突然の…?
「おそといきたいー」
「そうですね…」
食事会からおよそ一時間が経過いたしました。現在、二人で暇を持て余しています。
えっ?ルチアさんですか?話の途中で僕の膝の上に乗ってきました。あの、破談工作してたんですけど?思わずボイスレコーダーしまっちゃいましたよ???
あの、わかってます?貴女このままだと僕と結婚しなきゃいけなくなるんですよ?何が悲しくてこんな強くも賢くもない十二も上の男と……。
膝の上に乗った彼女を見ていれば、僕を背もたれにして、ぐで~んととろけています。心なしかホカホカしていますし、多分眠いのでしょうね。
つい心の中で質問してしまいましたが、誰と結婚するかなんて絶対わからないよな……。最初から見合いが何かわからないと正直に話してくださっていましたし……。
まあ…そもそも見合いなんて面白いものではないでしょうし、三歳ならそれはもう退屈でしょう。むしろよく我慢してたなってくらいです。
こうなれば仕方ない。眠気覚ましに散歩に行きたいですね。目を覚ましてもらって、またボイスレコーダーで録音するチャンスを伺いましょう。使用人や護衛を連れて行くならば、多少出歩くくらいは許されると思いますし。
「ルチアさん、お散歩行っていいか聞いてみましょうか」
「うん!」
そうと決まれば、ルチアさんを膝から下ろして立ち上がりました。そして近くにいた護衛のうちの一人に声をかけたのですが…。
「失礼、少し外に出たいのですが」
「で、ですが…私どもはここで待機するようにと」
あれ、なんか煮え切らないお返事だ。兵士さんが、武器を携えたまま固まってしまっています。何か問題があるのでしょうか。
「ルチアさんと散歩に行きたいのです。近場を一周…遠くには行きませんし、兵士の方にも何人かついてきてほしいのですが…」
僕は他国との外交らしく笑顔を取り繕いながら話します。それでも兵士さんの表情は固く、許可は得られそうにありません。
「見合い会場はこちらと指示を…」
「……移動は不可能だと?」
「……」
それきり兵士さんは黙りこくってしまいました。なんだか、この国に来てからというもの、ずっと変な感じがします。
僕がいくら側室の子だといっても、自国でさえあからさまに差別のような扱いはされません。父上ですら姉上や兄上たちに対しても平等に無茶振りを施してきます。それはそれでどうなのでしょう。
この国って…なんか……。
「お覚悟!!!」
僕が考え込んでいる間に、何か声がしたと思えば風を切るような音がしました。いや…切られてる、僕の服が!
幸い皮膚は切られていませんが、間違いなく僕の服の腕部分を切ったナイフは、一番最初にルチアさんのお隣に立っていらっしゃった侍女が持っていらっしゃいました。その目は黒く、恨みだけを煮詰めたような濁りを見せています。
もう一度辺りを見渡せば、その場にいた侍女や兵士、いずれも…とても王家に仕える者がしないような目つきをしていました。
そしてその刺すような視線は…全てルチアさんに向けられていたのです。
今後シリアスが入ります。ギャグとシリアスが入り乱れる感じです。




