十三話 激突と激震⑧
「虹万色彩貫羽矢」
虹色に光無数の矢を同時に引きながら佐奈と暁は扉から出た。
「あいつだ!」
暁が指さした先には中東の顔だちをした彫の濃い男がいた。
「分かった!」
佐奈はそう言うと橙色の矢を思いっきり引っ張った。
「追橙跡矢」
矢が放たれ、ロバートの下へ真っ直ぐ飛んでいく。
「その矢の効能は?」
「追跡。どこに行っても分かる。」
「じゃあ、後は頼んだ。」
「ええ?」
「俺はあのクソ女を殺す。」
「誰ー?」
その佐奈の声は届いていなかったようだ。暁は振り返らず。走り去った。
「おい癒医。何やってんの?」
男がそう、静かに言葉を発する。
「何ってロバートを手ごまに使ったが。」
「あれ、結構捕まえるの大変だったんだよ。汗水垂らした努力を無駄にされちゃあ悲しいんだけど。」
男が至極残念そうに言う。
「お前にとってはハエ叩き潰すのと同じだろ。」
「ハエってちょこまか逃げるから殺すの大変だよ?」
「何でもいい。」
「というか、逃げてきて良かったんですか?」
狩喰が現れた。
「大丈夫だ。」
「一応俺行くね。」
男はそう言うとゆっくり立ち上がった。
男は二十代前半の濃い群青色の髪の短髪で、黒色の長衫に周りを金で縁取り、下のズボンの右太ももと左ふとももの外側面に辺る部分が逆三角形の様に切られている。
「楽響の野郎に伝えとていて。ほんじゃ。」
「砂落突穿」
佐奈の頬を尖った砂が掠った。
「爆白散発」
ロバートに向かって白の矢が向い、爆散した。
だが、ロバートも負けない。砂の盾を作り、爆発の衝撃を和らげた。佐奈が又、弓を引こうとした途端、背筋に悪寒が走った。動けない。その恐怖は計り知れない。もし、カイたちがこの場にいたら失神したとしても何ら不思議ではない。つまり、圧倒的。
「終月・爪突天刺」
血にまみれた右手が佐奈の心臓を僅かに避けながら突き刺された。




