10話 死と恐怖
キャノルを爆風と爆煙が包み込んだ。
「や、やったか⁉」
「頼む、死んでくれよ!」
戦車を操縦していた兵士たちはそんなことを言っていたが、爆煙の中から声が聞こえてきた。
「まさか地球人が……私に傷をつけるとは……」
その声が聞こえた兵士たちとアーテム大佐は驚き、ロケットランチャーを構えた兵士は身体が恐怖で震えていた。
その瞬間、爆煙の中から一筋のレーザーが照射され、そのレーザーは戦車を貫いた。
レーザーを貫かれた戦車は爆発し、跡形もなく炎上した。その炎の中に人の手のような物がアーテム大佐の目に映ると、アーテム大佐はサブマシンガンをまたキャノルに連射した。
「し、死ねぇぇぇぇぇぇぇ‼‼」
だが、そのサブマシンガンの弾は当たるはずがなく、キャノルは弾をレーザーで撃ち抜いた。
そしてそのレーザーはロケットランチャーを構えていた兵士の身体を貫いた。
アーテム大佐はその貫かれた兵士を目の前で見ると、キャノルに向けてまたサブマシンガンを連射した。
だが、サブマシンガンから弾が出なくなってしまった。弾切れしたのだ。
「くそ!」
「さて、もう終わりにしましょうか」
キャノルはそう言いながら、レーザーの銃口をこちらに向けた。
アーテム大佐は無意識に後ろに下がり続けていた。
(なんだ⁉この感情は……⁉今、俺は無防備で……銃口を向けられている……‼死ぬ?もう、死ぬのか?なんだ?この感情は……?死ぬのが……怖い……‼死にたくない……)
アーテム大佐は混乱状態になり、腰が抜け、地面に尻もちをついた。
(そうだ……元々地球人があんな化け物どもに敵うはずが無い……。部下も目の前で死んだ……俺が奴らを戦場に送り出した……俺が奴らに戦えと言った……じゃあ、俺は何なんだ?)
「あ、ああぁぁぁぁ……」
死んだ部下たちを思い出して、アーテム大佐は泣き出した。そして地面に尻もちをついたまま、後ろに下がって行った。
キャノルはにやけながら怯えるアーテム大佐にレーザーを放とうとした。
「終わりです」
次の瞬間、アーテム大佐の周りにバリアが張られていた。そのバリアはレーザーを防ぎ、アーテム大佐には傷一つなかった。
「なに⁉放射性バリアだと⁉」
「な、何なんだ⁉」
アーテム大佐の右手はエイリアンの死体のバッチに触れていた。
アーテム大佐はそのバッチを手に取り、バッチのボタンを押すと、アーテム大佐の周りに張られたバリアが消えてしまった。
「これは……宇宙人の武器なのか?」
「ば、バカな⁉それは我々エイリアンしか使えない装置だぞ⁉地球人が扱えるなど聞いたことがない!」
キャノルは指を差し驚いていると、アーテム大佐はそのエイリアンの死体の腰からレーザー銃を取り出した。
「こいつをあのエイリアンに当てれば……奴は死ぬ‼生き残ることができる‼仲間を死を無駄にせずに済む‼」
アーテム大佐はそう言うと、今まで死んで行った部下たちを思い出した。
(そうだ!ここで諦めている暇はない!諦めていたら生きることはできない!そう部下に教え込んだはずだ!絶対に倒す‼)
「うおおおおおお‼‼」
アーテム大佐は雄叫びをあげながら、レーザーをキャノルに向けて何発も放った。
弾という物は存在しないらしく、何発でも撃つことができたのだ。
「やはり兵器を使いこなせている⁉なぜだ⁉兵器を使える地球人。それはまるで……‼‼」
無数のレーザーを回避しながら言っていたキャノルだったが、ミサイルの発射装置にレーザーが直撃してしまった。
ジェット機も壊されキャノルは飛べなくなり、地面に着地した。するとアーテム大佐がレーザー銃を構えていた。
「うらぁっ‼‼‼」
力強い雄叫びとともに放たれたレーザーだったが、キャノルは同じ威力のレーザーを放ち、レーザーをレーザーで撃ち消した。
その瞬間、アメリカからやってきたヘリコプターが空からロープを垂らして来た。
キャノルはヘリコプターを見て、言う。
「地球人の増援か?救護隊か?」
「お前との戦いはここまでだ……。次あったときは必ず殺す」
「ククク、こちらも容赦しませんよ。ここであなたは殺しはしません。これからもっと恐怖を知り、味わってから、丁寧に殺してあげますよ」
そう言うと、アーテム大佐はロープにつかまり、そのままヘリコプターとともに飛んで行ってしまった。
「まさか地球人ごときにミサイル装置を破壊され、飛べなくなってしまうとは……。やられましたね……。次会ったときこそは……」
すると、キャノルは拳を握りしめて言う。
「ぶっ殺してやる……。頭のてっぺんから足のつま先まで、跡形も無く消してやるよ……地球人……」
そのころ、アメリカから来たヘリコプターに乗り込んだアーテム大佐に、アメリカ兵は聞く。
「他の兵士はどうなった?10人ほどはいたと聞いたが……」
「俺以外、全滅した。俺ももうすぐ、死ぬところだった……」
「エイリアンと遭遇し、生き残ったのはアメリカまで避難しに来た日本人とお前だけだ。エイリアンについての情報を知っているのなら、アメリカ陸上自衛将軍に話してくれ」
「あぁ、情報はたんまり持ってるさ」
そう言いながら、ヘリコプターはハワイ島からアメリカへと向けて飛んで行った。




