52話 不吉な風
アメリカ軍司令部は会議の下、朱谷カイを戦闘特殊部隊0班に入班することを決定。
しかしその晩、朱谷カイは突如暴走し、暴走するカイをヴァン兵長が止めに入った。
「加減はしねぇぞ」
ヴァン兵長はそう言いながら、ジェット機を使いカイのいる高さまで上昇し、カイの背後から変形型ビームソードで斬りかかった。
しかし、カイは右手を刃に変形させ、ヴァン兵長の斬撃を防ぎ、左手から銃口を生やし、その銃口をヴァン兵長に向けた。
「コロス!」
「フッ‼」
ヴァン兵長はジェット機で態勢を変え、片足でカイの左手を蹴り上げた。
すると、カイの左手からレーザーが放たれ、そのレーザーは上空へと飛んで行った。
その直後、ヴァン兵長は朱谷カイから距離を取ると、春香もジェット機を使い、カイの近くまで飛んで行った。
「カイ!目を覚まして!私たちは敵じゃない!」
「コロス!」
近づいて来る春香に対して、カイは腕を変形させた刃で、春香に容赦なく斬りかかった。
「天野ッ‼」
春香がその刃によって斬りつけられる直前、黄金の光の壁が突如、春香の目の前に出現した。
その黄金の壁はカイの斬撃を弾き、春香を守ると、スゥッと消えてしまった。
「⁉」
「なんだ⁉今の壁は⁉」
「天野!お前がやったのか⁉」
班員たちは春香にそう聞いたが、春香にもそれはわからなかった。
しかし、そんなこともつかの間、カイは今度は春香に襲いかかってくる。
「コロス‼」
春香に襲いかかってきたカイだったが、いきなりその動きはフラつき、そのまま下降して行ってしまった。
「「⁉」」
春香とヴァン兵長は下降していくカイを追いかけ、他の班員たちもカイが下降して行った場所に走って行った。
春香たちはカイを発見した。カイは地面で倒れ込んでいたのだ。
「暴走が止まったのか」
ヴァン兵長はそう言うと、マリアがヴァン兵長に提案した。
「やはり朱谷カイは、我々が受け持つのではなく、本部でその身を確保したほうが良いと思います。いつ、暴走するのかわからない……」
「……確かに危険だな。だが、本部に身を置かせると、いざという時に動きづらい。どうする?ヴァン」
ティアルも続いて質問すると、ヴァン兵長は少し考え、指示を出した。
「朱谷カイを本部へ送る」
こうして、朱谷カイの身を後日、本部へと送還することとなった。
また春香とカイの距離は遠くなって行ってしまった……。
その翌日、10月20日。
朱谷カイは本部へ送り届け、一人班員を失った戦闘特殊部隊0班は訓練場へと出かけようとしていた。
しかし、ヴァン兵長は会議に参加するため、欠席となっていた。
アメリカ群司令部では、またアメリカ軍最高会議が行われていた。
この前と動揺、各隊長が集い話し合う会議だった。
まず、キシリム大将が話題を出す。
「今回君たちを集めたのは、大艦隊についてだ。今回の作戦でわかったことがある」
「わかったこと?」
「大艦隊は突然、姿を消したのだ。それは今回の作戦だけではない。日本への奇襲。ハワイ島の奇襲。アメリカ防衛ライン攻防戦。大艦隊は移動して離れて行くのかと思っていたが、実は少し移動した後にワープしていたのだ」
「ワープですと⁉」
「そんなバカみたいなことが起こるわけ」
キシリム大将の返答に反論する隊長たちもいたが、ヴァン兵長はキシリム大将の考えに同感していたようだった。
「それはあり得るかも知れないですね。俺は奪還作戦時に援護班として動いていたのですが、同じ援護班だったカルラ兵長、そして同じ班員の天野、ティアル、サナが瞬間移動する武器を使うアルファエイリアンと遭遇。そのエイリアンは2つのエネルギーの輪っかを形成し、一つの輪っかをくぐるともう一つの輪っかに移動するというような武器と聞いています」
「時空間を移動する2つの入り口。私の家の古文書に記されていてな。それをホワイトホールと呼ぶらしい」
「ホワイトホール……」
「大艦隊はレーダーのポイントで場所をしっかりマーキングしていたのだが、突然消えてしまった。もし、大艦隊を覆うような巨大な輪っか、ホワイトホールを形成することができるというなら、大艦隊を瞬間移動させることができるということだな。そして、もし、それが実現できるということは……」
するとアメリカ軍の上空へと風が舞い上がるように吹き荒れた。
このとき、人々は何か不吉な雰囲気を感じていた。
「もし、それが実現できるというなら、今この時、大艦隊が襲ってくるのかもしれん」
その直後、アメリカの上空から凄まじい光と巨大な影がアメリカ軍の地を覆った。
突如、エイリアン軍の大艦隊がアメリカ軍の上空を覆うように現れたのだ。
「エイリアンの奇襲だ‼」
「キシリム大将、指示を‼」
各隊長たちはキシリム大将にそう問うと、キシリム大将は答える。
「総員、戦闘準備!大艦隊を逃さず、撃ち落とせ‼」




