囮となってくれる村人たちがいない以上、俺が狙われる可能性がわりと高い。そうなると逃れる術を持たない俺が死ぬ。
それはヤだった。
「んーまぁ、それはわかったよ」
釈然としないまま弟は現状を受け入れたようだった。
「ファンタジーの世界だもんね、多少はこういうことも起きるよね」
ファンタジーという言葉に理解不能点をすべて押し付けたようだった。
「そうそう、ファンタジーだし。そりゃあよくわかんないこともたくさん起きるさぁ」
これ以上コドモトカゲニンゲンの復活に関する議論をしたくなかったからファンタジーのせいにしてバッサリと切ってこの話を終わりにすることにしよう。
「それにしてもさー。このコ、なんでそんなに死にたいんだろうね?」
弟がまた浮かんだ疑問を俺にぶつけてくる。
俺が年上だからってなんでも知っていると思ってる。
これには思わず思慮顔をしてしまったが俺の内心はと言えば、う~ん、知らね。
コレに尽きた。
こんな死にたがりクソガキの心情なんて知りたくもない。というのが俺の偽りなき本心ではあるが。
「そればっかりは本人に聞いてみないとわからないなぁ」
せめて弟の前ではそれなりの兄でありたいというやっすいプライドが俺にこんなつまらないコメントを言わせたのだ。
「本人にかぁ、そうだな‥‥‥そうだね。聞いてみればいいのか‥‥‥でも僕には言葉がわからないからなぁ。ねぇ、兄ちゃん。次にこのコが目を覚ましたら自害できないように僕が抑えるから兄ちゃんがワケを聞いてよ?」
「うぇえっ。あぁ、わかった、兄ちゃんに任せなさい‥‥‥」
なんか一瞬でそうなってしまった。
なんであなたは死を選ぶんですか?
そんなことを聞かなければならないらしい。
うっさい死なせろ! とか言われておしまいだと思うんだけどなぁ。まともな答えが帰ってくるとはどうにも思えなかった。
それにしてもこのコは僕が抑えるから、ってどうやるんだろう?
まぁ確かに一回目の自殺である岩への頭突きは体を押さえつければ阻止することはできる。
けれども二回目の自殺である舌を噛み切っての自殺みたいのはどうやって抑えるというのだろう? 口の中に手を突っ込むとか?
「まぁいっか‥‥‥」
考えてもしょうがない。
これで今日の予定が決まった。
テーマとしては「なぜコドモトカゲニンゲンは自死を選ぶのか」
なんか夏休みの自由研究のテーマみたいだ。
まぁ弟にしてみればこんな子供に自害なんてさせたくない、という正義心みたいなものからくるなのだろうから真剣である。
俺は‥‥‥どうだかなぁ。
存外どうでもいいなぁ。とか割と人間失格な事を思っていた。




