第二話 呪いじみた契約
鬱蒼と茂る森。行っても来ても木ばっか。
360度森。
美少女と一緒♪っと喜んでいた時期がありました。
でもこの状況は嬉しくない…
町を目指そうとアシルと歩き出し。最初に行きあたったモンスターなどにも出逢うことなくかれこれ6時間ほど黙々と歩く。
一方通行翻訳(命名)のおかげで会話も無理。だって一方通行だもん。
うねうねと木の根が飛び出したりするいわゆる樹海のようで歩きづらいったらないが歩かなきゃ進まない。付きでに気まずさも続く。
体力に自信ない俺だがこの世界に来てから体力が上がったのか息も切らしてないのは有りがたい。だが気まずい。
会話もなく黙々と歩くこの状況で問題発生。つまり何があったのかと言うと
尿意である
たかが尿意、されど尿意だ。
こんな深い森の中、しかも凶悪なモンスターの闊歩する異世界で攻撃、防御力皆無の男が唯一この場で頼れる美少女にトイレに行きたいなどと言えるだろうか?
いや、多少の羞恥を覚悟の上で言えたなら確かに脇にそれ尿意を解放するのもいいだろう。
だが俺に与えられたスキルは『一方通行翻訳』のみ!意思疎通など無理!皆無!!
つまりはこうなった↓
「…あ、あの…」
俺は慮りの声を上げ、アシルに伝えてみる。ちょっと内また気味に
「ん?なんだカズキ?何かあったか?」
アシルはさわやかな笑みを浮かべ俺に振り返る。俺真っ赤。
「…トイレに…」
「ん?」
伝わらない。俺涙目。結局…
「いえ、なんでもない…です…」
諦めた。
その数分後…
「漏れるー!!」
無理でした(T△T)
俺はいてもたってもいられずすぐに脇道に隠れようと身体を反転させた。すると状況のわからないアシルが俺の腕を掴み
「どうした!なんで隠れる」
「いやマジ無理、限界だからほんと漏れるから!!」
必死に腕をほどこうとするが焦りすぎて足がもつれ転倒…
「…その…すまん」
「…」
只今近くの川辺にてズボンを洗っております(T^T)
あの後何が起こったかはまぁ察してくれ…(遠い目)
アシルはさっきから斜め下くらいに目線を反らし俺に謝ってるし、でもこの状況になったのは俺のチキンなハートと無駄としか思えない欠点翻訳が原因な訳だし怒るに怒れない。
俺が半乾きのズボンを履きながら難しい顔をしているとアシルも似たような顔になって同じことを考えていた。
「このままではやはり不便だな。少し意思疎通が出来るようになればいいんだが」
「魔法とかって無理?」
愚痴ににた言葉を言ったのに反応して身振り手振りを加えて伝えてみた。
「…魔法っと言ったのか?ん~精霊魔法ならなんとかなるかも知れんが…」
なんとか通じたみたいだ。…以外にボディランゲージでも通じるんだな。さっきもそうすれば良かった…
アシルは苦虫をつぶしたように少し唸りながら考える人の如く手を顎にかけて思案する
「?」
「その…苦手なんだ、精霊魔法…」
本当に苦手そうだ。やっぱり良いよっと顔を左右に振ろうとしてアシルが止める。
「いや、これは今後の為には必要だよな!大丈夫だ街までの間だ……失敗するかもしれんが…」
嫌な言葉が最後に零れたけれども?
「ჩვენ ვცხოვრობთ მდე საკითხი. დაკავშირებული პირი, რომ აპირებს(我の問いかけに応えよ。彼の者に意思を繋げ)」
アシルは俺の不安をまったく無視して詠唱を唱え始めた。最初に使った詠唱とは言葉が違うような気がする。これが『精霊魔法』の詠唱なのか?
アシルが詠唱すると空中に歪んだ陣が現れる。青白くなんだか不気味だ。その陣の中央から何か出てきた。精霊か?
