紅き邂逅・急
俺は昔から力持ちだった。
異常な程に。
俺の遺伝子には異常があったらしい。
正確には遺伝子配列がどーのこーのと医者が言っていたような気もするが、覚えていない。
ただ俺は普通の人間とは違う。
それだけは、自分でもわかっていた。
「へぇ、私はそこまで貴方からの血を吸っていないのだけれど、もしかして元から吸血鬼?」
女は男を殴り倒した俺を見ながら純粋な疑問をぶつけてきた。
「んなわけねぇだろ。吸血鬼さんよぉ」
俺はそんな彼女の軽口を受け流しながら、警戒する。
(今の俺はおそらく半端者だ。どちらにとっても扱いづらい存在のはず)
故に俺は男を気絶させた。申し訳なかったが、俺が吸血鬼化していると分かればおそらく俺すらも殺していただろう。
いったん目の前の女を制圧するべきか。
俺は瞬間スタートを切る。
間合いに侵入し、ヤツを俺の目が捉えた時、
俺の視界からヤツが消えた。
気づいた時には、
俺の視界は真っ暗であった。
「まったくもう、眷属にしてあげるつもりだったけれど、この子は少し測りかねるわね」
私、スカーレット・サンセリテは自身が気絶させた少年を見つめながらひとりごつ。
でも、この子ならアイツに勝てるかもしれないわね。
正直、このレベルの身体能力は確実に人間のそれではない。
故に、私は決めた。
「この子はやっぱり私の従僕にしましょう!」
純白の姫君はこの夜一番の笑みを魅せた。
彼女と少年は、夜に包まれながら消えていった。




