ニート脱却!!!
思ってもみなかった招待に対して男は困惑と好きな作品に自分も携わることが出来る喜びとで錯綜した。
そしてゲーム制作人が自分のアップしている二次創作を見てしまっているという多少なりともの気恥ずかしさがあってか招待に関しては考えさせてくださいとメッセージを書き込んでいく。
だがこれから広告を作っていく関係になるにあたって自らの身の上も公表しなくてはならないときはいつかくるだろうなと思い直して書き直す。
ぜひやらせていただきたいです
こんな返信でいいのか数回手直しを加えてみたがどれもいらない装飾ばかりに思えて結局シンプルな所に落ち着いた。
こんな運びで彼はプロクリエーターになったのだった。
元々DMに飛んだ理由でもあった相手からの広告についての要望なりをすぐさま聞いて、返信が帰ってくる間のはやる気持ちを取り戻すためにもトイレに行った。
トイレへ向かう途中に、食卓で家族が晩餐の団欒に興じていた所を見た。
ふと妹が男の方に邪魔だと言わんばかりの一瞥を男に向けたも、彼は何とも言えない無敵感からか特段その視線の意味に執着する心はなかった。
男は排泄をしている最中に気分を落ち着かせようと計画していたが、時間を空けていくごとに自分がプロになったという非現実的な現実が段々と咀嚼出来てむしろ高揚感が増す結果となった。
男は家族が自身に対して関心を抱いているとは思えなかったため明日から職に就いたところで何も口出しをしてこないだろうと明日への待ち遠しさ余った物思いに陶酔しながらトイレから戻って再びDMを確認した。
まさか働いてくれることになるなんて…ありがとうございます!仲間としてこれからもよろしくお願いします。それと広告の要望に関してですがぜひ実際会って話してみたいです。住所はこちらですお待ちしておりますm(__)m
下に記載されていた住所には近郊、しかも下りの電車一つでアクセスできる地域のビルが書かれていたので、都市の人込み、通勤ラッシュには揉まれずに済むと男は安堵した。
男は何となく気疲れして布団に滑り込むとすぐに眠りについて次の日は健康的な時間に起床した。
男はシーツなどを仕立てた事すらなかった人生だったので社会人としてふさわしい制服と言える服は学生時代の物しかなくどんな格好で行けばいいのか迷ったが、結局のところ小規模人数で制作している現場だと踏んで普段着のまま家を出たのだった。
男はラッシュ時間にもかかわらず列のなされないほど閑居なプラットフォームでXの投稿を暇の消化に眺め、スマホを眺めているうちに会社までついてしまっていた。
ビルのテナントを一室借りて経営しているらしく男は何段も続く階段を上ってへとへとになる。
sumomo行政法人/若林ダンスクラブ
すり硝子の扉にそう書かれた紙が貼られており、電気がついていることから職員がいることはうかがえた。
そして満を持して男は職場に入った。
「おはようございます…」
「あれ?」
開口一番出て来たのは体育座りで綺麗に整列された女性らとラジカセをもった指導者と思える中年女性が振り返ってくる景色だった。
「おわ、へへ」
男はなんだかとても居心地の悪さを感じて気持ち悪い笑顔を浮かべながら扉を閉めた。
「どうかしましたか?」
男は声をかけられた方を「あ」などといいつつ見てみると、そこには猫背の短髪の女性がいた。




