二十九話 火蓋を切る②
「久しぶりだな!クソ女!」
暁の怒号が夜の街に響いた。暁の眼前には白衣を着た栗毛の女がいた。ビルが立ち並ぶこの街で、博物館に行く途中なのか。
「あ、この前の。」
癒医は
淡々と答える。
「死ね。」
癒医は心臓を突き刺す。
「血狂襲乱」
血潮が形を成し、またもや暁に襲い掛かる。
「角黒鹿々」
黒色の雄鹿が顕現する。獰猛な角が勇敢に見える。
「角黒鹿飛」
鹿の角が分離し、癒医へ攻撃する。
「馬鹿か。」
鹿の角を避けずに、全部くらう癒医。
「自虐嗜好人間」
「あーもうだりい。」
暁の怒りは夜の騒音にかき消される。
「術式解放。」
癒医が言う。
「赫環生返」
「俺もだ。術式解放。」
「闇より黒く」
「廻炎朱焼」
カイが術式を解放した。白装束で二本のハンマーを腰に携える青年を凝視する。
「めんどー。」
青年はそういう。
「お前、誰だ?」
「俺か?王下十二武牙・第五牙「獄鍛」だ。」
第五牙。その言葉にカイは戦慄する。
「お前、狩喰って奴知ってるか?」
「ん?ああ。知ってるよ。」
「そいつは何牙だ?」
「七牙。」
カイは動揺を隠せない。あれで、七牙というのなら・・・そして、こいつはその二牙上ということだ。
「お話は終わり。俺も、術式解放。」
「竣成成就」
獄鍛のハンマーの片方に光がほとばしる。
「俺の術式、「竣成成就」はあらゆる事象を完成させる術式だ。例えば未完成の刀を即座に完成させるとかね。だけど、この能力結構めんどくさくて、刀とか物体を完成させるときには、この玉鋼は刀として認識されるのか、どこまでいくと認識されるのかがわからなくてめんどくさいんだよね。だから、俺の術式は味方を完成させる等に使えるのではって思うけど、この術式は地球視点なのか、「人間はすぐに完成する。よって、促進することはできない。」みたいな感じなんだよね。四十六億年からしたら百年何て少なないものなのかな。ちょっとしゃべり過ぎた。ようするに、こういうこと。」
獄鍛はもう片方のハンマーでカイの肋骨を思い切りたたいた。




