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十九話 神の集い①
王下十二武牙の視線が端正な青年にくぎ付けになる。黒のスーツ姿で、個性的な王下の中では目立ちにくい服装である。だれがこの人物が極悪非道の盗賊の長と思おうか。その長が口を開いた。
「今回、とある場所を襲撃する。」
その一言だけで、
王下十二武牙の全員が息を呑んだ。
空気が張り詰め、
胸の奥がざわつくような興奮が走る。
「待ってました。」
楽響が口角を吊り上げる。
その笑みは、音もなく人を殺す刃のように冷たい。
団長は視線を動かさず、淡々と告げた。
「そこは――国際全品美術館だ。」
一瞬、静寂。
次の瞬間、王下の何人かが小さく笑った。
轟破が舌打ち混じりに笑う。
「ははっ、よりによって世界最大の美術館かよ。
派手にいくじゃねえか、団長。」
舞鶴は扇子で口元を隠しながら微笑む。
「国際全品美術館……
世界中の宝物が集まる場所。
それを襲うなんて、まるで戦争の宣言ですね。」
陽影は興味深そうに目を細めた。
「へえ……
あそこは各国の防衛魔術が重ね掛けされてる。
普通なら不可能じゃない?」
団長はわずかに視線を上げた。
その瞳は、底の見えない深淵のように静かだった。




