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バッドエンド?

 幸せになるのは案外簡単な事で、遠回りしているから難しく感じるのではないだろうか?

 不幸せになるのはもっと簡単な事で、敏感に感じ取れてしまうから、不幸だと嘆きたくなるのではないだろうか?

 答えは、自分で考えろ、だ。


*************


 最初に思った事は、やっぱりな、だった。

【俺】と、オレは違い過ぎていたから。

【俺】と、翔太は似過ぎてたから。

 例えば、間延びした声。

 カレーは甘口の方が好み。

 コメディ調のストーリーが好き。


 なんとなく分かっていた。

 けれど、問い詰めることでもないので本人がオレに話してくれるまで、黙っていた。

 …ただ、事実を確認する事が怖かっただけなのかもしれないが。何かにつけて、翔太の面影を探している様で。


『お兄ちゃんが天国(こっち)に来るのは、まだ早いよ!はい、早く戻って!』


 オレの声でその口調は、少し気持ちが悪い。何というか…むず痒い。


「やっぱ、お前だったのか」

 そう言うと、

『あれ?もしかして、バレてた?』

 と、返ってきた。

 だから、

「当たり前だ」

 とだけ、答えておく事にした。


『いつからバレてた?』


「割と早い段階で」


『結構ちゃんと、【俺】を演じてたのに〜?』


 馬鹿。お前のお兄ちゃんを何年やってると思ってんだ。

 分かって当然だっての。

 お前、お兄ちゃん舐めすぎ。


『ま、いいや。それはそれとして。とにかく!お兄ちゃんは、早く帰って!』


 帰れって言われても…。今更帰り方分かんねぇよ。

 その事をそれとなく伝えると、翔太は少し怒った感じで、言葉を紡いでいた。無茶苦茶で、よく分からなかったけれど、要約するとこうだ。

『僕…まあ、つまり【俺】と違って、まだちゃんと死んだ訳じゃないから、間に合う』

 …らしい。

 まぁ、ちゃんと死ぬってどういう事だよって感じだけど。


『お兄ちゃんは、まだ生きるべきなんだよ!』


 力強く言った。

 やはり、と言うべきか何なのか分からないけれど、オレより大人だなぁ、と全く関係のない事を思った。

 オレが反論しようとしても、口を挟ませてくれないほどに、まくし立てて続けた。

 

『僕は死んだけど、お兄ちゃんは生きてる。僕はもう生きる事が出来ないけど、お兄ちゃんは生きる事が出来る』

『もし、お兄ちゃんが僕に…お、負い目?みたいなのを感じてるのなら、それは違う』

『むしろ、そう感じてるのならその方が、僕にとっては嫌だ。お兄ちゃんには、僕の分まで生きて欲しい。幸せになって欲しい』

『少し前に…【俺】の時に、似た様な事を言ったかもだけど、お兄ちゃんが幸せになってはいけない、なんて理由は、何処にもないんだから』


 生きる事を止める事こそが、死者に対する冒涜だ。

 纏めると、こんな感じだ。


 それはとても正しく。

 そして美しい考え方だった。


 綺麗事は嫌いだ。

 だけど、貫き通せるのなら。

 自分が自分で居られるのなら。

 綺麗事は好きになれる。


 まぁ、じゃあ、弟の言われるがまま、それに従う兄は自分でもどうかと思うが。


 仕方ないなぁ。

 弟の最期の頼みだもんなぁ。

 それを聞けない程、器の小さい人間でもない。


『【俺】…僕…どっちでもいいや。もう一つオマケにお兄ちゃんにお願い事〜。約束事、かな?』


 世界中にいる兄でも、まぁ多分弟から言われた事のないセリフだと思う。


『幸せになる事。天国(こっち)に来るまでの宿題ね!』


「…宿題か。面倒くさいなぁ…。でもやってやる。ありがたく思え」

 素直に言えないところが、全くオレらしい。


 少しずつオレの意識が薄れていく中、翔太が最期に何かを言っていた。


『****!』


 どう頑張っても聞き取れなかったけれど何となく分かった。


 最期にオレも、オレらしくそれに返事をした。


「どういたしまして!」


 きっとオレのこの言葉を聞いて、翔太は笑っている事だろう。見なくても分かる。


 …まぁ、こんないい話風に語っておいて何だけど。

 この話には、ちゃんとオチがある。



 独りぼっちのこの世界で。

 海と一つになっていく中。


 オレの息は絶えた。



 つまりは、って言っても何となくお察しだろう。


 独りぼっちのこの世界で、オレは。


 死んだ。

このままじゃあ、バッドエンドじゃないか!?

1話で言っていたハッピーエンドでバッドエンドな終わり方にする為に、まだあと1話あります!

つまるところ、次回最終回です!

間違えました!最終回予定です!

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