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十一話 激突と激震⑥
「大方、全能力を黒にし、力の底上げといったところか。」
「ああ。そうだ。」
「能力の開示か。」
癒医はそう言うと、メスで左胸を刺した。
「なんだあれ。刺して・・・る?」
「恐らくそうでしょう。目的は不明ですが。」
「そういえば狩喰は?」
「多分逃亡したよ。」
「どうすんだ?」
「傍観するしかないな。」
「私の能力は自身がケガを負う程強くなる、云わばカウンタータイプだ。」
「だから心臓を刺したのか。」
「そうだ。話は終わり。」
「血狂襲乱」
すると、癒医の心臓から吹き出る血潮が一つの形を成し、暁へ襲い掛かった。
「馬鹿が。」
「黒盾・忌まわしき穢れから護せよ」
大きな黒に染まる板のようなものが血潮の行く手を阻む。
「くっくっく。」
暁はそう不敵に笑うと盾から黒を所々突出させ、血潮を分散させた。
「おっ!」
癒医が目を光らせる。
「そのまま刺し殺す気か。それじゃあ、もう少し力を出そう。」
「脳無き抜け殻舞い踊れ」
癒医が右手の人差し指を天に向ける。
「来い!抜け殻!」
その瞬間、癒医の足元から真っ赤に染まる穴が出現した。そして、そこから男の肉体が見える。
「知っているか?かの有名な能力者「砂漠の流れ者」は近年突然姿を消しただろ。何故か分かるか?死んだからさ。」
癒医は血溜まりに沈んだ。




