12話 戦闘特殊部隊0班
「ヘルマン中佐。こちらが先ほど入軍届けを出した日本人が持ってきたエイリアンの武器です」
「それか?確かその日本人の名は……」
「天野春香です」
軍司令部の最高機関にも春香がエイリアンから奪ったエイリアンの武器が渡されていた。また、その武器を扱える者は春香とアーテム大佐だけだったらしく、他の軍人に持たせても何も効果を発しなかった。
軍法会議で、そのレーザー銃とビームソード、ジェット機に放射性バリアを張るバッチ、通称バリアバッチがテーブルの上に並べられた。
「これらの武器を扱えるのは人類の中でアーテム大佐と入軍届けを提出した日本人のみ」
「彼らを信用していいのかね?ひょっとすれば地球人に化けたエイリアンなのかもしれぬぞ」
「アーテム大佐はエイリアンが出現する前から軍人として働いていました。それは無いでしょう」
「だが、どちらにせよ。彼らだけがその武器を使える理由は不明なままだな」
「そんなことを考えても意味は無いでしょう。それより今考えるべきことは……」
皆が沈黙し、一人の軍人は言う。
「天野春香を入軍させるか、させないか。でしょう」
軍法会議でそんなことがあったことも知らずに、春香は軍司令部を後にした。
もう、夜だった。家も寝所も無い避難民たちは、アメリカの路上に毛布を敷いて寝る人が多かった。
「あ、春香ちゃん」
一人の女性が春香に話しかけてきた。そう、春香と同じ避難民の糸口さんだ。
春香は糸口さんに案内され、路上の端っこで毛布を膝にかけながらカップラーメンを食べていた。
カップラーメンを食べながら、糸口さんは春香に聞く。
「どう?おいしい?」
「はい、とても。ありがとうございます」
「いいっていいって、どんどん食べて!」
「……私、入軍届けを出しました」
「え?春香ちゃんが⁉あははは!」
「なんで笑うんですか?」
「私も出したのよ。入軍届け!ついついパパッと出しちゃったわ」
「そうなんですか?危険な仕事ですよ、死ぬかもしれない」
「私は死なないよ。エイリアンたちより遅くに死ぬわ」
糸口さんはカップラーメンを食べながら言い、話の途中で春香はそのまま寝てしまった。
ーー8年後ーー
「目標確認‼敵二体‼」
「各個撃破‼」
街の至る所から叫び声が響いていた。
6人の軍人はエイリアンが使っていたのと同じ、ジェット機を背中に背負い、一人の軍人が空を滑空しながら一つの人型の的をビームソードで斬り裂いた。そして、もう一人の女兵士が建物と建物の間からもう一つの人型の的にレーザー銃を撃ち抜いた。
「撃破確認!全軍拠点へ帰還せよ!」
一人の掛け声が聞こえると、他の5人の軍人もその一人の軍人に続いて、拠点へと移動する。
拠点へ移動し終えると、1人の軍人が5人に言う。
「これで今日の訓練は終わりだ。各自休養を取るように」
「「「「「了解!」」」」」
その6人を軍司令部から見ていた二人の老人がいた。そのうちの一人の名はキシリム上級大将。アメリカ防衛ラインの最高責任者である。そして、その隣にいるのがアメリカの大統領だった。
大統領はキリシム大将に聞く。
「あれが、アメリカ軍の秘密兵器という奴らか?」
「ええ、彼らにしか人類が使えないエイリアンの武器が使えるのです。そして、我々の最新科学により、エイリアンの武器の増幅が成功。彼らはそのエイリアンの武器を使い、訓練しています」
「なるほど。それは人類の希望と言わざるを得んな。ところで彼らの名前は?」
「ラルフ・エガニス二等兵。サナ・フレシス二等兵。マリア・アルバンデロ二等兵。ティアル・ノーマン上等兵。天野春香上等兵。ヴァン・アイマン兵長です」
「そうか、彼らの活動に期待さねばな」
「お言葉、ありがとうございます」
上等兵となり、訓練が終わった春香はその訓練所を見渡していた。
この訓練所はニューヨークの街をモデルにして作られた場所である。春香はそれを眺めた後、そこから見える広大な海を眺めた。
(カイ、私はもっと強くなって見せる。あなたの意志とともに……)
そのとき、急に警報が鳴り響いた。その警報は突然のことだった。
「何事だ⁉」
「わかりません!何がなんだか!」
すると、司令部と連絡を取っていたヴァン兵長が喋り出した。
「アメリカ最前線の太平洋の防衛ラインがエイリアンに突破された‼敵はハワイ島とアメリカの間‼もうじきこちらに来る‼」
「ついにエイリアンがこっちに来るのか⁉」
「これより、戦闘特殊部隊0班‼戦闘準備を済ませ、アメリカ防衛ラインが突破されていない最前線に移動する‼敵はあの大艦隊だ‼遭遇しだい大艦隊を撃墜せよ‼」
「「「「「了解‼」」」」」
6人の軍人はジェット機を使い、戦闘準備を済ませ、アメリカの最前線の防衛ラインに向けて飛んで行った。
春香は空を飛びながら心の中で叫んだ。
(いよいよだよ!カイ!絶対に勝って見せる‼)