少しわくわくして全体像を想像する。精霊とゆう未知の存在にドキドキして…
≪…おはようごじゃいまちゅ、ご主人ちゃま♪≫
…予想はあっさり裏切られる。
声色はとってもかわいらしく、舌足らずな言葉なんだが姿を見なければ天国だ。
だが目をかっぽじって見ていた俺は現在地獄を味わっている。姿がはんぱない…
厳つい顔立ちに髭が生え何故かレオタード姿にぱっくり開いた胸元にはもっさりな胸毛。背中には蝶のような羽が生えている
身体をくねくねさせ近寄ってきて本気で吐きそうになった。
「……」
「…その…すまん」
無言の俺はアシルを睨むが召喚したアシルはおもいっきり目線を反らしさっきと同じセリフを言う。
気まずさ倍増なうえ妙な精霊も追加。雰囲気は微妙だ。
「本来は喉元に紋印が浮かび其処に宿る精霊が意思を伝える魔法なんだが…」
無言が痛かったのか言い訳がましく言っているアシル。
「…失敗したんだ…」
俺はなるべく精霊を直視しないよう心がけながら愚痴った。
≪てへ♪≫
「なんでコレ?っていうか精霊なのかコレ?」
信じられない姿の精霊?に指差し言う。もう身振りをしなくてもつたわってるだろうこの気持ち。この世界の精霊が皆こうなら今後一切精霊には接触したくなくなるほどのインパクトだ。
≪コレはひどいでしゅね!ぼくチンにも名前はあるんでしゅよ≫
精霊?は腰をふりプンプンと言いながらさらに距離を縮めてきた。俺は本気で逃げ出したい
「なまえ?」
俺が疑問を告げると嬉しげにクルクル回りだした。
≪はい♪ぼくチンの名前はプーラですぅ?≫
「…プーラね(なんで疑問?)」
「どうやって翻訳すんの?」
指差しながらアシルに聞こうと反転すると先回りしたのか変態が俺の目の前にいた。
どアップの顔に嫌悪感を抱きながら口に出さなかった俺を褒めたい!
≪それは同化するんでちゅよ!≫
「同化?」
わくわくしそうな顔で言うプーラ(もう変態でいいや)に若干引きながら聞く。
≪はい♪こうやって…≫
「ちょぉおい!!まてぇ!何しようとしてくれてんの!!」
またしても迫ってきたどアップの変態顔に青ざめ必死に止める。アシル止めて!!っとアシルの方に目線を反らすときょとんと可愛らしく首をかしげている。
何してんの?の顔は可愛らしいが今は忌々しいぞ
≪何ってキッスをして同化しゅるんでしゅよ?≫
「ほかにないのか方法は…」
≪え~他でしゅか?それ以外だとぼくチンがつまらな…じゃなくて楽しくないでしゅからダメでしゅ!!≫
「本音隠せてねぇ!何より同じだし。って何言ちゃってんだよ!他にあるんならソレで!」
拒否された変態は目に見えてがっかりしているが止められた俺は小躍りしそうだ。…何してんだろ俺…
変態は何か悪だくみを考え付いたようでニヤリと口元をゆがめる。
≪しかたないでしゅね我儘なんだから…≫
仕方ないと言った割には乗り気な気がするのは気のせいだろうか?
≪ಅನುವಾದ ದೀಕ್ಷಾ. ಅರ್ಥ ಮುಖ್ಯ ಪ್ರಕರಣದ ಉದ್ದೇಶ≫
「おぉ!本来の翻訳魔法だ」
アシルがとっさに声を上げる。よく見ると俺の喉元が光っているようだ。
≪つまらないでしゅけど、これでご主人ちゃまの言葉が分かるようになりましゅた。なんかしゃべってみては?≫
最初の言葉が余計だがこれで会話が出来るとうきうきにアシルに話しかける。美少女と会話♪
「…分かるかな?俺の言葉」
ドキドキしながら言うとアシルはなんだか目を見開いて俺を凝視する。なんかあり得ないものを見るような…
「…あぁ…」
「え?何??伝わってんだよね俺の言葉。なんなのその微妙な反応?!」
「伝わってはいるんだが…その…なんというか顔に似合わず古風な物言いなのだな…」
「へ?…おい、どいうことだ変態精霊」
可笑しな出来ごとになっているとゆうのに変態はニヤニヤしたまま後ろに漂ってる。俺は目を細め振り返る
≪変態とはしつれいでしゅ!!…ちょっとご主人ちゃまの言葉遣いが変わって翻訳されただけでしゅよ≫
「どんなぁ!?」
≪さっきの言葉だと“伝わっているでござるか?それがしの言葉”でしゅ≫
「何ゆえ武士語!?」
≪ちょっとした遊び心でしゅよ♪≫
「なにしてくれとんじゃあぁ!!」
≪気にいらないんでしゅか?≫
「あたりまえじゃぁ!」
落胆する変態を殴り飛ばしたい衝動に駆られるが一応精霊なのか掴めない。マジで殴りたい!
