妄想と現実の格差
下ネタかなあ。
妄想はあくまで妄想のままのほうがいいときも有るって話。
ほかほかと湯気をたたせながらルークがお風呂からあがってきた。
ルークはお風呂上りだというのにいつもの衣装をしっかり着込んでいる。
ちなみに替えは何枚かあるそうだがすべて同じようなデザイン。
つまり露出度も変わらない。
それはもう足の先まできっちり覆い隠されているのである。
ここはジンの自室、いつもの寮の部屋である。
なのでお風呂は当然二人で入るなんて事想定されておらず、狭い。当然いつも通り別々に入る予定である。
ルークの脅迫により一時は使用できる予定だった魔術師の家であったが先日の家捜しで色々一般自民にはお見せできないものが出てきてしまったので、ただいま呪の一件とは別に探索中である。
おかげで一緒にお風呂に入るという話は見事に流れた。
家をよこせというのも横暴な話だとあの時は思ったが駄目だとなるとへこむジンである。
だってしょうがないだろう、見たかったんだから!勿論いやらしい意味で!!
ふだんしっかりばっちり隠れてるものが見れるとか期待するだろ普通!
しかしルークが全裸なら俺も同じように全裸なわけで、風呂だから当たり前っちゃ当たり前なんだが。
この身体は色々な面で高スペックになっているが、股間のあれって俺のこれどうなんだろう。
ルークと一緒に風呂に入るに当たりまず気にするのがそこである。
なにかもう紳士のかけらもないが、気になるものは気になるのだろう。
ジンはここにきて比較対照を見たことが無かった。ここがもう少しBLに優しい世界ならルークを拾う前に風呂場や寮で『アーーー』な展開が起きていてもおかしくはないが残念ながらそんなわけもないので、ジンは自分のモノが他と比べてどうであるか知らなかった。
最もジンと違い邪な目で見たりしないだろうルークがそこばかり気にするなんて事は無いだろうが。
その意味では一緒に入らなくて良かったのかも。
ああでもソレだといつまでたっても見れないし!
いっそそういう関係に為るのが一番手っ取り早いだろうけどルークにその気が無いのに無理強いとか無い!
だって天使だもの、そもそも同じベッドに寝てるのに全く警戒されてないし!そこからそんな展開どうしたら作れるのか聞きたいぐらいだ!
それに関して寝ぼけてベッドに引っ張り込んだのもジンなら、そのまま羽毛に顔をうずめて朝までぐっすりだったのもジンなので警戒心がない原因はのはジン本人にあったと言っておこう。
そんなことをジンがかんがえている間、いつの間にかエプロン装備のルークがやってきた。
「ジン、すみませんがご飯の支度もう少しかかりそうなので、先にお風呂に入って来ていただけますか?」
ジンはうなずきながらも風呂場ではなくルークに歩み寄り、エプロンの縦になってしまっていた結び目をなおした。
魔術師との一件の罰のためうっかり外で出してしまわないようにルークの翼は部屋でも常時見えなくしてある。みえなくともそこにある翼がわさわさと腕に当たるが、ジンの手付きはよどみない。
なにか新婚さんみたい。
二人は同じことを考えていたが、ルークはうつむいて仄かに顔を赤らめ、ジンは無表情を装いながら内心ニヤニヤしていたので二人のイメージにはどうやら誤差があるらしい。
ちなみに今ルークが装備しているのはジンが買ってきたエプロンである。
さすがにベタな白いフリルはあまりにも実用的でないため諦めた。料理中に白を身につけるなんて、下ろしたてのシャツでカレーうどんを食べるようなものだ。チャレンジ精神旺盛すぎる。
「よし。」
きっちりとリボン結びの輪の形を整え、残り部分を片方だけ長めにたらす。
そっちのほうが可愛い気がするという妙な拘りの元作成されただけありなかなか綺麗にできている。
「ありがとうございます。」
ジンに礼を言うためにルークがくるりと身体を反転させる。
翻るエプロンの裾に、なにこれなんのサービス?誰に向けてのサービス!?ああ俺ですかありがとうございます。などと脳内でジンはシャッターを切りまくった。
そんな事をしていたからだろう、ルークが何か言ったのを聞き逃した。
「ごめん、なに?」
「えっと、ですから。」
「うん。」
「ジンは触手はお好きですか?」
「・・・・ごめん、聞き逃した。なんだって?」
「触手です。嫌いですか?」
ルークが調節したであろう熱めの設定を一気に下げてジンは頭から冷水を浴びた。
壁や身体に勢い良くぶつかる水の飛沫が大きな音を立ててジンからは水の音しか聞こえなくなる。
ジンはそのままごつりと壁に額を押し付けた。
触手が好きかどうかって・・・なに?
