18話 少年の記憶
2092年、10月9日。
エイリアンに捕獲され、解体されそうだった子供達を救ったのは死んだと思われていた朱谷 塊だった。
カイはその場にいたエイリアン二体を倒し、拘束されていた子供たちに言う。
「俺はお前たちの味方だ。信じてくれ」
子供達はまだカイに対して恐怖心を抱いていたものの、カイは子供たちの拘束具を外そうとしていた。
「このボタンを押せばいいのか?」
疑問系でカイは聞くが、子供達は拘束具で話すことができなかった。なので必死に身体を動かしている。
カイがボタンを押すと、子供達の拘束具が外れた。
エイリアンの無残な死体を見て、子供達はカイから逃げよるように部屋の隅へと離れた。
「信用してくれ。俺は地球人だ。お前たちを殺すつもりはない」
「じゃあ、お兄ちゃんの名前を教えてよ……」
テルマがカイの名前を聞くと、カイは自分の名前を告げた。するとテルマも自分の名前を告げ、安心したのか、カイの下へと歩いて行った。
「僕、お兄ちゃんを信じるよ」
「私も!カイさんのことを信じる!」
「じゃ、じゃあ俺も!」
次々とカイの下へ子供達が集まり、カイに対する恐怖心は消えていた。しかし。
《ヴーヴーヴーヴーヴー‼‼‼‼》
突如、うるさく荒々しい警報が鳴り響いた。カイは拘束具を解除するボタンを見て言う。
「このボタン……指紋検査有りか‼みんな!逃げるぞ‼」
そのボタンは拘束具を解除すると同時に指紋検査を行うらしく、指紋が不審者の指紋だった場合、警報が鳴るらしい。
カイは3人の子供達を引き連れ、小艦隊の発進ゲートまで走っていた。
走るときにベッドの上で解体された子供たちの遺体が視界に映ったが、カイはそのまま走って行った。
小艦隊の発進ゲートまで走ったカイは、すぐに小艦隊に子供たちを乗せた。
子供達を乗せ、カイも乗ろうとしたそのとき、カイは両腕両足を何者かにつかまれてしまった。
カイの両腕両足をつかんだのは二体のエイリアンだった。まるでカイを逃がさないようにと捕まえていた。
小艦隊の入口の目の前でエイリアンに捕まったカイを小艦隊の中から子供達は恐怖しながら見ていた。すると、カイは両腕両足をつかまれたまま、子供達に怒鳴った。
「早く行け‼その赤いボタンを押せば扉は閉まり発射する‼早く‼」
「やだ‼お兄ちゃんがまだ乗ってないじゃないか‼」
「このままじゃお前たちまで捕まるぞ‼」
「で、でも‼」
「いいか‼よく聞け‼地上に着いたら、エイリアンの武器を使える人を10人集めるんだ‼何としても‼これが人類の最後の勝利への希望だ‼だから早く行くんだ‼」
「意味がわからないよ‼早く乗ってよ‼」
「俺だって乗りたいけど、このエイリアンどもにつかまれてんだ‼俺のことは見捨てろ‼早く行け‼」
テルマはこらえるような表情で、カイのほうを振り返らず、発進ボタンを押した。
すると小艦隊の扉は閉まり、子供達の乗った小艦隊は大艦隊にカイを置いて行ったまま、発進した。
「こうして、僕たちはこのアメリカに着いたんです。すぐに春香さんと会って、ここに案内されました」
テルマは今までのことを話すと、春香はテルマに聞いた。
「テルマくん‼カイは生きてるの⁉」
「生きていました。ですが、今はどうなってるかわかりません」
「もしカイが生きているのならば……‼」
「天野、私情を挟むな。これはこのガキどもがどうここまで来たかの会議だ。そのカイとか言う奴はどうでもいいんだよ」
春香の発言を打ち消すようにヴァン兵長は話すと、テルマはヴァン兵長に言う。
「どうでもよくはありません‼カイさんはエイリアンの武器が使える人を10人集めろと言っていました‼まず10人集めて、それからカイさんを救出するべきです‼」
「10人か。10人も集められるかね」
キシリム大将はそう聞くと、ヴァン兵長が答えた。
「我々、戦闘特殊部隊0班に6人。アーテム大佐で1人。後3人は必要ですね」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
春香はそう口を挟むと、テルマを見て答える。
「テルマくんが小艦隊の発進ボタンを押したと言っていました!つまり、テルマくんもエイリアンの武器を使うことができるのでは?」
「可能性はあるな」
キシリム大将はそう言うと、ヴァン兵長は腕を組み、テルマに聞く。
「おい、テルマとかいうガキ。どうだ?軍に所属する気はないか?」
「軍に……ですか」
「お前がもしもエイリアンの武器を使えるなら、そのカイとかいう奴を救う力にもなるはずだ」
「待ちたまえヴァン。この子はまだ12歳だぞ。軍に所属するには最低でも15歳からと決めていたはず」
「キシリム大将。このガキは確かに12歳ですが、大人より大きな可能性を持っている。俺は入軍させたほうが、人類のためになると思います」
「し、しかし……」
キシリム大将が戸惑っていると、春香もキシリム大将に言う。
「私からも!この子の入軍の許可をお願いします!」
「わかった。許可はするが、テルマくん自身は軍に入り、死ぬかもしれない仕事をやり通す覚悟があるかね?」
キシリム大将はテルマにそう聞くと、テルマは覚悟した顔で勇ましく答えた。
「あります‼」




