56話 見えざる敵
2092年10月20日、午前10時24分。
50体のルヴァムを撃破した0班とカイは、大艦隊の撃墜させようと試みた。が、大艦隊には傷一つ付けられず、大艦隊はそのままアメリカ軍司令部へと移動を開始した。
アメリカ軍司令部にいるキシリム大将が狙いなのか、それとも同じ司令部にいるカイが狙いなのか、大艦隊は司令部へと移動すると、その姿はまるで何もなかったのかのように消えた。
「大艦隊が!」
「き……消えた⁉」
軍人のほとんどはその言葉を発した。一体エイリアン軍の目的は何だったのか。それとも勝ち目が無いと見て引いたのか。それは誰にも断定はできなかった。
「各自防衛態勢に付け!今この時に大艦隊が出現してもおかしくはない!」
遠距離部隊長のディア・カルマはそう指示すると、近接部隊長のアルク・マークが今度は指示した。
「近接部隊は戦闘機の起動準備およびに銃弾の補充をしろ!」
そして、特殊部隊長のヴァン兵長が指示する。
「特殊部隊と朱谷はそれぞれの防衛ポイントで待機!戦闘準備せよ!」
ヴァン兵長はそう言うと、0班はそれぞれアメリカ軍の東西南北に別れた。
東には春香とラルフ。南にはサナとティアル。西にはマリア。北にはヴァン兵長とカイが待機していた。
そんな中、ヴァン兵長は考え事をしていた。
(ホワイトホールは入り口と出入り口が無ければ出現しない。入り口はエイリアンが作るとして、このアメリカ軍への出口となるホワイトホールを作るのは、エイリアンの武器を使える人間のみ……。つまり0班の中の誰か一人か、それとも朱谷が、敵ということだ……。さぁ、今、この状況でノーマークなのはマリア・アルバンデロのみ……)
一方そのころ、アメリカ軍基地の中心へと走って行く一人の人物がいた。その人物はアメリカ軍基地の中心と思われる場所に到着すると、ジェット機を使い、上空に飛んで行った。
上空に飛んだその人物は、空中に巨大な輪っかを出現させた。そう、それはホワイトホールだった。
「逃がさん‼」
その姿をとらえたヴァン兵長は、その人物に向かってジェット機で滑空して行ったのだが、強烈な突風と衝撃がアメリカ軍基地の上空から飛んできた。
ヴァン兵長はその衝撃に耐えきれず、建物の屋根に叩きつけられ、他の兵士たちもかろうじて立つことができるぐらいだった。
衝撃が止んだ頃には、ホワイトホールを出現させた人物の姿は無く、アメリカ軍基地の上空にあったのは、エイリアン軍の大艦隊だった。
一体、ホワイトホールを出現させたのは誰なのか……?




