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とある薬師の受難  作者: 散歩道
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忘れてごめんなさい。

「にいちゃん、すげぇすげぇよアレ!」


「なぁ!あれどうなってんだろうな~?あ、また空中で方向変えた!」


空を舞うは一匹のゴブリン。


地を駆けるは一匹のコボルト。


相対するは、赤い鱗のレッドドラゴン。


誰がどう見ても、勝ち目の見える戦闘では無い。


ところがどういう事だろうか。


ドラゴンの鱗はあちこちひび割れ、所々剥がれ落ちている。


その顎に生える牙は痛々しく折れている物も多い。


「ギギ! コボジ イクゾ!!」


「ゴブイチ ノ アニジャ ユダンスルナ!」


おぼつかない人語を解しての意思疎通は問題なさそうにも見えるものの


ほとんどが目線のみで会話しているようにも見受けられる。


小さき者たちの両者共に武器どころか腰に粗末な布を纏う以外防具すら身につけては居ない。


「あんちゃん?これヤバイんじゃないの?」


「加勢したほうがいいのかなぁ?」


「にゃにゃ?五部一達の心配かにゃ?そんなのはいらないにゃー。」


「な、なんでだよ?相手はレッドドラゴンだよ?


おいら達だって五人でやっとの相手なのに、五部一さんやコボ二さん達なんて素手だよ!


防具も無しじゃ死んじゃうよ!」


などと、ケタケタ笑うにゃーに対して子供たちは先ほどからオロオロと落ち着かない様子。


この間のご褒美にとセバスの計らいでにゃーが子供達を五部一達の村にある温泉へと湯浴み旅行へ

連れて来たときの事だった。


温泉につかってゆっくりとくつろいで居ると一匹の赤竜が迷い込んできたのだ。


その場に居たのは、にゃーと子供達五人に案内役として五部一とコボ二の8人だった。


子供達は急いで戦闘準備をしようとした所でにゃーに止められ戦況を観戦する事となったのだ。


にゃーに言われるまでも無く阿吽の呼吸で飛び出す二匹はその足を生かして相手を撹乱するコボ二に

空を蹴り鱗の継ぎ目や防御の薄い部分を狙って繰り出される一撃一撃が既にも関わらず赤竜の鱗を破壊していく。


赤竜の方は限界が着たのか空を飛ぶ事もままならず地に足をつけ荒い息を吐く。


その目には驚愕の色が浮かび恐怖に染まりつつある。


彷徨って、見つけた餌にまさか自分がここまで追い詰められるとは夢にも思わなかったのであろう。


最後の力を振り絞り必死に抵抗するも、その願いかなわず五部一に止めを刺されて事切れたのであった。


「すげー!」


「五部一さんすげぇ!」


「なんで、ゴブリンとコボルトで赤竜に勝てるんだよ!?」


「ありえねぇ!」


「あたし達でも必死なのに、何であの二人はへっちゃらなの?」


「そりゃ、鍛え方が違うにゃ!あいつらは古さだけならあたしたち三人の次に古いからにゃー。」


「アネサン フルイ チガウ」


「ソウ フルイ ジャ ナイ ナガイ」


「あにゃ?そうだっけ?」


「にゃーさんより頭いいのかな・・・?」


「アニジャ ムラ マトメヤク ムラオサ アタマイイ」


「ソンナ コト ナイ ゴシュジンサマ カエラナイ ムラ マモル」


「んにゃ? ご主人様ならこないだ帰ってきたにゃー!」


「「!?」」


その言葉に五部一とコボ二は首をかしげる。


「ゴシュジン オレタチ イラナイ?」


「オレタチ ステラレタ?」


「ん~。いつも通り忙しいだけでその内来るとおもうにゃ?」


「ホント?」


「オレタチ ノラ ナラナイ?」


「ガンバッテ ムラ オオキクシタ」


「ヤサイ サカナ ニク ナンデモ トレル」


「ゴシュジン スキナ ミソ ショーユ イロイロ ツクル」


その頃のジンタと言えば魔法で移動すればあっという間に行ける事を焦る余りにど忘れし、


五部一達の村まで馬車で2週間かかるはずの道のりを半日で残り数キロと言う所まで来ていたのだった。


後から流れたうわさによると、地を這う大蛇が出たとか風竜のブレスが飛んできたとか

あらぬ噂が流れるも、ジンタの走った後には余りの速さに生じた衝撃波ソニックブームでなぎ倒された木々や魔物達が散乱し、駆け出しの冒険者達のいい収入になったのはジンタの知らぬことであった。


