26話 大切な人
2084年11月16日。
アメリカに進軍して来たエイリアンに対し、人類は戦闘近接部隊が操縦する戦闘機で応戦。しかし、戦闘近接部隊で生き残った者はごくわずかであり、人類にとっては多大な損害を出してしまった。
だが、その近接部隊の活躍と戦闘特殊部隊0班の活躍により、エイリアンの進行を死守することに成功する。
だが、アメリカ本部は命令違反を起こした0班をただでは済まさせず、訓練時間を大幅に増大させたのであった。
寮の部屋で休養を取っていた春香は、ベッドに寝転がりながら、糸口さんのことを思い出していた。
そう、入軍届けを出した日の会話だった。
『どう?おいしい?』
『はい、とても。ありがとうございます』
『いいっていいって、どんどん食べて!』
『……私、入軍届けを出しました』
『え?春香ちゃんが⁉あははは!』
『なんで笑うんですか?』
『私も出したのよ。入軍届け!ついついパパッと出しちゃったわ』
『そうなんですか?危険な仕事ですよ、死ぬかもしれない』
『私は死なないよ。エイリアンたちより遅くに死ぬわ』
(私がもっと早く戦場に行っていれば、糸口さんは死ななかったのかな……)
春香がそう思っていたとき、その部屋にマリアとサナが入ってきた。
どうやら二人とも風呂上りの様だった。
「天野、もう寝るのか?」
「春香さん!春香さんって彼氏とかいたことあるんですか?」
マリアとサナは同時に質問すると、春香は慌てて答えた。
「か、彼氏なんていないよ?私まだそういう恋愛とかしたことないし!」
「んじゃ、好きな人とか大切な人とかいました?」
「大切な人……?」
春香の頭の中に大切な人という言葉と共にカイの姿が浮かび上がってきた。
(そうだ、私は何を迷っていたの?私の軍に入った理由は死ぬことじゃない!カイの仇を取るため!)
その次の日から春香は必死に訓練を受け、7年後には上等兵まで昇格したという。
ーー現在ーー
「そんなことがあったのですか」
「えぇ、私も最初は無力だったわ。だから、今からでも間に合う!」
「わかりました!ありがとうございます!」
春香の今までを聞いていたテルマはまた訓練場へと向けて走って行った。
その足取りはかつての春香にそっくりだった。




