二十六話 一方
「俺は、護衛なんてヤダ。殺されるかもしれん。」
汗だくの状態でカイが言い放った。
仮面パーティーの招待状を握りしめながら、
まるで死刑宣告でも受けたかのような顔だ。
「というわけで俺等はいきません。」
ダニエルが即座に便乗する。
「同意します。」
玲が静かに手を挙げる。
「俺も。」
遥が淡々と続く。
「僕も。」
蒼が眼鏡を押し上げながら言った。
五人全員が拒否の姿勢。
教師の前で堂々とストライキを起こす高校生たち。
「はい、先生頑張れ。」
ダニエルが投げやりに言う。
その瞬間、暁が口を開いた。
「死ね。」
「パワハラですか?」
蒼が即ツッコミ。
「傷ついた。慰謝料。」
カイが胸を押さえて倒れ込む。
「あーもうだるい!悠真と佐奈こさせる。」
暁が頭を抱えながら言う。
「頑張れー」
カイは全く生気のこもっていない声で応援した。
「お前が頑張れよ!」
ダニエルが怒鳴る。
「いや無理。俺、要人の護衛とか絶対向いてないし。
なんかこう……死ぬ未来しか見えん。」
「未来視でもしたんですか?」
蒼が冷静に返す。
「違うけど!なんかこう……嫌な予感がするんだよ!」
玲が静かに言う。
「カイ。あなたは“嫌な予感が当たる体質”ですよね。」
「やめろ!フラグ立てんな!」
遥がため息をつく。
「どうせ行くんだろ。
俺たちが行かないと、先生が死ぬ。」
「それは困る。」
蒼が即答する。
「先生死んだら単位どうなるんだよ!」
カイが叫ぶ。
「そこかよ。」
ダニエルが呆れる。
暁が静かに立ち上がった。
「……行くぞ。
“奴らの気配”がする。」
「は?」
カイが固まる。
「奴らの気配?」
「行けば分かる。」
暁は淡々と歩き出した。
「クックク。竜争虎斗、硝煙弾雨の開戦だ!」
何処かで陽影が不気味に笑った。




