60話 正体
「ぐっ……」
右肩に剣を突き刺された謎の人物は、ヴァン兵長から距離を取った。
しかし、ヴァン兵長は休ませんとばかりに謎の人物に向けて走り出した。
「加減はしねぇ」
ヴァン兵長はそう言うと、二本の剣で謎の人物に斬りかかった。が、謎の人物はビームソードで斬撃を防ぐ。しかし、ヴァン兵長はもう一度、二本の剣を上に上げ、その二本を一本に合体させ、大剣にした。
「次は防げるか?」
「ッ‼⁉」
ヴァン兵長は大剣を謎の人物に振り下ろした。とてもこの大剣を防御はできそうにない。
すると謎の人物は大剣に手を向けた。
その直後、大剣の刃の先端がホワイトホールをくぐり、ヴァン兵長の背後に出現していたホワイトホールから出現した。
それにいち早く気づいたヴァン兵長は、動きを止めた。動きが止まったのを良いことに、謎の人物はホワイトホールを形成し、姿を消してしまった。
「逃したか……くそっ!」
この後、人類は大艦隊を撃ち落とすことに成功し、直ちに大艦隊内部へと0班が侵入して行った。
しかし、得られた情報は至って少なく、そしてあの謎の人物も誰なのかは未だ定かではない。
しかし、今までで得られたエイリアンの情報といえば沢山あった。
まず、エイリアンにはアルファ・ベータ・ガンマの3種類がいること。
エイリアンたちは皆、同じDNAを持っていること。
大艦隊は巨大なホワイトホールを潜って出現すること。
エイリアン側の人間がいること。
アルファエイリアンのルヴァムは何体もいること。
エイリアンの武器をなぜか0班が扱えるということ。
しかし、これはエイリアンのほんの一部にしかすぎない。
まだ謎は沢山あるのだ。
翌日、ヴァン兵長の下に医療部隊の男が報告しにやってきた。
「先日、0班のDNAを調べた結果ですが」
「教えてくれ」
「班員のDNAは全て共通するものがあり、また、エイリアンとも共通していました」
「やはりか……」
「では、失礼します」
その後、ヴァン兵長はサナ以外の0班の班員とアーテム大佐、そしてカイをアメリカ軍本部会議室へと集合させた。
「ヴァン兵長、全員揃いました」
「では、会議を始める。まず報告からだ」
そこでヴァン兵長はDNAのことを報告した。あまり衝撃的ではなかったのだが、エイリアンの攻略の一歩へ近づいたはずだ。
そして、話題は本題へと移る。
「ここからが本題だが、先日のアメリカ都市防衛作戦時、一度、大艦隊が姿を消した後、お前らはどこにいた?一人ずつ答えろ」
その問いにまずカイが答えた。その調子で皆、自分がどこにいたかを正確に話した。
目撃者もちゃんといるし、アメリカ軍にはエイリアン軍側の人間はいないのではないか。と疑われた。
そうなると、大艦隊を出現させたあの人間は、エイリアンの武器を扱う10人目ということになる。
そう確信するとヴァン兵長は話し出した。
「サナ・フレシスのことだが、奴はエイリアン側の人間に襲われた。今は病院で寝ている」
「サナは大丈夫なんですか⁉」
ラルフはそう問いかけると、アーテム大佐が答えた。
「あぁ、時期に目を覚ますだろう。そのサナ・フレシスを襲った奴だが、そいつはヴァンと交戦したそうだ」
「そいつはホワイトホールを駆使して戦って来た。間違いない。奴の正体は今ここにいる誰か。もしくは10人目の同じDNAを持つ者ってとこか」
ヴァン兵長はそう答えると、カイが反応した。
「一体そいつの目的は……?」
「そういえばまだ聞いてなかったな。テルマ、朱谷は10人揃えば何か起こると言っていたんだな?」
カイを見て、ヴァン兵長はそのことに問いかけると、テルマは答えた。
「はい、そうです」
「10人揃うとどうなるんだ?カイ」
するとカイは説明し出した。
「わかりました。説明します。だけど、これは俺がヘリコプターから落ちたところから話さないとわかってもらえないと思う。なので、最初から話します。あの日のことから」
カイはヘリコプターから落ちたあの日のことから話し出した。




