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風邪だと思ったか?

 なるほど、なるほど。

 そういう解釈もアリだな。

 これは風邪ではないという解釈。

 まぁ、それはそれは。

 考えてみれば分かりそうなものだった。と言うよりは、分かって然るべきだった。分かって当然だ。

 当たり前な事だ。当たり前な事過ぎて、確認する事を忘れていた気もする。

 では、今。改まって確認しよう。


 オレは医者ではない。お医者さまじゃないんだ。

 それなのに、いや、それだから、か?

 それだからオレは、この症状を風邪だと決め付けていた。

 この病気に台詞があるとするなら。

 差し当たってこんなところだろうか?

「はっはっはっ、俺を見くびっていたな?風邪だと思ったか?!馬鹿めが!」

 と。捨て台詞は、これで決まりだ。

 ……はいそこ。弱そうとか言わない。

 確かに、確かにゲームで言うと、中盤くらいでアッサリと倒されそうな、ザコ臭漂わせているけれど。

 それでもオレは、そんな病気に苦しめられているのも事実だ。


 そして、今一度言おう。これは風邪ではないらしい。

 これは、そんな単純なものではないようだ。

 言われてみれば納得がいく。納豆じゃないよ、納得だよ。

 普通、風邪はこんなに長引かない。

 普通、風邪はこんなに身体が動かなくなるものではない。


 納得、納得。

 これは、風邪ではない。…理解した。


 じゃあ。だから。しかし。なので。だが。けれど。

 いや、接続詞はなんだっていい(オレはあまり勉強が得意な方ではないのでこれを接続詞と言うのかは分からないけれど、この場合は敢えてそう表現させてもらう)。

 大事なのは、そこではなくその先に紡ぐ言葉なのだから。接続詞は言うならば、付属品だ。


 吹くと笛のような音がするラムネに付いてくる、オモチャと似たようなものだ。

 ん?あれは、ラムネが付属品なのか?オモチャが本体で、子供にとってラムネの方が付属品なのかもしれない。

 オレも子供の時、付いてくるオモチャ欲しさに、あのラムネ買って貰ったりしていたもんなぁ…懐かしい。

 しかも、あれはラムネも面白かった。

 本当に笛みたいに音が出る。音色が出る。

 あれを考えた人は天才かっ?!

 子供なら1度はあのラムネで遊んだはずだ。

 何を隠そう、オレは今でもたまにあのラムネで遊ぶ。

 …たまにだからな?だからそんなダメ人間を見るような目でオレを見ないでくれ!


 ってか別にいいじゃん。誰が何で遊ぶかなんて事は、個人の自由ではないだろうか。

 公園の遊具にしたってそうだ。子供が遊びたいなら遊ばせればいい。なのに最近は、安全性とか何とか言って、子供の遊具を撤去している。

 あれは良くないと思う。子供が遊具を通して、学ぶ事がなくなってしまうから。

 怪我をして、初めて学ぶ事だってきっとあるのだから。子供が自分で考える事を止めさせているような気がしてならない。

 怪我の功名とかって言うじゃないか。つまりそういう事だ。

 まぁ、オレは怪我の功名ってことわざの意味、知らないけれど。


 …と。思考が横に横に滑ってしまった。

 元に戻そう。

 あれ?オレは何の話をしていたのだろう?

 あぁ、そうだ。思い出した。オレの病気の話をしていたのだった。


 んん!と。

 ここで、咳払いを一つして、仕切り直し。


 これは、一体全体何の病気なのだろう?


『あれじゃね〜?最近の流行りのインフルってやつ。B型。倦怠感とかは少なく、熱が下がらない。おまけに身体は元気なのに、咳が止まらないやつ』

 ま〜、この世界に流行りも何も無いけど、と。【俺】は、そう言った。

 まるで最近までそのインフルB型に罹っていたような口ぶりだった。


「それはねぇな。オレのこの(多分)病気は、身体が動かねぇもん」

 笑えない。冗談にすらならない。

 こんな病気は聞いた事がないから、対応のしようもない。


 もちのろん。この世界には、医者なんている訳もなく。

 この病気が何なのかも分かるはずもなく。


 どの薬が効いてどの薬が効かないのか、なんて事も分からないし、これから先も分からないだろう。


 出来ることは何もなく。

 いやいや、一つだけあった。これはもう、選択肢にさえ入る事のない意味のない行為だけど。

 それでも、オレにはそれしか出来なかった。


 それは、どんな行為かと問われたら答えるのは簡単。


「早くこの病気治んねぇかなぁ」


 と、そう呟きながら。

【俺】と2人で、映画を見る事だった。

インフルB型に罹ったのは紛れもなく僕です。

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