17話 金髪の男の子
2084年、8月17日。午前10時。日本東京都。
「テルマ、幼稚園に行く時間よ」
「ママ、僕眠いよぉ……」
「そんなこと言わないの。もうすぐバスが来るから、早く着替えましょうね」
美しい金髪を生やした母親とその髪をそのまま受け継いだのかのような男の子がある一軒家で暮らしていた。
その男の子の名はテルマ・アテナス。
テルマは幼稚園生で、母親はテルマの着替えを手伝っていた。
「そうそう、そうやって袖を通すの」
「これでできたの?」
「ええ、できたわよ」
その時だった。荒々しい突風が吹き荒れたのだ。その突風でその一軒家の窓が粉砕した。
窓の欠片がテルマに向け飛んで行ったが、母親はテルマをかばい、左足に窓ガラスの破片が2、3個刺さっていた。
「ママ……?」
「痛っ……!ケガはないテルマ?」
「大丈夫だけど、ママの足が……!」
その直後、その家の庭に、空から一体のエイリアンたちが降りてきた。
エイリアンたちは割れた窓から家の中に入り、テルマと母親に近づくと、母親は台所にあったナイフをとっさに取り出し、ケガをした足で走りながらナイフをエイリアンに突き刺した。
突き刺したナイフを母親は手から離すと、すぐにテルマのほうを振り向いた。
だが、テルマは母親を指差して怯えていたのだ。
「どうしたの?テルマ?」
「ママ……!う、後ろ!」
「……ッ⁉」
テルマが指差していたのは母親ではなく、さっきナイフを突き刺したエイリアンだった。そのエイリアンはナイフを自らの身体から引き抜き、そのナイフで母親の背後から切りつけようとしていた。
次の瞬間、部屋中に真っ赤な血が飛んだ。その血は母親の背中から吹き出し、母親はその場に倒れ込んでしまったのだ。
「テルマ……!逃げるのよ……!早く!」
母親はそう言うと、もう一体エイリアンが現れ、一体が母親の手足をつかみ、もつ一体が母親の口にレーザー銃の銃口を入れていた。
その光景を目の前で見ていたテルマは、足が動かなかった。
銃口を口に入れられた母親はテルマに何か言っていたが、きっと逃げろと言っていたのだろう。必死に母親は抵抗しようとしたが、抵抗虚しく、母親の頭はレーザーにより、跡形も無く粉砕してしまった。
その後の記憶は覚えてない。気がつくと、僕は不思議な部屋のベッドの上で拘束されていた。
(ここはどこだ?僕は一体……どうしたんだ?)
気がついたら、僕はベットの上に拘束されていた。僕だけではない。僕のとなり、さらにとなりにもベットで拘束されている僕と同じくらいの男の子や女の子がいた。
僕の名はテルマ・アテナス。アメリカ生まれで、日本に住んでいた。今年で12歳だ。
僕は確か、8年前にあの身体が発光する人たちに襲われて、気がついたらこのベットで拘束されていた……。
8年間の記憶が思い出せない。何があったのか、どうしてもわからなかった。
「コレガ地球人ノ幼体ダナ」
「外見ハ我々トアマリ変ワリハ無イガ……。中身モ調ベテミルゾ」
身体が発光している人たちはそう言うと、小さなドリルを取り出し、僕のとなりのとなりのベットで拘束されている男の子の身体を生きたまま解体しようとしていた。
「い、いや……いやだ、やめろ‼やめろよぉぉ‼‼‼」
ドリルがその男の子の腹部に刺さり、発光している人はそのドリルをグリグリ腹部に突っ込んでいった。
「ぎゃあああああああああああ‼‼‼‼」
男の子の壮絶な悲鳴が、その部屋中に響いた。その男の子が拘束されているベットはその子の血で白いシーツが赤く染まっていた。
「息ガ止マッタナ。ドウヤラ地球人ハ、コノヨウナ刃物デモ殺スコトガデキルラシイ」
「解体ヲ続ケルゾ」
ぬちゃぬちゃとその子の死体を解体する音が聞こえる中、他の子供達はその拘束具を外そうと身体を必死に動かしていた。
だが、その拘束具が外れることは無く、僕たちは絶望していた。
「次ハコノ雌ダナ。ドリルヲ用意シロ」
「いや、いやよ!やめて!死にたくない!」
女の子は抵抗することができなく、ドリルで解体されそうになった瞬間、天井の通気口から一人の男の人が降りてきた。その男の人は地球人だった。
「ナ、何事ダ⁉」
「奴ハ!牢獄ニイタハズ……‼」
男の人は一体のエイリアンの首をつかみ、首を折り、一体目を殺すと、もう一体を解体用のドリルで突き刺した。
「ギャアアアア‼‼」
そのドリルをエイリアンの顔面や胸や手など、至る所に刺した男の人は、テルマを含む子供達に言う。
「俺の名は朱谷 塊。安心してくれ。俺は地球人だ」