好きか嫌いかで言えば大好きですが!
年齢制限つきの薄い本ならそれオンリーのアンソロができるほどのメジャーなエロアイテムとか嫌いなはずが無いだろう!
なにこの世界ってナチュラルに触手とかあるの!?
っていうかこれはそういうプレイに誘われてるってことでいいのか!?
いやしかしこの身体でそういうこと一回もしてないのにいきなり触手はハードすぎると思うんだ!
できるものならいずれはしてみたいと思うけどね!?
とりあえず種類によるって答えてきたけども!
だって触手モノいろいろあるじゃん、簡単に分けて植物系と動物系!
個人的には植物系が好きだが、ルークは肌の色けっこう黒いから半透明な感じのスライム的な動物系とかも多分視覚的に楽しいんじゃないかとおおおおってだめだこれ完璧にグロイ系になる。
っていうかルークの身体をなにか得たいの知れないものが這い回ってるって状況ちょっとイラっとする。
しかたないから触手妄想はルーク以外でしよう。
しかしルーク種類によるって俺の発言に「それもそうですね、なら一番スタンダードなもので試してみましょう」
ってどういうこと!?
そんなに種類あるの!?
っていうかなんでそんなこと言い出した!
俺が邪なことばっかり考えてたせい!?ないそのサービス精神!
魔力で位置が分かるとかと同じでまさか考えてることまで分かるとか言わないよな。
いや流石にソレは無いと信じたい、最初からそれならルークがいまだにここに居る意味がわかんないし。
それに最近の妄想の最多出演者はロキとウィルだし!幼馴染設定おいしいです。そのながれで触手は流石におかしかろう。
ルークは凄く可愛いし、反応もいいんだが、何故か地味に妄想しにくい。
俺以外×ルークってのが既にいやだから一気に妄想の幅狭まるし。だってルークは俺の嫁だから!
ジンが風呂から上がると待ち構えていたようにルークが食卓へと促した。
あれ、触手は?と思わなくも無かったが、聞いてみただけかもしれないと思い直し、ジンはいつものように食べ始める。
「どうですか!?」
なぜか真剣に聞いてくるルークにジンは今しがた口に入れられたものを咀嚼する。
ルークが食べさせてくれたそれはコリコリした食感だ。アロエにもっと弾力をつけたような感じである。
少し青臭いが味は美味しい。ルークの料理の腕によるところも大きいだろうがジンは「おいしいよ」と返した。
「よかった!触手って栄養はあるんですけど青臭いって苦手な人も多いんですよ。」
「・・・?」
「次から他の料理に入れても良いですか?」
「ああ。」
実は料理のレパートリーがあまり広くないからどうしようかとおもってました。あ、もちろんこれからもっともっと増やしていきますけど、それでも栄養の偏りとか気になるじゃないですか。でもそのために嫌なもの無理に食べてもらうなんてしたくないですし。
そう語るルークはエプロンつけっぱなしの効果もあってかなりの良妻に見える。
見た目は好みど真ん中、正確は健気で努力家で優しい、ときどき暴走しているようだがそれも過ぎてしまえば可愛いものである。もはやジンの中ではなにも言うことは無いぐらい完璧なのだ。
しかしジンは一点確認しておくべきことがあった。
「触手って、食品?」
「ほかに何があるんですか?」
うん、そうだよな。
よく考えたら契約者として慕ってくれてるけどルーク別に男が好きとかってわけじゃないし。
この口からそんなエロネタでてくるわけないよな。
いや、食用とはいえ実際に存在してるってだけでよしとしよう。
「ちなみに触手ってどこで売ってるの?」
「ぶつ切りならジンが行っていた果物のお店でも買えますよ。育てるならどこかから株分けしてもらわないといけないですが。」
マジでなんか野菜扱い!!
あれ、触手って俺が想像してるのと同じだよな。
「ですがあまりおすすめは出来ませんよ、栄養が足りないと近くに居る生き物に見境無く襲い掛かりますから。」
「襲うって?植物がか?」
「はい、根から土壌の毒素を吸い上げて生き物を毒殺したあと触手部分を肉の柔らかいところに突き刺して強酸で内臓や筋肉をどろどろにして液状にして吸うんですよ。後には骨も残らないそうです。今は品種改良されてそこまでじゃないらしいですが。」
それ俺の知ってる触手と違う。
たしかにちまちま体液吸うより全部美味しく頂いたほうが栄養取れるに決まってる。だけども!!
「悪食だ。」
「そうですよね、部位によって調理法も変わるのにそんなぐしゃぐしゃにするような真似!」
いやルークそれも違うから!
っていうか完璧に捕食者サイドの発言だそれ!
ジンは今までそれほど感じたことのかなった世界観のギャップに、ちょっぴり凹んだと言う。




