お出迎え 参
また別の日。
今日は友達とアニメイトに来ている。色々と盛り上がりながらお喋りをしていたところに、電話がかかってきた。
こんな楽しい時間を壊すやつがいるのか。……いるんですよ。
無視すればいいのだが、前にもこんなかとがあって、その時は無視して電話をとらなかったのだが。その結果、何回も何回も電話がかかってきて、着信履歴が兄貴で埋まっていたのを覚えている。
それからと言うもの、兄貴の電話には出来るだけとろうとしているのだ。
電話の通話ボタンを押し、耳に押し当てる。
「……何? 今アニメイトに来てて電話なんてしてる暇、これっぽっちもないんだけど」
「え、アニメイト?! まっじで?! 俺ってタイミング良いー♪」
僕にとっちゃ、最悪のタイミングなんですけど。
「俺に土産よろしくー」
と兄貴は電話を切った。
一回電話をしたら止まらない兄貴がこうも簡単に切ってくれることに嬉しさが込み上げてきたが、ただただ僕の金が減ることだけを言って切ったのは腹がたつ。
「……はぁ。仕方ねぇなぁ」
あいつのせいで金が減るのは嫌だが、そこまで僕は鬼じゃないので何か、適当なものを買ってやることにした。
そして帰宅──やっぱり"いた"。
何が?
兄貴が。
「何買ってきたんだ?」
おいおい。その一言の前に『おかえりー』と言う一言があるだろ。てか、僕が買ってくること前提なんですね。……買ってるけど。
……もしこれで買ってきてないよって言ったらどんな顔するんだろ。
僕のS心が動き出した。
「買ってくるわけないだろ。第一、何で僕が自分の金を減らしてまで兄貴の買うんだよ」
「ぇ、だってお前、頼まれたら断れないじゃん。それに今まで買ってこいつって買ってこなかった事なかったし」
「…………」
確かに。
僕のS心は儚くも散った。
事実な事をスラスラと述べられてしまってはなにも言えない。
「…ほらよ」
僕は事実を述べられ、なにも言えなくなったのを誤魔化すかのように、買ってきたものを投げる。
投げたのは、リ●ーンのキャラクターのキーホルダーだ。
兄貴はそれを急に投げたのにも関わらず、いとも簡単にパシッと取ってしまう。
…反射神経だけは良い兄貴。
「お、サンキュー♪」
といって、兄貴は部屋へと戻る。
…あんな嬉しそうな顔しなくたって良いじゃないか。ただのキーホルダーだよ? アニメイトにしては安いたったの200円するキーホルダーだよ? そんなので喜ばれたら……。
「…別になんとも思ってねーし…」
と呟いて、僕も部屋へと戻る。
そのあと兄貴がはしゃぎすぎて、キーホルダーを壊したことを知るのはまだまだ先の事である。




