53話 死なぬ存在
誤字がありましたので、訂正しました。
2092年10月20日、午前10時14分。
朱谷カイの奪還作戦を成功した人類であったが、喜ぶのもつかの間、アメリカ軍の上空に突如、エイリアン軍の大艦隊が出現した。
「特殊部隊は大艦隊の大砲の撃破、近接部隊、遠距離部隊は地上に降りて来たエイリアンの始末をしろ‼」
キシリム大将はそう各隊長に指示すると、それぞれ行動を開始した。
一方、司令部へと移動していたカイとその付き添いの軍人も上空に現れた大艦隊を目にしていた。
そのとき、大艦隊を見上げているカイの頭の中に何かが刻み込んでいた。
「この光景は……見たことある気がする……。そうだ、あの日、8年前のあの日に、全てを失ったんだ……」
「朱谷!大丈夫か?とにかく、今は本部まで移動するぞ」
「俺は、戦わなくちゃいけねぇ……」
すると、カイの瞳はさっきとは違う緑色になり、表情も変わった。
「春香を守る‼」
すると、カイは背中からジェット機の銃口を生やし、大艦隊へと飛んで行ってしまった。
一方、訓練所にいた0班たちの下に、ヴァン兵長が駆けつけた。
「エイリアンの奇襲だ‼直ちに戦闘準備を済ませ、作戦を行う!我々0班に与えられた指示は大艦隊の大砲を一つ残さず撃破する‼その後、近接部隊の援護!いいな!」
「了解‼」
そう言うと、それぞれの班員は戦闘準備を始め、ヴァン兵長は二本の変形型ビームソードを持ち、ジェット機で大艦隊へと飛んで行った。
大艦隊へと飛んで行くヴァン兵長は、同じように大艦隊に飛んで行くカイを発見し、カイの近くへと飛んで行った。
「なんでお前がここにいる!お前は司令部に誘導されたはずだ!」
「大艦隊がアメリカに奇襲して来た!なら、俺は戦います!大丈夫です、足でまといにはなりません!」
「……ッ‼」
ヴァン兵長は心の中で思った。
カイの記憶が戻っていることを。
(大艦隊の存在を知っている。エイリアンの存在も知っていた。記憶が戻ったのか?)
ヴァン兵長はそう考えると、カイに指示を出した。
「俺は大艦隊の大砲を撃破する!お前は俺の援護だ!大艦隊から現れたエイリアンを倒せ!」
「了解!」
そして、ヴァン兵長とカイの活躍で、大艦隊の大砲は次々と撃破されていった。
その途中、0班たちも参戦し、人類はエイリアン軍を攻めていった。
しかし、すべての大砲を撃破した時、ヴァン兵長にあるエイリアンが攻撃を仕掛けて来ていた。
背後から殺気を感じたヴァン兵長は、背後を振り向き、その攻撃を防いだ。
ヴァン兵長の背後にいたのは、ベーターエイリアンのルヴァムだった。
「ルヴァム……生きていたのか」
「一ツ言ッテオコウ。俺トイウ存在ハ死ナナイ」
「不死身、とでも言いたいのか?」
ヴァン兵長はそう言うと、ルヴァムから距離を取り、ルヴァムへ向けて滑空しながら攻撃を仕掛けた。
ルヴァムはその攻撃を剣で防ごうとしたが、ヴァン兵長の攻撃はルヴァムの剣を弾き飛ばし、剣を弾き飛ばされたルヴァムはヴァン兵長に向けて蹴りを放った。
しかし、ヴァン兵長はその蹴りを避け、ルヴァムの腹に一本のビームソードを突き刺す。すると、もう一本のビームソードでルヴァムの首を斬り裂いた。
ルヴァムはそのまま地上へと落ちて行くと、その姿を見ていたヴァン兵長は呟いた。
「死んだか、しぶとい奴だったな」
すると、ヴァン兵長はまたもやある殺気を感じた。それも背後からだ。
さっきと同じようにヴァン兵長は背後を振り向くと、そこには今、殺したはずのルヴァムがいた。
しかもルヴァムは無傷だったのだ。
「ダカラ言ッタダロウ。俺トイウ“存在”ハ死ナナイ。ト」
「どういうことだ?」
ヴァン兵長はルヴァムにそう言い返すと、ふとあることに気づいた。
一番最初にルヴァムと遭遇した時のことだ。ヴァン兵長はルヴァムの腹を斬り付けたはず、だが、朱谷カイ奪還作戦の時にはその傷は消えていた。そして、今回のアメリカ軍奇襲のとき、ルヴァムは殺したはずだった。なのに今、目の前にいる。
そこでヴァン兵長はある可能性に気づいた。そして、ルヴァムの言葉を思い出した。
『俺ノ“存在”ハ死ナナイ』
(一番最初に遭遇したルヴァムは腹に傷を付けた。朱谷カイ奪還作戦で倒したルヴァムは死んだ。さっき倒したルヴァムも死んだ。つまり今、ここにいるルヴァムは、4体目のルヴァム‼)
ヴァン兵長はそう思うと、大艦隊付近を見上げた。
すると、ヴァン兵長の表情は変わり、ボソッと声を漏らした。
「おいおい、なんだこれは……」
大艦隊付近には50体ほどのルヴァムが抜刀して浮いていた。
ルヴァムというのは一体の名前ではなかった。ルヴァムというのは何体もの戦闘エイリアンをまとめた名前だったのだ。
50体のルヴァムに対して、ヴァン兵長は二本の剣を構え、言い放った。
「来い、一匹残らずズタズタにしてやる」




