16話 勝利への道
「敵が退いた⁉」
「油断するな!大艦隊からあの日本航空自衛隊を一気に粉砕したレーザーが放出されるかもしれん!」
0班の兵士たちに隊長であるヴァン兵長はそう合図すると、兵士たちはバリアバッチを押す準備を整えた。
しかし、いつまでたってもレーザーは放出されることはなかった。
「レーザーはきませんね」
「っ⁉あれは⁉」
一人の兵士が異変に気づいた。大艦隊から一機の小艦隊が物凄い速さでアメリカへ向け、飛んで行ったのだ。
「しまった!エイリアンを陸に降ろすな!何としてもあの大艦隊ごと破壊するんだ!」
ヴァン兵長はそう合図すると、春香とティアルとサラが小艦隊を追いかけるようにジェット機を利用し、滑空して行った。
しかし、その小艦隊は物凄いスピードで、とても春香たちは追いつけそうになかった。
「そんな!あの小艦隊、速すぎる!」
「撃ち落せない!くそ!」
そして、その小艦隊を撃ち落とすことができないまま、小艦隊はアメリカの海辺に向けて着陸。いや、衝突した。
乱暴な着陸で小艦隊は飛べなくなり、小艦隊は砂浜にほぼ埋まっていた。春香たちは小艦隊の近くで着地し、小艦隊にレーザー銃を向け様子を見ていた。
「どんな怪物が出てくるんだ?」
「一撃で仕留めるわよ」
レーザー銃を構えながら、そんなことを兵士たちは言っていると、ついに小艦隊の扉が開いた。
扉が開き、中から生物が出てくると、春香は驚いた表情で兵士たちに言う。
「まって!撃たないで!」
そう、小艦隊の中から出て来たのは地球人の子供たちだった。
その数は3人ほどで、綺麗な金髪の男の子と黒髪の男の子と女の子だった。きっと金髪の子はアメリカ人で他の二人は日本人だろう。
春香はその子たちを至急、アメリカ軍司令部へと案内した。
また、大艦隊のほうでは地球人に対する攻撃の様子は見られず、そのまま大艦隊は日本へと撤退して行ったという。
エイリアンによるアメリカ奇襲作戦は地球人の勇敢な軍人、そして戦闘特殊部隊0班の活躍により、失敗に終わった。
また、小艦隊から現れた子達は、8年前のエイリアンによる日本奇襲の際に囚われた子供たちであった。
そして、その子供たちが得た情報により、人類の勝利への道が開こうとしていた。
アメリカ軍事軍法会議。アメリカ軍の最高責任者たちが集う会議である。
その会議にエイリアンの情報伝達として小艦隊から現れた子供達が、子供達の第一発見者として春香が、そして春香を含むエイリアンの武器を扱うことのできる0班の隊長としてヴァン兵長がその会議に参加した。
「ではこれより、軍法会議を始める。まず、そこにいる子供たちがエイリアンの小艦隊から現れたというのは本当かね?第一発見者、天野くん」
「はい、本当です。実際に着陸が乱暴でもう小艦隊は利用できなくなりました」
「そうか、では子供達の中の誰か一人、名前を言い、今までどうしていたのか、教えていただきたいのだが良いかね?」
キシリム大将はそう聞くと、金髪の男の子が答えた。
「ぼ、僕が言います。僕の名前はテルマ・アテナスです。僕は8年前、日本に住んでいたときに、エイリアンに捕まりました。なぜ、小艦隊に乗って逃げられたのかというと、“朱谷 塊”というお兄さんに助けてもったからです」
その一言で、春香は耳を疑った。春香は叫びたい気分だった。まさか、目の前で積乱雲の中、空に飛ばされたカイが、生きてるはずがないと。
キシリム大将はテルマに聞く。
「その、朱谷 塊くんはどこにいるのかね?」
「お兄さんは僕たちの犠牲になって、今、宇宙人に捕まってます」
春香は拳を強く握りしめながら話を聞いていた。8年間、あの日からカイの仇を撃つために訓練し、戦ってきたのだ。それが、まさか、まだ生きていたとなると、震えが止まらなかった。
テルマはそのまま話し続けた。
「それでは細かく今までのことを説明します。エイリアンに捕まった時からこの時までを」




