20話 顔合わせ
入隊式が終わり、その翌日。一人前の兵士となった春香に新しい朝が訪れた。
同じダンボールで寝ていた糸口さんと目覚め、二人はアメリカ軍司令部に足を運んだ。
「じゃあね、春香」
「はい、頑張ってください」
アメリカ軍司令部に到着した春香と糸口さんはそう挨拶を交わし、春香は戦闘特殊部隊0班の集合場所である建物の中に入って行った。
そこには既に5人の兵士たちがいた。準備運動をしている者もいれば、壁に寄りかかりリラックスしている者、椅子に腰掛けて寝ている者もいた。
「お、6人揃ったな。しっかし、この班は女ばかりで本当に戦えるのか?」
準備運動をしている男は準備運動を止め、春香や他の女兵士を見て小馬鹿にしていた。
すると、金髪の髪を束ねた女兵士がその男に近づいた。
「じゃあ、試してみるかい?女が男に勝てるかどうか」
「な、何を言い出すんだ?やってやろうじゃねぇか!かかってこい!」
その金髪の女兵士の挑発にまんまと乗った男は女兵士に向けそう言うと、女兵士は素早い動きでその男の目の前に移動し、その男にアッパーをくらわせた。
「痛っ……‼この野郎ッ!」
アッパーを放たれた男はその女兵士に向け、蹴りを放とうとしたが、女兵士はその蹴りを両手で受け止め、そのまま足をつかみ、建物の壁に向けて男を投げ飛ばした。
「ガハッ!」
建物の壁に背中を強打した男は立てなくなってしまった。そんな男に女兵士は言う。
「この班の足でまといは、アンタなんじゃないのか?」
「くっ……‼このクソ女!今度こそは本気で……」
「いい加減にしろ」
背中を強打した男とその女兵士の争いは、その言葉で沈黙した。その言葉を放ったのは後に兵長となるヴァンだった。
「俺の眠りを邪魔しやがって……お前ら、そんなに俺に殺されたいのか?」
「あ、あのー、皆さん。初めまして。天野春香です。よろしくお願いします」
かなり凄いタイミングで春香は皆に挨拶を済ますと、ヴァンも挨拶を始めた。
「俺の名はヴァン・アイマン。初めに言っておくが、俺はお前たちを仲間とか思ったりはしない。協力はするがな」
春香はヴァンを見てふと思った。
(このヴァンって人、確か入軍式の時に長官に刃向かった人だ……)
金髪の女兵士もヴァンを見て、驚きの顔を隠しきれなかった。
(こいつ、ブレが一切無い……。それにさっきの殺害予告は冗談ではなかった……。本気の殺意だった……。本当に仲間じゃないのかも知れないな、ヴァン・アイマン……)
すると背中を強打した男が自己紹介し始めた。
「俺の名前はラルフ・エガニス!よろしくな!」
「アタシの名前はサナ・フレシスって言います!こらからよろしくお願いしまっス!」
赤色の髪をした元気の良い女兵士はそう挨拶すると、他の人より背が高い男が挨拶した。
「俺の名はティアル・ノーマン。人と接するのは苦手だが、よろしく頼む」
「私の名はマリア・アルバンデロだ。これから同じ隊として、よろしく頼む」
ラルフの背中を強打させた女兵士も挨拶すると、春香は皆に聞く。
「これで全員ですかね?」
「そうだな!俺たちはこれから共に戦ってゆく仲間ってことだな」
ラルフはそう答えると、ふとヴァンの言葉を思い出し、ラルフは椅子に腰掛けているヴァン兵長に近づいた。
「そーいやヴァンとか言ったか?テメェ、俺たちを仲間とは思ってないと言ったな?チームワークってのがあんだろうが」
「お前らみたいなクズ野郎と一緒のチームってのが気にくわねぇんだよ。それに戦争に仲間っていうもんは必要ねぇ。必要なのは力だけだ」
「一発痛い目見せなきゃわからねぇみてぇだな!」
ラルフはそう言い、椅子に腰掛けているヴァンの頬に向けてパンチを放った。
するとマリアはラルフのその行為を見て思った。
(バカな奴め……)
ヴァンはそのラルフのパンチを左手で受け止め、右手でラルフの腹に力強いパンチを打ち込んだ。
「あ……がっ、がはっ!」
腹を手で押さえ、あまりの痛さでその場に座り込んだラルフの頭をヴァンは足で床に押さえつけた。
「そうだな。一発痛い目見せなきゃわからなそうだな。そう、お前がな。いや、一発じゃ足りねぇ……」
ヴァンはそう言うと、座り込んでいるラルフの頭を力強く蹴った。
頭を蹴るだけではなく、足を使いラルフの頭を床に叩きつけたり、ラルフの髪をつかみ、上に持ち上げ顔面に膝蹴りをくらわせたりと散々ラルフを痛めつけた。
「ぐはッ‼……オエッ‼……ッッ‼」
鼻からは鼻血が、歯茎からも大量の血が垂れていたラルフの頭を足で床に押さえつけたヴァンは、ラルフに言った。
「わかったか?俺の前では静かにしてることだな」
(こ、こんなんでこの先、エイリアンに対抗できるの……⁉)
春香はそう不安で仕方なかった。