「はぁ、はぁ、はぁ。やっと村が見えてきた・・・。」


それから程なくして村に着くとジンタの目には驚愕の光景が浮かぶ。


村というより、すでに街。それも獣人や魔物のみが生活する街が出来ていたのだ。


そうし街を眺めていると衛兵の格好をしたオークに声をかけられる。


「オイ ニンゲン ココ ニ ナンノ ヨウ ダ 


ココハ ニンゲン イナイ アブナイ カラ カエレ。」


「おぉ、喋るのか。人語が通じそうで助かるな。」


「ナンダ? ナニカ ヨウジ デモ アルノカ?」


「あぁ、五部一とコボ二は居るか?」


「ナンデ ニンゲン ガ オサ ノ コト シッテル?


オサ タチ ノ キャクジン カ?


オクニ ツレテイケナイ コッチ マテ。


オチャ ヲ モッテクル。」


そう言って通されたのは詰め所の様な場所。


お茶は緑茶の様な物にお茶菓子として煎餅まで出てきた。


何だこれ?人間の街より凄いんじゃねぇか?


「長達はどの位で帰って来るんだ?」


「アサ ハヤク ニンゲンノ コドモ ツレテ オンセン イッタ


オソク ナルトハ イッテイタガ キョウ モドル ト イッテイタ 」


「そうか、なら待たせてもらいたいんだが良いか?」


「キマリ マモル ダイジョウブ」


「なんかルールでもあるのか?」


「ブキ オイテイク アト コレ ツケル」


「ん?腕輪か?」


その差し出された腕輪に見覚えがある。

俺が昔に作って渡したものだ。


捕らえた盗賊などにつけさせ魔法を封じる物だ。


魔法を封じると言っても全く使えなくなるわけでは無く生活魔法以外の魔法の発動を感知して

魔法の発生自体を阻害するものだ。


「コレ アト ヒトツ シカ ナイ 


コワサナイ ヤクソク デキルカ?」


「そんな大事なもの良いのか?それに突然来た人間を信用して良いのか?」


「オサタチ ノ シリアイ ワルイ ニンゲン イナイ 」


「そうか、ありがたく受け取ろう。」


そう言い、腰に下げていた武器を手渡し腕輪を付ける。


「ちなみに、金は使えないよな?」


「コノマチ カネ ナイ ミンナ コウカン」


「ふむ。こんなの物でも良いのか?」


アイテムバックから赤熊の肉や毛皮などを出す。


ココに来る途中で轢いてしまった為回収したものだった。


後半はめんどくさくて放置してきたが結構な量がある。


「スコシ キズ アル デモ ワルクナイ」


「そうか、他にもあるし」


「サイキン ショウニン コナイ


コレデ ムラ ノ イチバ ミンナ ヨロコブ 」


「ほ~。商人なんてくるんだなぁ。」


「トキドキ どわーふ ヤ エルフ ノ ショウニン クル。


ミソ ショウユ コメ モッテイク カワリニ イロイロ クレル。


デモ サイゴ キテ ハントシクライ コナイ。


エルフ ハ オレガ コドモ ノトキ キタアト キテナイ。」


「ドワーフかー。そう言えば姿を見ないなぁ。


エルフ達は元気だったからその内来るだろう。


あいつら長生きだから数十年でも昨日とかの感覚だろうしなぁ。」


「ニンゲン イロイロ シッテル。オサ モドルマデ タノシンデケ。」


「あぁ、そうさせて貰うよ。」


詰め所を後にすると、市場の場所へと向かう。


珍しい物があると嬉しいのだがなぁ。

前回の続き。本日も暑さに負けず頑張っています。


次話も楽しみにお待ちいただければと思います。

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