二十八話 火蓋を切る①
陽影は金で縁取られた黒の如意棒を手にしていた。
その姿は、仮面パーティーの華やかさとは完全に異質。
影の中に立つ彼は、まるで“夜の道化”のようだった。
「よっと。」
軽い声とともに、陽影は如意棒を軽く振る。
「影々棒虐」
床に落ちた影が波紋のように広がり、
そこから――
無数の黒い如意棒が生えた。
棒は幽体を正確に貫き、
音もなく消し飛ばしていく。
「影玩絡繰玖式」
陽影の足元の影が形を変え、
黒い人形が立ち上がる。
その動きは滑らかで、まるで生きているかのよう。
人形は幽体へ飛びかかり、
首を折り、胸を貫き、影へと引きずり込んだ。
「こっちは……」
陽影は別の如意棒を手に取る。
その棒は、先端から炎がほとばしる。
「影如暗意元棒・炎」
炎は影の色を帯び、
黒と赤が混ざった不気味な光を放つ。
陽影はそのまま、
展示室の奥――アルバルトへ向けて歩き出した。
「さて……君はどんな悲鳴を上げるのかな?」
その瞬間、
空気が弾けた。
「落雷牙突・天雷激怒」
陽影の身体に電流が走る。
雷光が影を裂き、床を焦がす。
陽影は目を細めた。
「へえ……雷か。
いいねえ。最高だよ。」
雷の中から現れたのは、
金髪の青年、ダニエル。
彼は陽影をにらみつけ、
口元だけで笑った。
「影の神眞だか何だか知らねえが……
俺の前で好き勝手暴れるなよ。」
陽影は楽しそうに笑う。
「君、いいね。
“殺し甲斐”がある。」




