50話 消えたもの
アメリカ軍司令部最高会議が行われていた頃、この俺、カイは目を覚ました。
俺が目覚めると、そこはベッドの上で、俺と同期ぐらいの女が二人と、金髪な男が俺の看護をしていた。
どうやらここはどこかの寮らしい。
「起きたカイ?ここは私が所属する特殊部隊0班の寮よ」
俺と同期ぐらいの女はそう俺に言った。
なんだ?この女は誰なんだ?
なんで俺の名前を知っている?そもそもなんで俺はここで寝ていたんだ?
「……すみません、あなた方は何者ですか?」
「何言ってんの?私は春香よ、天野春香。わかるでしょ?」
「……誰ですか?」
俺はそう答えた。本当にわからない。この女は誰なんだ?俺の返答に対して涙目でこっちを見てくるので、俺は少し罪悪感を感じた。
「俺の名はアーテム。お前は自分のことを説明できるか?」
金髪の男が俺にそう聞いて来た。そんなこと、説明できるに決まってるだろ。そう思ったのだが、よく考えてみれば俺は一体何者なのか、わからなかった。
高校生になった時までは覚えている。確かどこかに行こうとヘリコプターに乗って、途中で嵐が来てヘリコプターから俺は落ちた。
そこまでは覚えている。
だが、何かが思い出せない。重要な何かが。
するとアーテムという名の男は俺の姿を見て言う。
「記憶喪失か。天野のことも覚えてないとなると、エイリアンの情報も覚えてそうにないな」
今なんて言った?エイリアンって言ったのか?エイリアンって、宇宙人のことじゃないか?宇宙人の情報?そんなこと記憶を失ってなくても知らないに決まってるだろ。
すると、春香という名の女が泣きながら俺に話しかけて来た。
「ほんとに…何も覚えてないの……?」
「す、すみません」
どうやら俺は記憶を失ったため、なにも覚えていないが、この春香という名の女は俺の幼馴染だったらしい。
そのころ、アメリカ軍最高会議では、第二の話題が出されていた。
「そもそもエイリアンとは何なのか」
「宇宙人……なのでは?」
「誰しもがそう言うが、私はひょっとすればそれは違うのかも知れないと思えて来た。もしも彼らが宇宙からやってきた存在だとしたら、こんなにも人間と外見が似てるものだろうか……」
「今、エイリアンについてわかっていることは、目がつり上がっていること、そして奇妙な光を発光しているということです。まだわからないことは多々ありますが」
「それに、彼らには階級があった。エイリアンの上に知能が高いアルファエイリアン・戦闘能力が高いベーターエイリアン・能力を持つガンマエイリアン」
「そのことなのですが、今回の作戦で一つわかったことがあります」
ヴァン兵長はそう言うと、キシリム大将は言う。
「話せ」
「奴らエイリアンはそもそもは人間ではないかということです」
「奴らが人間⁉どういうことだ⁉」
「少なくともガンマエイリアンとは、捕獲した人間に何らかの改造を施してできた存在です。それに奴らの武器の形態、レーザー銃、ビームソードなどは人類が昔から使用していた剣、銃と武器の形は一緒なのです」
「そう考えてみればそうだな。だとしたら、エイリアンの武器を使える戦闘特殊部隊0班もエイリアンという確率があるということか?」
「無いとは言い切れません。ですが、我々だけ武器を使えたり、エイリアンの話を理解できるのは、奴らと我々0班は‘‘同じ人種’’ということになるのかも知れません」
「だが、君たち戦闘特殊部隊0班には垂れ目な兵士もいたはずだ。それに発光もしていない。考え過ぎではないのかね?」
「これはあくまでも推論です。が、可能性は高い。もしも奴らエイリアンは純血な種族なのだとして、我々0班はその種族と一般人の混血なのだとすれば、我々の目がつり上がっていなかったり、発光していないなどの理由が生まれます」
「まだ、判断するのは難しいな。謎は深まるばかり……」
キシリム大将がそうため息をついたとき、ヴァン兵長は答えた。
「いいえ、判断できます。今回の奪還作戦で、我々は9体のエイリアンの死体を獲得することができました。その9体のDNAと我々0班のDNAを鑑定し、見比べてもらいたい」
「そこで共通するDNAが見つかれば、君たち0班とエイリアンに一つの繋がりがあるということかね」
「仰るとおりです」
人類は新たな可能性を手に入れたのであった。




