魔物の街で再開したのは・・・
「お前らいい加減にしやがれ!揃いも揃ってガウガウ、ギャァギャァと人語の解る奴は一匹もいねぇのかよ!!!」
そう、オレは今獣人や魔物の連中に囲まれて身動きの取れない状況に居るのだった。
事の始まりは、詰め所を出て市場に向かった所で肉の焼ける匂いに釣られてフラフラと屋台の前まで誘われていったところで起こったのだった。
「それ美味そうだな?一つ貰えるか?あ、そうか金は使えないんだった。」
手持ちのバックから食えそうな魔物やウサギなどの獲物を出して差し出そうとすると後ろを歩いていた奴らが一斉に振り返り我先にと自分の欲しいものを指差し代わりにとあれこれ突き出してきたまでは良いとしよう。
野次馬が野次馬を呼び、下手をすれば市場中の連中が集まってきたんではないと言うほどの人?だかりになってしまった。
悲鳴に近い叫び声をあげると、野次馬の後ろの方が急に静かになる。
「ん?一体なんだ?急に静かになったぞ?」
静かになった野次馬達が急に真ん中から道の左右に分かれる。
さながら御伽噺で聞いた海が割れるような光景にも思えた。
魔物達が別れた先から一つの影が物凄い勢いで走ってくる。
徐々に影が大きくなり何かの動物に乗った人のようにも見える。
いや、あれは違う人じゃないオレはあいつ等を知っている・・・。
「コボ二お座り!!」
キキーと土煙を上げながらの急ブレーキ俺の目の前まで着て尻尾を千切れんばかりに振りながらのお座り。
「コボ二、お座りは良く出来たと思うが五部一が酷い状況になっているぞ?」
「ア アニキ !!! ダイジョウブ? イキテル?」
そう、急にお座り状態になったが為五部一は背にまたがったままの格好で後頭部を地面にぶつけて
そのまま引きずられてきたのだった。
「グゥ ダ ダイジョウブ ドラゴン ヨリ イタクナイ」
「にゃー?何を馬鹿なことをしてるにゃ?」
そこに、にゃーが子供達を引き連れて現れる。
「ぉ?にゃーじゃねぇか。その赤竜はどうした?迷い竜でもでたか?」
「そうだったにゃ!御主人!コレ解体して欲しいにゃ!」
「まー、にゃーにかかったら赤竜位瞬殺だしなー。」
「んにゃ?違うにゃ。これ倒したのは五部一とコボ二にゃよ?」
「へ?五部一とコボ二が?」
確かに、ゲーム時代に最低種族で何処までやれるか実験で鬼の様に鍛えた記憶はある。
だが、せいぜいワイバーンまでだったはずだ・・・。
「ゴシュジン オレタチ ガンバッタ 」
「ゴブイチ ノ アニキ ト イッショ ドラゴン カテル」
「しかし、お前らそんだけ強くなったのにクラスアップしねぇのか?」
「「????」」
「御主人ずっと居ないから無理にゃ!」
「あぁ、そうか従者化した魔物は俺が居なきゃクラスアップできねぇわ。」
にゃーに言われて気がつく俺も俺だが何故そんな事をにゃーが知っているかは疑問に残るが
どうせセバスの入知恵だろう。
「ゴシュジン オレタチ マダ ツヨクナレルカ?」
「ホント?オレ モ アニキ モ ツヨクナル?」
「あぁ、明日の朝になれば嫌でも解るぞ?」
「ゴシュジン コンヤ ウチ クル」
「アニキ ト オレ タクサン ガンバッタ」
「あんちゃん、五部一さん達マジですげぇんだって!」
「そうそう、五部一さんなんて空中で何回も飛ぶんだよ?」
「コボ二さんもいつの間にか相手の後ろに行ったり全く見えないの!」
おいおい、ゴブリンとコボルトの領域完全に超えてんじゃねぇか。
こや、ひょっとするとひょっとするぞ?
などと、考えて居ると何かにぶつかる。
目線を前に向けるとそこには大きな戦斧が立ちはだかる。
「おい、誰だ?こんな所に戦斧放置した奴は!」
と、文句を言うと足元から返事が返ってきた。
「なんだい!?突然ぶつかって来てイチャモン付けるとはいい度胸してんじゃないの!
叩ききってあげるから、そこに座わんな!」
あれ?どこかで聞いた事がある様な声がする。
「おや?あんた確かジンタじゃないの?人間の癖に良くこの街に入れたねぇ・・・?」
「どこかで聞いた声だと思ったら女将じゃねぇか。
あんたこそなんでここに居るんだよ?」
「あたしはココに仕入れに来てんだよ!味噌やショーユは他所じゃなかなか良い物が無いから
定期的にココに仕入れに来てんだよ!
