↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もこもこ犬  作者: 鑫鑫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/9

第4話 お買い物とお留守番《おかいものとおるすばん》

挿絵(By みてみん)


翌日(よくじつ)、るいはお母(かあ)さんと一緒(いっしょ)に、晩(ばん)ご飯(はん)の材料(ざいりょう)を買(か)いにお出(で)かけすることになりました。


玄関(げんかん)でお気(き)に入(い)りの青(あお)い長靴(ながぐつ)を履(は)いていると、お母(かあ)さんが優(やさ)しく微笑(ほほえ)みながら問(と)い掛(か)けてきました。


「るい、今日(きょう)は何(なに)が食(た)べたいかな。お母(かあ)さんに教(おし)えてくれる?」


晩(ばん)ご飯(はん)のメニューのリクエストを聞(き)かれたるいは、目(め)をきらきらと輝(かがや)かせて、すかさず答(こた)えました。


「いちごのショートケーキとハンバーグ!」


「あらあら、るいったら。ハンバーグとケーキを一緒(いっしょ)に食(た)べちゃうの? じゃあ、今日(きょう)はハンバーグにしましょう。いちごのショートケーキは、明日(あした)の三時(さんじ)のおやつにしましょうね」


「やったー!」


るいは嬉(うれ)しくなって、玄関(げんかん)でピョンピョンピョンと小(ちい)さく跳(は)ねました。

お母(かあ)さんは買(か)い物袋(ものぶくろ)を手(て)に持(も)つと、楽(たの)しそうな声(こえ)で言(い)いました。


「それじゃあ、るい、お買(か)い物(もの)に行(い)きましょう。レッツらゴーよ!」


「お母(かあ)さん、レッツらゴー!って、なぁに?」


るいが首(くび)を傾(かし)げて聞(き)き返(かえ)すと、お母(かあ)さんは「ふふふ」と楽(たの)しそうに笑(わら)いました。


「さあ、行(い)くわよ、っていうことなの。ふふふ、覚(おぼ)えておくといいわよ!」


「わかった! お母(かあ)さん、レッツらゴー! レッツらゴー!」


るいは覚(おぼ)えたての言葉(ことば)を嬉(うれ)しそうに何度(なんど)も繰(く)り返(かえ)しながら、お母(かあ)さんとしっかりと手(て)を繋(つな)いで出発(しゅっぱつ)しました。


いつものあぜ道(みち)を歩(ある)いていると、るいは足(あし)を止(と)めました。

ちょうどそのとき、向(む)こうから歩(ある)いてきた近所(きんじょ)の人(ひと)にお母(かあ)さんが呼(よ)び止(と)められ、楽(たの)しそうに立(た)ち話(ばなし)を始(はじ)めました。


昨日(きのう)あんなに大(おお)きかった道(みち)の真(ま)ん中(なか)の水(みず)たまりが、すっかり小(ちい)さくなって、るいの身長(しんちょう)の半分(はんぶん)くらいの大(おお)きさになっていたのです。

るいは不思議(ふしぎ)そうに、その水(みず)たまりをじっと見(み)つめました。


お母(かあ)さんが目(め)を離(はな)したその隙(すき)に、るいはしゃがみ込(こ)みました。そして、右手(みぎて)で「見(み)えない筆(ふで)」をそっと握(にぎ)りしめると、すっかり小(ちい)さくなった水(みず)たまりの表面(ひょうめん)を、優(やさ)しく滑(すべ)らせました。


すー、すー、すーん


青(あお)い長靴(ながぐつ)のつま先(さき)がかすかに揺(ゆ)れると、水面(みなも)がチリ、チリ、と小(ちい)さく震(ふる)えました。すると、水(みず)たまりの奥(おく)に映(うつ)るペンシル屋根(やね)の洋館(ようかん)のまあるい窓(まど)がガラガラと開(あ)き、中(なか)から白(しろ)いモコモコとした雲(くも)の犬(いぬ)が、ひょっこりと顔(かお)を出(だ)したのです。


ブン、ブン、ブン


もこもこは、るいを見(み)つけると嬉(うれ)しそうにちぎれんばかりに尻尾(しっぽ)を振(ふ)りました。

そして、るいの頭(あたま)の中(なか)に、あのあたたかい鈴(すず)のような声(こえ)が優(やさ)しく響(ひび)いてきました。


『るい、こんにちは! ボクは今(いま)ね、お家(うち)の中(なか)のお掃除中(そうじちゅう)なんだ。お留守番(るすばん)、ちっとも寂(さび)しくないよ。るいも、お母(かあ)さんとの買(か)い物(もの)、気(き)をつけて行(い)ってきてね、行(い)ってらっしゃい』


「るい、行(い)くわよー」


お母(かあ)さんに名前(なまえ)を呼(よ)ばれて、るいはハッと顔(かお)を上(あ)げました。慌(あわ)てて水(みず)たまりに視線(しせん)を戻(もど)すと、そこにはもう虹色(にじいろ)の洋館(ようかん)も、もこもこもいなくて、ただの小(ちい)さな泥水(どろみず)に戻(もど)っていました。

けれど、るいの胸(むね)の中(なか)は、昨日(きのう)よりもずっとあたたかい確信(かくしん)で満(み)ち溢(あふ)れていました。


(もこもこ、本当(ほんとう)にお家(うち)の中(なか)にいるんだ!) 


るいはもこもこの秘密(ひみつ)の生活(せいかつ)を覗(のぞ)いたような、ちょっぴりおねいさんになった気分(きぶん)になりました。

そして立(た)ち上(あ)がると、お母(かあ)さんの温(あたた)かい手(て)をきゅっと握(にぎ)りしめて、元気(げんき)に歩(ある)き出(だ)すのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。