つかの間の
マニラ大聖堂、見て来ました。
なんも言えないくらいに、その空気に呑まれた。
日本では絶対に味わうことが出来ない感覚だった。
『いや、もう凄いって言葉以外見つからね〜わ。』
その意見だけは同感だ。
でも、と言うべきか、やはり、と言うべきかは分からないけれど、この国にも誰1人いなかった。
まぁ、オレの目に届く範囲内で、って事だが。
なんとなくは分かっていた。しかし、実際に知ると絶望した。
だけど、それでもオレはこの旅をやめない。
最初に言った。
世界を一周しようと思う。
例えそれがオレしかいないと分かっていても。
多分この先も誰もいないのだろう。
分かっている。分かっていた。
『相棒〜、【俺】も合わせて2人、だろ?』
……どうやら、オレは独りではないらしい。
この先はオレと【俺】で、世界を周る。
ようやくそれを実感できた気がした。
『じゃあ、そろそろ決めなきゃいけね〜事があるんじゃね?』
決めなければいけない事?どういう事だ?
【俺】の声音は真剣そのものだ。
『【俺】と相棒。』
ここで1度、【俺】は言葉を切った。
オレはおもわず生唾を飲んだ。
ゴクリ、と。
それほどに【俺】が真面目だったから。
『どっちがツッコミで、どっちがボケかって事だ。』
…真面目に聞こうとしたおれが馬鹿だった。
「今の発言で、おまえがボケ役だろ。」
『いやいやいやいや、相棒だってかなりボケてんじゃん。』
「お前ほどでもないけどな。」
『照れる〜、じゃねえ!褒められてね〜!
ほら、【俺】ノリツッコミも出来るよ?【俺】がツッコミ担当だろ。』
「はいはい、それでいいよ。面倒くせぇ。」
『待て相棒!投げやりはヤメろ!真面目に話してる【俺】が馬鹿みたいだろ!』
…お前は今も変わらず馬鹿だろ。
その言葉は、オレの心の内に留めておいた。
頭の中を共有しているなら、意味がない配慮だけど。
今日は2人でずっとこんな勢いで話していた。
夜が更けるまでずっと。
…オレらは修学旅行ではしゃぎまくってる学生かよ。
その通りだけども。
夜飯は、フィリピンの郷土料理を真似して作って食べてみた。
フィリピンの料理は胡椒やトウガラシなどの香辛料、ショウガや、タマネギ、トマトと言った、香味野菜が主に使われているらしい。
そして、フィリピン料理の特長と言えば、1種類の食材だけでつくられる料理は少ない。
だから、作るのはなかなか新鮮で楽しかった。
オレは多分、食べ物に関して好き嫌いが少ないのだと思う。
外国の料理はやはり、日本とは違ってくるので日本人としては好き嫌いが分かれてしまうのだが、オレは全て美味しく食べる事が出来た。
考えてみれば、小さな頃から嫌いな物は無かったなぁ。
あ、牛乳は飲めないけど。
牛乳と言えば、何故小学校や中学校では、給食の時に牛乳が出てくるのだろう?
給食の時間はいつもあいつに苦しめられた。
先生には「残したらいけません。」とか言われるし。
仕方ないじゃん。飲めないんだからさぁ!
そもそも強制するのがおかしいんだよ。
誰にだって好き嫌いはあるだろうに。
あれだって生徒からしたら、先生からのある種のイジメみたいなものじゃないか。
先生だって嫌いなものくらいあるはずなのに、その気持ちを汲んでやれないのかって言う…
『相棒、それくらいにしといた方がいいと思うぞ。』
ストップがかかった。
いかんいかん。オレとしたことが、過去のトラウマを今になって爆発させてしまった。
『【俺】はそろそろ寝るわ〜。おやすみ〜。』
【俺】さんが現実世界からログアウトしました。
みたいな感じで【俺】がログアウトした。
じゃあオレも今日はここら辺でログアウトするとしますかね。
今日はきっと疲れていたのだろう。
目を閉じると、それは簡単に眠る事ができた。
この日は夢を見た。




