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希望を抱きし者  作者: 夜海 来火
第3章 あの時から今この時まで
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25話 導きの言葉

「戦闘近接部隊1班!作戦通り大艦隊への攻撃を開始する!」


そう班長は言うと、糸口さんを含めた班員は戦闘機に乗り、大艦隊に向け飛んで行った。




一方、0班たちはまだ訓練場で待機していた。0班の兵士たちはまだ戦闘経験が浅く、ここで戦死するとなると人類にとって大損害になるからだ。


だが、戦場に出れないことを反対している兵士も中にはいた。春香もその一人だった。


「なんで他の皆は戦場に行くのに、私たちはここに残らなきゃいけないんですか⁉人類のために集まったこの0班がここで休んでいてどうするんですか‼」

「うるせぇぞ天野、戦いたい奴は行け」


そうヴァンは言うと立ち上がり、訓練用のビームソードを手に持ちとジェット機を背負った。


「俺は行く」


「そ、そんなことしたら司令部からどんなこと言われるかわかりませんよ⁉」

「おい!マジで言ってんのか⁉」


サナとラルフは止めに入ったが、ヴァンは振り返らず二人に言う。


「別に行きたくねぇ奴は来なくて良い。俺は上の奴らがなんと言おうと、あの猿どもを殺したいだけだ」

「わ、私も行きます!このまま黙ってる訳にはいきません!」

「私も行こう。こんなクソな命令は聞いてられないわ」


ヴァンに続いて、春香とマリアもそう言うと、三人はビームソードを手に持ち、ジェット機で戦場へと飛んで行った。


残ったティアルとサナとラルフはそのままそこで立ち止まっていた。


「奴らが戦っているのに、俺たちはここに残るだと?おい、サナ、ティアル。このままここに残るなんて死んでもごめんだよな?」

「……ええ」

「あぁ」


ラルフの問いかけにサナとティアルは返事すると、ラルフは訓練用のビームソードとジェット機を用意し、二人に言った。


「行くぞ‼俺は行く‼」

「わ、私も!」

「よし、決まりだな」


するとラルフとティアルとサナの三人も飛び立って行った。





《戦闘近接部隊の4班、攻撃を開始せよ!2班は大艦隊に向け小型原子爆弾を投入せよ!》


司令官の命令で、4班が乗った複数の戦闘機は銃弾を大艦隊に放ち、2班が乗った戦闘機は大艦隊の上空に飛び小型原子爆弾を投下した。


だが、小型原子爆弾は小艦隊から放たれたレーザーで打ち消され、その2班が乗った戦闘機もレーザーによって爆破されてしまった。また、4班が乗っていた戦闘機も大艦隊から放たれたレーザーによって、全て爆破されてしまった。


その光景を別の戦闘機から見ていた糸口さんは、思わず涙を流してしまった。


「こ、怖い……!死にたくない……!」

「糸口!落ち着け!遠距離部隊の攻撃を待つんだ!」

「私たちと同じ近接部隊の2班と4班の先輩方はみんな死んだのよ!この戦闘機もこのままじゃ!」


そんなことを糸口さんと班員は言っていると、遠くの空から三人が滑空している姿が糸口さんには見えた。


「アレは……春香……」


そう、それはヴァンと春香とマリアだった。


「近くで見ると、やっぱ大きいわね」

「まずはあの小艦隊を倒すぞ」

「わかった!」


マリアはそう言い、ヴァンは二人に指示し、春香が返事をした次の瞬間、糸口さんが乗った戦闘機が大艦隊から放たれたレーザーによって墜落してしまった。


春香はその戦闘機に糸口さんがいたことを察したのか、墜落した戦闘機を追いかけるように下降して行った。


(今のは?糸口さんが乗っていた?いや、そんなことはない!糸口さんは!)


春香は糸口さんがこの戦場にいないことを考えようとしたが、どう考えてもここにいることには変わりなかった。

戦闘機は小島に墜落し、墜落した戦闘機の中から人が地を這うように現れ、春香はその人を見て叫んだ。


「糸口さん‼」


春香は小島に着地し、戦闘機から糸口さんの身体を引っ張り出したが、糸口さんの下半身はもう紛失してしまっていた。


レーザーの威力か、墜落の衝撃か、わからないが、下半身が吹っ飛んだことには変わりはなかった。


「は……るか……?」

「糸口さん!か、下半身が!死なないでよ!ねぇ!」

「……かえ…ったら……ラ……メン……食べた……い……うっ……」

「喋っちゃダメだよ!死んじゃうよ‼」

「私は……恋人……が……殺さ……れた…から……軍に……入……った……」

「糸口さん‼」

「仇は……撃てた……のかな……」


すると糸口さんは笑顔で春香に言った。


「これで……彼のとこに……逝けるわ……」


すると糸口さんの目は閉じ、呼吸が止まってしまった。


「うわぁぁぁぁぁん‼」


死んだ糸口さんの前で春香はひたすら泣いていた。涙が流れるたびに糸口さんとの思い出が頭に流れ込んで来たのだ。

二人でダンボールを利用して家を作ったこと、カップラーメンを食べながら楽しい話をしたことなどたくさんの思い出が春香を苦しめて来た。


そんなとき、泣いている春香の背後から小島に着地してきた2体のエイリアンたちがレーザー銃を向けていた。


その状況に気づいたマリアはすぐに春香を助けに行こうと、ジェット機で急降下し、エイリアンに向けて滑空して行った。


(天野め!戦意喪失してるのか⁉クソ!間に合わない!)


マリアは急降下していたが、エイリアンは春香に向けてレーザーを放ってしまった。


(糸口さん……あなたがいなくなれば……私はどうすればいいの……?もう死にたい……)


春香は死ぬ覚悟でそのままレーザーに直撃しようとしたが、そのとき、糸口さんの言葉を思い出した。


『死んだ人の意思が生きている人を動かす。私たちが今すべきことは、人類が復活する方法を考えることよ』


春香はその言葉を思い返した直後、バリアバッチのスイッチを押し、自らの周りにバリアを展開させた。


そのバリアはレーザーを防ぎ春香を守った。


(糸口さん……私は一度あなたに救われた。そして死んでもなおまた救ってくれた!私はもう迷わない!)


春香は涙を拭き、立ち上がり、レーザー銃を構え2体のエイリアンに銃口を向けた。


「私はもう迷わない‼絶対に生きる‼」


春香はそう言い、2体のエイリアンに向けてレーザーを放った。





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