鬼ごっこ…?
ちょっと痛いのが続きます。
周りの視線に気づいた僕は、ルチアさんを抱えてそのまま逃げ出しました。背後から「待てー!!」と聞こえますが待ちません!無理です!!!
そして現在、正装のまま全速力で逃げています。同じく正装の三歳児を抱え、迷わず部屋から飛び出し、当てもなく走り続けています。ねぇーっ!!!爺やどこですかー!?
「マイクおにいちゃ、どーしたの?」
「鬼ごっこです!!しっかり捕まっててくださいね!?」
「なんでおにごっこしてるの?」
「僕が知りたいです!!!!」
ついつい叫びながらも、小さくて軽い体をぎゅっと抱き寄せて、彼女にも強く抱きついてもらいます。ルチアさんが軽くて助かりました?
腕を回してもらい、なんとか体を安定させます。一応見合い相手なので距離感とか大事かもしれませんが、とりあえず落とすよりマシです!
とりあえず、人がいそうな場所を目指します!誰かしら味方がいらっしゃればいいのですが…!少なくとも朝露の国の人間ならば僕の話を聞いてくださるでしょうし!はい!!
人がいそうな場所…場所……いや来たばかりだから知りません!大樹の王国はじめて来たんですよ僕!!王宮の立地なんて知らない!!!
「ルチアさん!」
「なあに?」
「王宮で皆様が集まる場所を教えてください!」
「わかんない!」
「わかりました!」
ダメだ!ルチアさんも知らなかった!どうしよう!そうだ!質問変えよう!?
「それでは、隠れんぼできそうな場所はわかりますか!?」
「わかんない!」
「わかりました!!」
ダメでした!!何か情報、何か情報…!!お願いです!何かルチアさんがわかる情報…!!!
「こっちにいくとね、おそとなの!」
「外!?それです!」
「おそといく?」
「行きます!!」
やったー!情報あったー!!なんとかなったー!!
違う!!逃げなきゃだからまだなんとかなってない!!!
ルチアさんの道案内の通りに進み、なんとか建物の外に出ることができました。それでも危機から脱したわけではありません。とにかく人を探して、逃げなくては!
ルチアさんを抱えたまま走り出していくと、彼女が身を乗り出しました。
「あ!」
「なんですか?!鬼ですか!?」
「おはな!」
「あとで見ましょう!」
さすがにルチアさんの発言を無視して走っていきます。彼女の嘆きも今だけは聞いていられません。
「あー!しょくりょーがー!!」
「鬼ごっこ終わったらです!!!」
花が!!食料!!!そういえばタンポポ食べるんだっけ!?雑草のスープ作るんだっけ!!??
あー!もう!!それどころじゃないんだって!!!!
そんなツッコミを飲み込み、捕まってくださいとだけ伝えれば、また首に手を回してくれました。そのまま逃げていましたが、足がもつれた一瞬のうちに思い切り髪を掴まれました。
「ぐっ!!」
「捕まえた!!」
器用にも僕の髪を掴みながら、僕の服を切ったナイフがルチアさんの首元に向けられます。これでは動けません。目の前には目を血走らせた侍女が立っていました。
そして、部屋にいた他の侍女や兵士の方々も集まっています。どうやら味方はいらっしゃらないようです。
気づけば、王宮の庭のような場所で囲まれてしまいました。
ちなみに侍女三人、兵士三人に囲まれてお見合いしてました。




