バッドエンド?
幸せになるのは案外簡単な事で、遠回りしているから難しく感じるのではないだろうか?
不幸せになるのはもっと簡単な事で、敏感に感じ取れてしまうから、不幸だと嘆きたくなるのではないだろうか?
答えは、自分で考えろ、だ。
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最初に思った事は、やっぱりな、だった。
【俺】と、オレは違い過ぎていたから。
【俺】と、翔太は似過ぎてたから。
例えば、間延びした声。
カレーは甘口の方が好み。
コメディ調のストーリーが好き。
なんとなく分かっていた。
けれど、問い詰めることでもないので本人がオレに話してくれるまで、黙っていた。
…ただ、事実を確認する事が怖かっただけなのかもしれないが。何かにつけて、翔太の面影を探している様で。
『お兄ちゃんが天国に来るのは、まだ早いよ!はい、早く戻って!』
オレの声でその口調は、少し気持ちが悪い。何というか…むず痒い。
「やっぱ、お前だったのか」
そう言うと、
『あれ?もしかして、バレてた?』
と、返ってきた。
だから、
「当たり前だ」
とだけ、答えておく事にした。
『いつからバレてた?』
「割と早い段階で」
『結構ちゃんと、【俺】を演じてたのに〜?』
馬鹿。お前のお兄ちゃんを何年やってると思ってんだ。
分かって当然だっての。
お前、お兄ちゃん舐めすぎ。
『ま、いいや。それはそれとして。とにかく!お兄ちゃんは、早く帰って!』
帰れって言われても…。今更帰り方分かんねぇよ。
その事をそれとなく伝えると、翔太は少し怒った感じで、言葉を紡いでいた。無茶苦茶で、よく分からなかったけれど、要約するとこうだ。
『僕…まあ、つまり【俺】と違って、まだちゃんと死んだ訳じゃないから、間に合う』
…らしい。
まぁ、ちゃんと死ぬってどういう事だよって感じだけど。
『お兄ちゃんは、まだ生きるべきなんだよ!』
力強く言った。
やはり、と言うべきか何なのか分からないけれど、オレより大人だなぁ、と全く関係のない事を思った。
オレが反論しようとしても、口を挟ませてくれないほどに、まくし立てて続けた。
『僕は死んだけど、お兄ちゃんは生きてる。僕はもう生きる事が出来ないけど、お兄ちゃんは生きる事が出来る』
『もし、お兄ちゃんが僕に…お、負い目?みたいなのを感じてるのなら、それは違う』
『むしろ、そう感じてるのならその方が、僕にとっては嫌だ。お兄ちゃんには、僕の分まで生きて欲しい。幸せになって欲しい』
『少し前に…【俺】の時に、似た様な事を言ったかもだけど、お兄ちゃんが幸せになってはいけない、なんて理由は、何処にもないんだから』
生きる事を止める事こそが、死者に対する冒涜だ。
纏めると、こんな感じだ。
それはとても正しく。
そして美しい考え方だった。
綺麗事は嫌いだ。
だけど、貫き通せるのなら。
自分が自分で居られるのなら。
綺麗事は好きになれる。
まぁ、じゃあ、弟の言われるがまま、それに従う兄は自分でもどうかと思うが。
仕方ないなぁ。
弟の最期の頼みだもんなぁ。
それを聞けない程、器の小さい人間でもない。
『【俺】…僕…どっちでもいいや。もう一つオマケにお兄ちゃんにお願い事〜。約束事、かな?』
世界中にいる兄でも、まぁ多分弟から言われた事のないセリフだと思う。
『幸せになる事。天国に来るまでの宿題ね!』
「…宿題か。面倒くさいなぁ…。でもやってやる。ありがたく思え」
素直に言えないところが、全くオレらしい。
少しずつオレの意識が薄れていく中、翔太が最期に何かを言っていた。
『****!』
どう頑張っても聞き取れなかったけれど何となく分かった。
最期にオレも、オレらしくそれに返事をした。
「どういたしまして!」
きっとオレのこの言葉を聞いて、翔太は笑っている事だろう。見なくても分かる。
…まぁ、こんないい話風に語っておいて何だけど。
この話には、ちゃんとオチがある。
独りぼっちのこの世界で。
海と一つになっていく中。
オレの息は絶えた。
つまりは、って言っても何となくお察しだろう。
独りぼっちのこの世界で、オレは。
死んだ。
このままじゃあ、バッドエンドじゃないか!?
1話で言っていたハッピーエンドでバッドエンドな終わり方にする為に、まだあと1話あります!
つまるところ、次回最終回です!
間違えました!最終回予定です!




