三十一話 地獄の始まり
瓦礫が飛び交い、肉片が飛び散り、見るに堪えない光景である。
「ああ・・・死ね。」
やつれて、カイが言った。左足と肋骨を負傷し、足を引きずって歩いている。
「魔力ももう切れちまった。」
そう、独り言を呟く。
「おい、安らかに殺してくれよ。」
何処にもいない誰かに問いかける。
「望みどおりにね。」
そう、甘ったるい声が聞こえた。
「術式解放。「紅白歌合戦」」
楽響が巨大な対の手裏剣を手にする。
「じゃあね。」
そう言い、胴体を斬った。
「よし、一人目。ノルマは五人ぐらいでいいかな。」
楽響は舌鼓を打った。
「あああああああああああ!」
ダニエルはカイの死体を目前に絶叫した。不思議に涙は出てこない。涙を出すエネルギーさえ枯渇している。ただ、言葉だけ。何もできなかった背徳感がダニエルを追い立てる。そして、ダニエルの魂は深淵へと引きずり込まれた。
「クック。千年ぶりの祀だ!」
褐色の青年へと化したダニエルが、羅刹がそう言った。
「術式解放。「幽冥毒蝕」」
蛇紫が術式を解放する。
「来たか!神眞!来い!「磁天叢雲礫剣」!」
羅刹がその名を叫ぶと磁天叢雲礫剣は我が敬愛するご主人様のもとへ一直線で向かった。
「なるほどね。ボクと同等、それ以上か。」
蛇紫が言う。
「どうだろうな。術式解放。「無那閃律」」
「屍廻毒葬」
「羅々刹篭」
斬撃と腐毒が空中で交わった。
「随分と派手な余興だな。」
「褒めてもらえてうれしいよ。」
陽影はそういう。
「褒めてねえぞ。」
暁に殺意が走る。
「闇より黒く」
「影哭暗突」
「前回は、術式を先に解放してからの攻撃だったからね。」
陽影は怪笑を浮かべる。
「黒龍・黒を吐き回れ」
「この前と同じじゃん。忘れたの?」
「空の窓を開く者」




