十五話 化け物
「理解した?抗うことの無意味さ。それと、人の弱さ。」
陽影が倒れた暁に向かって歩く。
「それじゃあ・・・まるでお前が人間じゃねえみたいじゃねえか。」
「いや、僕は神眞だから。気づいてないだけで君もそうだよ。君が本気だしたら僕は粉々さ。で、世界の均衡が壊れるから君は呪い持ちってわけ。」
「初耳・・・だな。」
「そりゃあそうだ。」
「お前の能力はどうなってるんだ?」
「影を繋ぐ能力。君の黒扉の応用版。攻撃や物体、音に至るまで影を繋げば移動させれる。だから君の黒龍が君の影から出てきたんだ。君、カウンター苦手でしょ。」
「フラグ回収とはこれか。」
「正解。」
陽影は黒の手袋をはめた。
「暁先生大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。」
「死にはしないと思うよ。」
そんな呑気な会話をしていると、戦場から悍ましい気配がした。
「今の・・・何だ?」
カイが聞く。
「わからない。だけど、やばいのは確かだ。」
「ああ。そうだな。あれを倒すには、世界レベルの武力がいる。」
ダニエルは固唾を飲み込む。
「とにかく、離れましょう。」
玲がそう言った。
「暁が帰ってこない?」
悠真が鸚鵡返しにきく。
「うん。先生が帰ってこないのは嫌な予感が・・・」
「分かった。見てくる。」
「・・・どうやって?」
「まあ、見てな。」
「概智念授」
【聞こえるか?】
【!悠真か!】
【うん。状況は?】
【至って最悪だ。見ろ。】
「視念伝達」
悠真の眼前に倒れこむ暁とその前にいる陽影が映る。
【化け物・・・】
【ああ。そうだ。助けてくれ。】
【それなら、君の能力を一旦預かるよ。】
【分かった。]
「権魔移変」
悠真の身に「闇より黒く」が宿る。
【弓削は病院に連れて行った。】
【確認しとくね。】
「黒扉・狭間の紐づけ」
悠真は暁の真上に出た。
「なっ!」
陽影の反応がコンマ数秒遅れる。そのすきに、悠真は暁を回収、黒扉を閉めた。
「あーあ。やっちゃった。」
陽影は至極残念そうに言ったのだった。




