二十七話 胎動
全身を漆黒で包んだアルビノの青年、王下十二武牙・一牙にして神眞である夜月は眼下に映る人々の社交パーティーを眺める。
「始めるか。」
夜月はボソッと言った。
蛇紫はセシュとともにパーティー所を歩く。フード付きローブという場違いな服装で巡回する姿は一言で表すと不審者である。
「あーあ。まだ始まんないのかな。」
蛇紫は退屈そうに言った。
「蛇紫のやつ、遊びに行ってるやん。」
時廻が言った。
「時廻、あなたまさか行くんじゃないでしょうね。」
誓紡が笑顔で言う。
「まあまあ、落ち着いてくださいよ。」
はかなげな声で祈璃が言った。
「。よだうそ」
反裏も同意した。
「退屈だ。」
死後の世界で羅刹はそう、一言言った。
「何故俺は受肉できないのか。そうは思わないか?」
全身を血だらけに染めて絶命している男に羅刹は問いかける。だが、返答はない。
「忘れられたか。いや、俺が斬撃を食らわせたことにより死が促進したか。」
死後の世界にも寿命はある。その寿命は人々の記憶の因果する。故に、人々に忘れられるとともに人は死ぬ。その点では、凶悪犯罪者は死なないのだ。皮肉なことだろう。
「雷の小僧が適応か・・・唆るな。」
羅刹は不敵に笑った。
「前方に敵発見!アルバルト殿!」
視界に映った青年に驚きながら伍長は言う。
「分かった。」
「幽体有体」
幽体が即座に模倣されていく。あっというまに、数十数百の即席軍隊が出来上がる。
「僕の名前は陽影。」
青年がしゃべる。
「よろしくね。」
と。