それはそうと、あんた私の質問は無視かい!」
「あー、悪い悪い。ここはオレの知り合いの街でねぇ。」
「知り合いの街ってここは人間の街の出来るよりず~とず~と前からあるのになんであんたの知り合いの街になるのさ。」
「へー、アタシはドワーフだから問題無いけど人間のアンタにゃ危険なとこかも知れないから十分注意・・・・ってそこの獣人のアンタ!」
「んにゃ!?」
「アンタの引きずってるのは赤竜じゃないの!そんなに粗末にあつかっちゃ下になった鱗にキズがつくじゃないの!
もう少し大事に扱わなきゃ、素材になる魔物に失礼だと思わないのかい!」
「うにゃうにゃ・・・・。ごしゅじ~ん!」
女将に叱られにゃーが泣きながら俺の後ろに隠れる。
「あー、悪い悪い。薬の素材にするから多少キズがあっても問題ねぇんだよ。
素材は血の一滴まで余すとこなく使うから勘弁してくれ。」
「あんた、それだけの獲物独り占めする気かい?」
ヤバイ、完全に職人の目をしてやがる。宿屋の女将の眼力がなんでこんなにヤバイんだよ。
あれか、ドワーフの血って奴か。
噂では人界からはほとんど姿を消して一部の物好き以外は魔界との境界線で地下に帝国を作ってるって噂を聞く位だからな~。
「これは、村長達が仕留めた奴で、オレも少し素材を分けて貰うだけだから・・・。」
「そうかいそうかい、私も少し頂こうかねぇ。
ドラゴンのステーキなんてみんな滅多に食べられないしねぇ。」
ウチじゃいつでも喰えるが、世間じゃなかなか手に入らないみたいだな。
スイーツ含め、他のものも少しは自重するように伝えないといけないな。
「んじゃ、またなー。」
「あんた、街に着たら又いつでも顔を出しなよー。」
「わかってるよー。また寄ったときは顔をだすさ。」
女将と別れると五部一達の家に着いた。
「なぁ、お前らなんでこんなトコに住んでいるんだ?」
そこは、オレが作業小屋として置いた一番小さいサイズのプレイヤーハウスだった。
「オレタチ フタリ オオキイ イエ ヒツヨウ ナイ」
「アニキ モ オレ モ ネルダケ ヤネ アル ジュウブン」
昔からこいつ等は本当に何も欲しがらなかったな。
クラスアップに成功したら何か適当に見繕ってやらねぇとな。
丁度良く素材もあるし、ハンマーとサーベル位なら結構な物が作れるだろう。
二人が寝ている内に仕上げて驚かせてやろう。
みんなが寝静まった後、火事場の炉に火を入れる。
ミスリルのインゴットを炉に何個か放り込み熱を加えながら魔力を流す。
ミスリルは炎だけではいくら熱くしても形成できない。
いい具合にやわらかくなったミスリルで芯を作りハンマーの形に形成していく。
形成する途中で赤竜の鱗を細かく粉末にした物を混ぜ込みながら炎属性の魔力を流す。
鱗とミスリルが完全に馴染んで混ざり合ったところで魔力の供給を止めゆっくりと急激には冷やさず
自然に冷めるのを待つ。
完全に冷め切る前に最後の仕上げとして魔力を込めた金槌で叩いて形を決める。
形が決まり、完全に冷め切ると赤みを帯びた一本の大金槌が出来上がる。
付与するのは、速度上昇、重量増加。それに追加効果で爆破が発生するようにした。
コボ二のシミターも同じように鍛え上げ、付与するのは切れ味上昇、切ると同時に相手を焼くように追加効果を付加する。
そして、赤竜の皮で鞘と柄握りを作り炎と冷気耐性を鞘に付与する。
赤竜の素材に冷気属性は相性が悪い為柄に凍り属性を封じ込めた魔石をはめてそこに冷気耐性を付与した。
クラスアップの痛みに耐えながら眠る二匹の枕元にそれぞれを並べ俺も眠りに就く。
明日あいつらの驚く顔が楽しみでしょうがないな。
武器とは別に鱗と革で胸当てと脛当てに腰巻を作る。
アーマー系は動きの阻害が多い為重要な部分だけを覆うように。素肌をさらす部分に関しては
自身の魔力を消費してある程度の攻撃を逸らす障壁魔法を付与しておいた。
さて、熱中しすぎて夜明けも近いが昼過ぎまで寝ていても怒られる事は無いと願い
オレは意識を手放すのであった。
少し早く帰れたため何とか更新できました。
次回は少し間が開くかもしれませんがよろしくお願いします。