そんな俺を後目に変態は無視を決め込んだのか右手を掲げ何か言い始めた。
チラリと俺を見たので何か言うのかと思ったら…
≪…ご主人ちゃまにも自分の翻訳が聞えるようにしましゅね♪≫
「何無視しとんじゃぁあ!!!」
やっぱり無視だった。
≪ಮುಖ್ಯವಾಗಿ ಅನುವಾದ≫
なにやら勝手に詠唱を始め俺の頭上に輪っかみたいな陣を描いてはじけた。
イラっとしたので文句を言おうとプーラを指差し怒鳴る。
「勝手に何してくれとるんじゃてめぇ。ふざけんなでござる!面妖精霊が!!」(※約→勝手に何してくれてんだテメェ。ふざけんなよ変態精霊!!)
へ?ナニコレ??
聞えてきたのは自分の思っていた言葉ではなく勝手に翻訳された口調だった。
やーめーて!!俺の言葉おかしくなってるよー!!!
≪くふふ。どーでちゅ?良い感じでしょ❤≫
ふっざけんな!普通の口調に翻訳しろよ!
下手に声に出すとあの口調になるので言うに言えず心の中で言うしかない。そこは仮にも精霊だ。変態は気にした様子もなく会話を開始した。
≪えぇ~?もったいないでしゅ!≫
もったいなくないから!頼むから普通に!
≪ちぇッ、……つまんねぇ野郎だぜ……しかたないでしゅねランダムでいきましゅ≫
えー!!なんかキャラ違ったよね!さっき!ってランダムって何!
態度を変えたプーラに不安になりながら焦る。又何かしでかすのか!?
≪ಅನುಮತಿಯಿಲ್ಲದೆ ಅನುವಾದ. ಯಾದೃಚ್ಛಿಕ≫
詠唱を唱え終わるとまたもやどアップ顔を近づける。それを回避しながら何事かと尋ねようとすると
≪今度は半分だけ伝えて時々さっきの口調になるでしゅ!≫
はい?半分だけ??
呆然と口を開いている俺をみてアシルが心配げに近寄ってくる
「カズキ?大丈夫か?」
「…問題ない」(大丈夫だよ。ちょっとこの変態のせいで疲れただけで)
おい…伝えたいことの半分も言えてないぞ?しかも重要なことはすっぱりないって…
変態精霊はニヤニヤと気持ち悪い顔をしながら身体をくねくね揺らしている。
≪ぐふふふふ。成功でしゅ♪≫
「何がだ?」(何が成功だゴラぁ!!ふざけんじゃねぇ!)
きしょくわるい笑い声を聞き流しながら文句を言おうとしたら案の定口から出たのは短略言葉。
やっぱりいいたいことの半分もいえやしない。何より気になるのが時々武士言葉になるとゆうこと…
「嫌な予感しかしないでござる」(嫌な予感しかしない)
なんで此処で武士言葉ー!!?
「本当にどうした?さっきから百面相しているぞ。言葉ならちゃんと翻訳されているから心配はいらないぞ?」
とってもありがたき言葉なんで感謝の意思を伝えたいんだけど「ありがとう」だけだったら武士言葉にあるし長いセリフだと半分しか翻訳されなさそうで言うに言えない。
さっきから百面相している自覚はあるので恥ずかしいが原因がもっぱら変態にあるせいで苛々も積る。
≪ほんとにおもしろいでしゅね♪≫
他人事だと思いやがって、っと言うか全部お前のせいだろうが!
さっきから愚痴しか言ってないが全部変態のせいなので仕方ない。
≪面白いからとくべちゅにぼくチンが“専属精霊”になってあげまちゅよ≫
満足げになにか口走った変態の口から聞きなれない言葉を聞く。
「?専属精霊?」
「専属精霊とは契約によって成り立ち契約者の呼びかけに応じる契約者だけの精霊のことを指すことだ。もっとも精霊が気にいっているというのが前提だが」
アシルが率先して説明してた。やっぱり会話って美少女とするのがいい。だれも好き好んでオッサン変態精霊なんかと会話なんぞしたくない。
…ん?だれとだれが契約するって?
≪ご主人ちゃまとぼくチンでしゅよ♪≫
変態はしたり顔で勝手に陣を出現させその陣の環に俺は囲まれた。
≪契約でしゅ!!≫
かくして俺に専属精霊(変態)なるものができた。その事実に俺は気が遠くなり暗転した。
それはもっとも呪いじみた契約だった




