21g
魂の重さは21gである。
アメリカのマサチューセッツ州の医師、ダンカン・マクドゥーガルの実験でそう言われるようになった。
人間は死の際に、呼気に含まれる水分や、汗の蒸発とは違った何らかの質量が失っていたのだと言う。
*************
へぇ、魂に重さなんてあるんだな。興味深い。
『じゃあ、相棒はさ〜、【俺】の分も含めて魂の重さは42gだな〜』
まじか。お前のせいでオレの体重が増えるのか。それは、何と言うか…やだなぁ。
『21gくらい、いいじゃん』
ここ最近、ずっとこんな風に話している。
オレの風邪が治らないから。
風邪が治らない、訳ではないのか。
ただ、熱が下がらない。身体が動かないだけだ。
「そう言えば、そんな映画あったな。21gって映画」
『おお〜!面白そうじゃん!見てみようぜ』
こんな事しか出来ない。
思うように身体が動かないので、世界を周れない。
いや、別段急ぎの用っていう訳でもないのだから、そんなに焦る事ではないのだけど。
それでもやはり、少しばかり焦ってしまう。
焦り。焦燥感。
まだ世界を少ししか、見ていない。視ていないのだ。
こんなに身体は弱くなかったはずなのだが。
『21gってどんな映画?』
「人は死んだ時何を得、何を失うのか。生と死。愛と憎しみ。たった21g。人間の魂を揺さぶる何かがそこにある。
って説明文には書いてある」
『うわ〜。ドロドロしてそう。それホントに面白い?』
「まぁ、お前は好きじゃないかもな」
【俺】は、どっちかと言うとコメディ調なのが好きらしい。アクションやら、コメディやら。シリアスはあまり得意ではないみたいだ。最近ではよく、一緒に映画や、アニメを見ていて気付いた。
そこら辺はやっぱり、オレとは違う。
オレは、シリアスや重厚なストーリーが好きだ。重みがある物語の方が、心にくるものがあるとオレは思っている。
『他の見ようぜ〜』
「例えば?」
『う〜ん…ジブリとか?』
「千と千尋とかか?」
『あれがいい!バルスするやつ!』
「あぁ、はいはいラピュタな」
ってか、バルスするやつってその説明でよく通じると思ったよな。普通は多分通じないぞ。
ラピュタは、オレも好きだ。
マニアックになってしまうかもしれないけれど、パズーがラッパを吹いているシーンが1番好きだ。
たまに、オレと【俺】の趣味が一致する。その分かりやすい例がジブリ作品だったりする。
『【俺】は、あそこが好き。人がゴミのようだ。って言うシーン』
お前…絶対ジブリ作品の良さ理解出来てねぇだろ。
まぁ、とりあえずラピュタを見るためにDVDを探す。
あったあった。ジブリ作品は、一纏めに置いているのだ。
オレ達は、ラピュタを見る。
見る事、2時間ほど。
『目がぁ、目がぁぁ!ってシーン良かったな』
「お前もう、ジブリ作品が好きだとか言っちゃダメだと思うわ。何も理解出来てねぇじゃん」
『じゃあ、相棒は理解出来たってのかよ?』
「当たり前だ!まず、ラピュタで忘れてはいけないのが、パズーが食べていたパン!あれめっちゃ美味しそう」
目玉焼きがのってるやつな。と、オレは付け足した。
『相棒も多分、見るところ違うと思う…』
案外、オレと【俺】は似ているのかもしれなかった。
*************
そろそろ熱を測る時間だ。ここのところ、毎日熱を測っている。まぁ、日記を付けるため、と言うのが1番近い理由だ。
風邪を引いてからは尚更だ。
ピピピ、ピピピ、と。
体温計が鳴った。
37度7分。やはり熱は下がってくれない。
風邪ってこんな長引くもんだっけ?
そう思っていた。
ただ単純にこれはそういう簡単なものだと。
けれど違った。
『相棒〜、前から思ってたんだけどさ』
【俺】が核心に触れる何かを言う。
『それって、ホントに風邪か?』
あぁ、そんな事にも気付けない程に、オレは馬鹿だった。
パズーの食べていたパン。あれ本当に美味しそうですよね。




